とこのへや

とこの雑貨と、とこのお洒落着。とこは樺太に住んでいたことがあります。とこの嫁の体験談、日記、備忘など。

天国と地獄

2018-07-14 19:09:47 | 距骨骨折・距骨挫傷

梅雨明けは嬉しいが、暑いのは困る。

植物は嬉しいのだろうなぁ。
雨のあと、ぐんぐんと枝葉を伸ばしただろう。

豪雨被害のある地域は片づけボランティアの人も、被災された方も
この暑さがシンドイだろうな。

どうか、地獄を体験した後、天国のように、暮らしが幸せになりますように。

私の体験など取るに足らぬ。
でも地獄の体験の後の天国気分はなかなかに良かった。

「今日、(ギプス)します?」
ややオズオズとした印象で、担当医師が言うので、
いやいや、私の足は垂直方向に体重かかると治りが遅くなるんでしょお?
今日やっていきますとも!と鼻息荒く、「今日できますか?やります!!」
と応えた私。

それなら、と医師と看護師たちは準備をはじめ、
水?お湯?で固まるギプス用の素材と、それをくるむ綿のような素材を
用意し、私の足から長さの検討をつけた。
10分もかかっただろうか。
不格好なギプスが出来上がって、私はホカホカと温(ぬく)みをふくらはぎに
感じながら、車いすへ乗せられて、リハビリなどを担当する2階へ
運ばれていったのだった。

松葉杖講習なるものを受け、脇で抑えて、ハの字の杖を前に出し、
ケンケンの要領で痛めた足は上げておき、痛くない足を杖の位置にそろえる、
といった内容の説明を受けた。
持ち手のところには保護材を巻き、地面に着くところも替えが効くようだ。
これらも込みの、松葉杖の補償金を預かるという。
返却時に返すというが、保護材分は取られるのではなかろうか。
補償金は2本で8000円だった。(MRIスキャンと同額!)


これ以外に診察・処置料金、時間外料金(?)を支払う。
本人負担分として2000円以上支払った。

問題はこの後だ。
支払いを終え、松葉杖を手に、片方の靴はバッグに入れて、
外に飛び出した。

最寄り駅はいつもなら徒歩で10分かからない。
が、目の前の3車線の道路が交差する交差点を超えて、
ちょっと行ったところでバテた。

息が上がって、トイレに行きたくなってきてしまったし、
暑いし、汗はだらだら出ているし。

ハの字の松葉杖はすれ違う通行人にとっては
邪魔なものだ。
私は松葉杖を持った人になって、一気に
邪魔な人になった。

黒のレザーバッグは肩にかけていたけど、
揺れて肩に掛けた取っ手が食い込む。
バランスも悪い。

ショルダーバッグかリュックを用意しよう、
そう心に決め、通りかかったマンション前にあった
自動販売機でスポーツドリンクを買った。
ほんのちょっとの先に見えるものが
なんでも、えっちらおっちら松葉杖で移動してから
手にすることになり、私はその都度イライラした。

暑い中、イライラは募る。
イライラするから暑いのか。

以前住んでいた場所の近くだが、
こんなに移動に時間がかかるとは。
むしろ知らない町なら良かったのか?
いや、きっと知らない町ならもっと遠く感じるだろうし、
心細くて哀しい気持ちになっただろう。

知っている場所だから、あと少しで高架線沿いの道に出る。
そしたら狭いけれど歩道があって、午前中のこの時間なら、
ちょうどその歩道のところに少し日影ができている。

その道にたどり着くまでに、松葉杖にすがって何度も休憩した。
はぁはぁと肩で息をする。
夫には駅まで行ってランチを一緒にしようと
提案したばかりだったが、病院で待っているべきだったと
後悔しきり。

道行く人が、あれ、と言う顔をする。
その顔の表情には憐憫と、
「ちょっと、邪魔ねぇ」という少し邪険な色を
見て取る私はただの『卑屈もの』なのかも。


30分はかかったろうか。
駅の近辺は、ちょうどランチに出てきた勤め人たちを
よけるのが少々きつかった。
駅を抜けて反対側の駅ビルに、いつも行くカフェがある。
変わったメニューのパスタランチがあること、
珈琲がその都度淹れてもらえてフレッシュミルクがつけてもらえること、
そのビルなら駐車場があること。

せっせせっせと手を動かし、松葉杖講習での「体幹を使う」というヒントを
思い起こしながら、進む。
地面につけない足がぶらぶらとしてしまい、ロスが大きい。

汗は滝のように滴り落ちるが、拭うのも体力ロスだ。
だが、水分も補給したい。ペットボトルを取り出して口元へ持っていくも、
手がブルブル震えて片手では飲めない。
脇で松葉杖の上を抑えておいて、脇から外れないようにしないと、
そっくり返るか、支えを失うか、不安定になってしまう。

おぼつかない松葉杖ユーザーながら、
やっとビルに入り、初めてその駅ビルのエレベーターに乗り込んだ。
同乗した人の4Fに気がづかずにそのまま
エレベーターの中の冷気にほっとして汗をぬぐう。
気がつくと4Fに止まって、とにかくトイレを探して駆け込んだ。

その後は、天国のよう。
涼しいし、夫とお店で会った後は必要なら支えてくれるし、
荷物は持ってくれるし。

何より、心強く感じた。
一人で松葉杖での移動で汗だくでは、「なんで一人無理する?」
という疑問が拭えないのだろう。
共感できないのだ。
食事のあとは、地下の駐車場へエレベーターで降り、
難なく車に乗り込み、快適に帰宅した。
あの、暑くて長くて辛い松葉杖強行移動は、夢みたいに消えた。


ちなみに
カフェでは「美肌パスタ」なるメニューを頼んだ。
オクラと納豆ととろろ芋の乗ったパスタだ。
サラダとホットのコーヒーをつけて1400円くらい。
納豆はちょっと…アレだったけど、美味しかった。


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