のり巻き のりのり

飾り巻き寿司や料理、己書、読書など日々のあれこれを書いています



絞りの町で戦争を考える

2016年04月25日 | つれづれ日記
針仕事といえば、この女性たちは日本の伝統技術を伝えるすばらしい技を伝えています。


絞りの模様を作っている方です。絞り染めの技術は江戸時代から伝わっているそうです。

名古屋近郊の有松、伝統が息づくいい町です。

     




そこの絞り会館で朗読劇「捕虜のいた町」を見てきました。

この町に戦時中捕虜収容所があったことはほとんど知られていませんでした。
イギリス人を中心に300人くらいの捕虜が労働力として、車両の製造に携わっていたとのこと。

その事実に注目し、短編小説として城山三郎が「捕虜の居た駅」を表しました。

しかし、書籍化されることがないままだったので、新たに資料を加え、朗読劇として発表されることになったのです。

俳優は名古屋在住の天野鎮雄、山田マサさん。あとはアマチュアの人たちで作り上げたものでした。

戦時中の生活の中での家族の関わり、戦地から戻っても心の闇を抱えたまま生きねばならない苦悩、捕虜たちとの関わり、さらに絞りの技術が廃れてしまうことの寂しさ、などがよく表現されていました。

天野鎮雄演じる町医者の虎蔵は、逃走した捕虜に対してもきちんと対応し、命をつないでいく。
これは実在した人物を演じているのです。

その事実が心に響きます。民間レベルで、人として誠実に対応することが、なんと温かいことか。

今は跡形もない捕虜収容所です。70年たって記憶から消されてしまう過去に向き合って、見つめ直すことは大切なことだと思います。

私たちは過去を知り、それをつないでいく義務があります。

できることを、伝えよう。次世代へ。