のり巻き のりのり

飾り巻き寿司や料理、己書、読書など日々のあれこれを書いています



伊勢湾台風の思い出

2019年09月26日 | 随想
60年前の9月26日、伊勢湾台風がありました。
当地方では、約6000人の死者行方不明者が出て、今も語り継がれている災害です。

今日は新聞やテレビでも特集を組み、当時の記憶を呼び戻し風化させないための取組が行われていました。





小学校1年生だった私は近所の子たちと登校するために家を出ました。
ところが家を出てすぐ激しい雨と風て、このまま学校へ行くことは無理だと分かり、家に戻りました。

今なら登校なんてありえませんが、当時は台風情報なんてラジオがせいぜいでしたからね。

私と妹は2階にいて、激しい雨風の中でじっと耐えていました。
父は公務員だったので県庁舎に行かなければならず、1階で祖母は寝たきりの祖父を守り、母は窓や塀が飛ばないように必死に手当てをしていたのだと思います。

怖い一夜が明けた朝の光景は、今でもまざまざと目に浮かびます。
周りは一面の海。いろんなものがぷかぷか浮いていました。

それでも好奇心旺盛な私は、外に出てみたくて仕方なく、スカートをたくし上げてじゃばじゃば水の中を歩きました。
不衛生で危険がいっぱいあったでしょうに、なんとも怖いもの知らずの子どもでした。

幸い家がつぶれることなく、ぎりぎりのところで床上浸水を免れました。
しかし、少し離れた地域では木造校舎が倒壊したり、屋根まで水が来て流されたり、ものすごく大きな被害が出たのです。

水がひくまでずいぶん時間がかかりました。
今もここまで水が来たと分かるように印が残っているところが各所にあります。

もう60年も前のことなのに記憶は鮮明です。
阪神大震災、東日本大震災なども実際に経験した人にとっては、風化はあり得ません。

けれども経験していない人にとっては、すっかり過去のことになるでしょう。
過去から学び、現在に生かす知恵はなんとしてもしっかり伝えていきたいものです。