with Anne

SCOUSE HOUSEさんのメルマガに寄稿した
2019年までのサッカー観戦記。
そしてこれからの旅の記録です。

第33話《一番心配な夜の帰り道》

2023年01月24日 | 2008年ロンドン・リヴァプール

 

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そんなアンフィールドの感動や思い出に浸っている間もなく、さあ、停留所へ急げ

バスに乗らないと・・・すご〜い人だよ。みんなバスに乗るの

アンフィールドの前の道路を渡ろうとすると、すでにバスは一台行っちゃったみたい。

乗り切れなかった人達が並んでる。まず、とにかく並ばなきゃ。



「う〜ん・・・」

10分が経過。確か17番バスは10分ごとだって言ってたよね。

私の前のおばさんもぶつぶつ言ってる。

ここが日本だったら「おかしいですよねえ」なんて会話も出来るけど、外人のおばさんだもの。言えない



「う〜ん・・・」

15分が経過。一向にバスはこない。何にも来ない。

こんなに来ないと迷いが出てきちゃいます。

17番以外のバスが来たらどうしよう・・・乗っちゃおうか・・・

「乗りたい・・・

こんな場所に置いてきぼりは不安だよね。

バスを待つ列の後ろの方を見ると、「あら」日本人らしき人も並んでるじゃない。

「良かった」ってちょっと安堵。

でも、バスは来ない・・・

もうすぐ20分以上経過しようとしてる。

辺りも静かになってきたなあ。

バスを待って並んでる人はそのまま長い列をつくってるから少しは安心だけど。

「バスはどうなっちゃってるの〜

「あれ 遠くに見えてるのはバス



「どうかあのバスが17番でありますように

そう願いながら、近づくバスのフロントの番号が気になる〜。

「26だ〜

後ろから日本語が聞こえてくるよ。

「どうする・・・」「乗っちゃう・・・」「大丈夫・・・」

「私も助けてほしい

思わず後ろの日本人グループに声をかけてみる。

グループの一人が代表で、ドライバーさんに確かめてくれることになった。

「シティセンターに行くらしい・・・」でも、まだ不安な空気が漂ってる。

日本人グループの方たちも17番と117番って聞いてるみたい。

迷っていても仕方がない

スペインからのサポーター達も乗車してるよ。

「みんなで乗っちゃえば恐くな〜い」ってことで一致しちゃいました。

もちろん私もお供をさせていただくことにしました。

「ほっ ひと安心」

そのせいか、バスではグループの方たちと楽しくお話。

お名前なんか知らなくてもリヴァプールFCのファン同士だもの。

楽しい会話が弾んじゃいます



おしゃべりをしている間にバスはクイーンスクエアの裏側の通りに到着

みんな降りるから大丈夫だったけど、リヴァプールのバスって案内がないし、

「目印がない場所だとちょっと難しいかも」って思いました。

日本だって、知らない土地で定期バスに乗るのは難しいものね。



それにしても長〜い一日だったなあ。

今日一日でいろんなことがあり過ぎて、緊張したり、喜びで興奮したり忙しかった。

窓の外側に冷やしてあるビールだ〜

「ホラ 準備しておいて良かったでしょ

ついにアンフィールドでの観戦が実現

こんな幸せな夜の冷えたビールの味は格別

「カンパイ



腰のストレッチもしなきゃ。

カードの紛失やアンフィールドでの観戦で忘れてた腰。

思い出しちゃった やっぱり疲れてる〜。



明日はまた予定が一杯。

ピアヘッド、メルウッド、そしてキャラガーのお店で食事してスタジアムツアー。

そして夜にはロンドンに戻るという日程。

一番過密な日程の一日かもしれない。



「うぃ〜っ! 酔っちゃったみた〜い

「神様、今日もありがとう。おやすみなさい

 

 

 

 

続く

 


第32話《この瞬間のために!》チャンピオンズリーグ

2023年01月24日 | 2008年ロンドン・リヴァプール

 

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長〜い長〜い観戦記にお付き合いしていただいた皆さん。こんなに色々と書いてきましたが、

この瞬間のための旅だったんですよね。

大切な旅の目的を忘れてしまいそうなお話ばかりでごめんなさい

やっと思いを叶えられる瞬間で〜す



ついに始まりました

チャンピオンズリーグの光景 テレビではもう見慣れてる光景

だけど、今、私が観てるのはリヴァプール アンフィールド

「You'll Never Walk Alone」の歌声がスタジアムを覆ってま〜す

すでに私は胸が一杯。

次々時間は過ぎて、

「あっ もうチャンピオンズリーグアンセム

「あっ キャプテン同士の握手・・・」

「あ〜 試合開始のホイッスル・・・」

「時間よ、止まれ

この時の私の正直な気持ちです。

だって、まるで早送りしてる画面を観てるみたい・・・



前半は、アウレリオとリエラが・・・ドリブル、パス、ヘディング

目の前をアウレリオはピッチを駆けてく 速い

アウレリオのヘディング あんなに強いの? 痛そう

試合を楽しむって言うより、ボールを蹴る足元まで見えるから、目を奪われてしまってる。

 

