2017年3月25日(土)夜、
東京の下町にある「さんさき坂カフェ」でトークイベント
WEcafe(ウィーカフェ)vol.59を開催しました。
「人が交流するカフェ、しないカフェ
~シミュレーションで探る豊かな地域へのヒント~」と題して、
人のつながり研究者・山田広明さんをゲストにお招きしました。
参加者15名、ゲストの山田さん、WEcafeスタッフの蓑田&中山、
さんさき坂カフェオーナーの孝子さん&義高さん親子の計20名で
ワイワイ盛り上がってます
■サードプレイス(第三の場所)
第三の場所「サードプレイス」に注目しています。
一人でゆっくりできる居心地良い図書館・本屋さんもあれば、
地元の方同士で交流が生まれる喫茶店・居酒屋など、
人によって色々ありそうですよね。
サードプレイスの中でも、
地元に愛着がわくような町づくり・コミュニティづくりには、
地元の人と人との「交流」が生まれる場づくりが大事なようです。
WEcafe参加者の中にも、
「山梨で自治体が運営するコミュニティカフェに行ったことがあります」
「公園で来園者同士の交流が生まれるようなイベント企画に携わっています」
という方がいらっしゃいました。
■コミュニティカフェ作りのジレンマ
単身世帯の高齢者に外へ出てきてもらうきっかけにしたい、
旧来からの住民と新興住宅地の住民との交流を促したい、
といった目的がありそうです。
コミュニティカフェに参加してほしいターゲット層が
高齢単身世帯の男性ということもよくあるようで、
その中には一人で静かに過ごしたい
個人志向タイプの方も多々いらっしゃるはず。
ですが、コミュニティカフェを作ると
交流やおしゃべりの好きな社会志向タイプの方々に
占有されてしまって
肝心なターゲット層が集まらない…なんてことも。
個人志向タイプと社会志向タイプの両者が
居心地良く集える場をつくるには、どうしたらいいの?
両者のコミュニケーションを程よく促進する
仕掛けやアイデアを話し合いました。
■コミュニケーション促進/抑制
カフェのスタッフや居酒屋のマスターが
カウンター席に座ったお客さんたちに声を掛けて
会話を促す様子は、さんさき坂カフェ等でもよく見かけます!
逆に、コーヒーチェーン店で個人志向タイプの居心地良さを
追究する場合には、カウンター席とテーブル席を物理的に離すなど
座席レイアウトでコミュニケーションを抑制できるのだそう。
コミュニケーションの促進・抑制をどのくらいの頻度で仕掛ければ
個人志向タイプと社会志向タイプがうまく共存できるのだろう?
そんな素朴な疑問を発端にして山田さんがはじめた、
シミュレーションによる基礎研究を紹介頂きました。
■サードプレイス × シミュレーション
山田さんがカフェづくりのシュミレーションをするとき、
「社会志向(交流したい人)」「個人志向(交流したくない人)」という
大きく2つの資質に分けています。
シミュレーションしてみると、
初めは双方が等しい割合でコミュニティカフェを訪れていたのが
特段の工夫をしなければ、しばらく経つと
いつの間にか社会志向の方ばかりが来店する結果に。
コミュニティカフェの利用者が社会志向タイプで埋め尽くされる前に
あえて居心地の悪さを作り出し、利用者の流動性を高めることで、
個人志向タイプの方々を再び呼び込める、という
シミュレーション結果が出ました。
「シュミレーションって、どこまで数値を設定できるの?」
「シュミレーション結果を実際に活かすには?」
「地域コミュニティをシミュレーションする意味って何なの?」
山田さんによると、シミュレーションと並行して
現場を確かめていく検証作業も重要とのこと。
自治体がコミュニティカフェを開催する際に、
様々なコミュニケーション促進の施策や頻度を
全て試せるわけではないので、
(たしかに社会実験するにしても限度がありますよね)
こうしたシミュレーションによる結果を
施策立案の指針にできたら、という願いがあるそうです。
ちなみに、意外とシャイな山田さんは、
カフェで見知らぬ方と交流しない派(笑)
だからこそ(憧れからか?)、
交流・地域コミュニティ・町づくりに
繋がるシミュレーション研究に取り組んできたんですって
今回は、会場のご近所にお住まいの参加者もいらっしゃれば、
横浜や新潟など遠方からの参加者もチラホラ。
日本各地への転勤経験から各地の交流しやすさの度合いを
教えてくださった方もいらっしゃいました。
ありがとうございます!
次回のWEcafe vol.60は4月29日(日)19:00開演予定。
「油(あぶら)」をテーマに開催します。
ゲストは油と栄養の研究者 市 育代(いち いくよ)さん。
4月上旬から参加者募集します。お楽しみに♪
(WEcafe事務局 蓑田裕美)