「あ〜」マスチェラーノのタックル

足がボールをさらってく瞬間を目撃

試合の内容が面白いとか、つまらないとか、「そんなの関係ないよ

だってテレビ観戦してるときと視点が全く違うんだもの。



「あれ 45分ってこんなに短いの・・・



「ふう」これから後半はアルベロアとカイト側だね。

カイトは走る 走る 走る・・・

キャラガーのハードワークもテレビではこんなに観えない

アルベロアって、いつもこんなに高い位置にいるんだ〜

「きゃあ......」マキシが速〜い

「まず〜い

でも、知らなかった アルベロア 彼も速〜い



目の前で繰り広げられる戦いについ夢中興奮を抑えられない私

試合全体を観てる余裕なんかないよ〜

でも、これこそがテレビ観戦では観ることが出来ないピッチ上の激しい戦い。

私の周りのサポーターたちもすごーい

叫んでる 頭を抱えてる 一緒に戦ってる



「えっ もう

90分ってなんて短いの〜

それに負けてる・・・神様〜お願い・・・!

「あ〜っ、ジェラード 何 何 何 どうしたの

「何が起きたの

「周りの人に聞けない・・・」

「倒されたみたいだよね〜

「PK



「ほっ」何とか負けないで試合は終了。夢の時間も終了かあ・・・

暫くこのまま座っていたい・・・

でも、みんな次々座席を立ち上がって歩きだしてる。

「仕方がない

私も立ち上がってピッチを背中にスタジアムを後にしようとしたときスタジアムに突然流れきた曲は

「ヘイ・ジュード

何だか急にウルウルしてきちゃった「うっ

 

だって、まだ私が子供だった頃です。

誰かが「ヘイ・ジュード」をカバーして歌っていた。その歌を聴いた時だった。

「この曲って本当は誰の曲」「歌ってるのは誰



ビートルズを知るきっかけになった曲なんだもの。

「予想外です(;°°)」小さな頃の思い出まで蘇っちゃって、もうウルウルだよ。

「神様、ありがとう・・・



この数日で、私の心に信仰心まで芽生えちゃってるみたいです。

ひとり旅、頼りになるのは神様ですね

「残りの旅もよろしくね。神様

 

 

 

 

続く

 


第31話《ホッとしてやっとアンフィールドへ》

2023年01月24日 | 2008年ロンドン・リヴァプール

 

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警察署の建物を出たものの、これから向かう方向が分からずにオロオロ

その時後ろで、パトカーのトランクを開ける音

「あっ、お巡りさん」

「カッコイイー

オーストリア旅行の時も感じたけど、ヨーロッパの制服のお巡りさんってすご〜くかっこいいんだよね。



「ヨシ 道を聞こう

「あの〜、クイーンスクエアーってどっち

一応シティセンターに戻らなきゃ。「慣れたよ」って言ってもここは外国。

直接、この場所からアンフィールドを目指すなんて無理だもの



お巡りさんたら、ちょっと怪訝な顔で私を見てる。

「何で外国人が警察署にいるんだ」って思っても不思議じゃないよね。

「やばい

職務質問とかされたって、私、会話出来ないからね。無駄だよ



突然、お巡りさんの視線が私のマフラーへ・・・

そして私のマフラーに手を添え「君はリヴァプールファンかい」だって

「イエス

「君は今夜の試合に行くの

「イエス

「Great

お巡りさんたら力強く頷いて、いきなりアンフィールドへの行き方の説明開始・・・

「えっ

「ノー、ノー、バス乗り場に行きた〜い



やっとお巡りさんたら、私のお願いに気がついてくれて、シティセンター方面への行き方の説明を始めてくれた。

相変わらずよく意味は分からないけど、

指さす方にまっすぐ進んで、信号があって右に曲がるらしい。



「ふぅ〜

お巡りさん、きっとリヴァプールFCのサポーターだったんだねえ。

「あっ そうかあ。私は今リヴァプールにいるんだった



20分程歩くともうかなり見慣れたシティセンター付近だ。

クイーンスクエアへ行ってバスに乗らなきゃ。

「バスは来てるかな

キョロキョロすると赤いマフラーやユニフォームの人たちが並んでる。

「ちょうどバスが来たんだ



近くに寄って確認すると17番の表示。

インフォメーションセンターのおじさんが教えてくれた番号だね。

さすが試合当日 大勢の人達が乗車しようと並んでる。みんなのんびりドライバーさんに料金を払ってるよ。

私は自信がなかったから「セイブアウェイティケット」を購入してあったけど、

スペインのサポーター達もみんなのんびり料金を支払ってる。



こんなにのんびり乗車する風景って日本では見ないかも・・・

乗車までにかなり時間が掛かったけれど、

なんだかいいよねえ。この感じ



乗客で一杯のバスはいよいよアンフィールドへ。

クレジットカードがお財布になかった時には「どうなっちゃうの」って泣きそうだったけど、キックオフの時刻にも余裕で到着できましたよ

「神様、ありがとう

なんだかリヴァプールの街に入って神様に守られてるような気がしてきちゃった。



バスを降りると、すでにそこはたくさんのサポーターで一杯。

赤、赤、赤、アトレチコも赤いからマフラーもユニフォームも赤い人達。

あっ、私もそうだった

「どっちなんだ〜」ティケットを出して確認してみる・・・

「そうだ 試合のプログラム、プログラム・・・」もちろんシルバ君の分も一緒に購入

人が多くてどうしていいかわからな〜い



スタンフォードブリッジみたいに手荷物を調べられるのかなあ。

キョロキョロしてると笑顔のおじさんが近づいてくる。

「ほら 来たよ。きっと手荷物チェックだ

おじさんは私が握ってるティケットを覗きこんで、何か言いながら指で入口を示してくれた。

何て言われたのか解らなかったけれど「優しい

「なあ〜んだ、手荷物のチェックじゃないんだ。」

スタンフォードブリッジじゃあ3回も調べられたもんね。それも、結構厳しい顔した男性に

誰も調べられてないじゃん 雰囲気が全然違うよ。

さあ、もう選手たちは到着してる時間だし、

「そろそろ中へ入ってみようかな〜



教えていただいた入口に近づいてみると、さっきのおじさんがニコニコして誘導してくれる。

狭い入口でティケットを渡して中へ・・・

印象は「狭い」でも「古いのにとてもきれい」「大切にされてる」って感じかな・・・

売店の通路も狭い。トイレもなんだかレトロな洗面。

でもとってもきれいに清掃が行き届いてて気持ちがいい。

土曜日にスタンフォードブリッジで観戦してるから、

私の印象ってスタンフォードブリッジと比べての感想になってしまうんですけどね

都会にあるスタジアムとの違いかもしれないね。



いよいよシートの方へ

スカウスハウスさんに用意していただいたシートはパドック4のB列。

わぁ ピッチだ〜 それも、こんなにすぐ近く

スタンフォードブリッジでも3列目だったよ。

だけど、ピッチと客席との間のカメラマンエリアが広くって、近く感じられなかった。

テレビで観戦してると、イングランドのスタジアムってピッチにすごく近そうだったもの。

「これだよね〜、この近さ

イングランドのスタジアムでこれを味わいたかったんだよね〜



それにパドック4ってセンターラインの辺りだからすご〜い

「信じられな〜い

左側のすぐ近くは控え選手席

「わあっ、選手だ

アップが始まったきゃーきゃー

パドック4ってホーム側だからリヴァプールの選手が目の前でアップを始めたよ〜。

カメラ、カメラ、カメラ

ここでは撮影だって自由だもんね〜。

スタンフォードブリッジはカメラの持ち込み禁止。

「みなさん スタジアムごとに違いますからね〜注意しましょうね」



あ〜あ

近すぎてカメラのシャッターが間に合わな〜い

こんなに速く動いている選手を撮影するなんて、想像してなかった・・・

なんて贅沢な悩み・・・

アッガー キャラガー マスチェラーノ アルベロア

ジェラードやシャビアロンソばかりじゃなくて、こんなに近くで見るとみんなカッコイイ

なんていい雰囲気だろう。ピッチの警備のおじさんもニコニコしてる。

サポーターが大勢集まって、ピッチの選手に声をかけたり、撮影してるのに、止めようともしないよ。

「嬉しいなあ

選手たちはアップに集中。「なんてカッコイイ



さっきから私って「カッコイイ」ばかりだ。情けない私

もうちょっと他に言えないの・・・

「だってカッコイイんだもの



「そうだ

シルバ君も日本でLIVE放送を観てるはず。

携帯電話で撮影だ メールしよう きっと驚くよ。こんなに近いピッチに

自慢、自慢・・・きっと彼だってアンフィールドに来たくなっちゃうよ。

彼がたくさんの魅力を私に伝えてくれたように、こんどは私が伝えちゃおう。

アンフィールドの魅力を・・・いっぱ〜い

時間がたつのってなんて速いの?もうキックオフの時間に近づいちゃったんだ。

通路もアップの選手を見学してるサポーターで溢れそう。

警備のおじさんもそろそろ席に着くようにって誘導を始めてる感じ。

「あ〜あ」選手のアップも終わっちゃったし、席に落ち着こうかな。

KOPも赤く染まってきて何だかサポーターの声にも迫力が出てきたよ。

私だって、マフラーをはずして準備しなきゃ

 

 

 

 

続く