とこのへや

とこの雑貨と、とこのお洒落着。とこは樺太に住んでいたことがあります。とこの嫁の体験談、日記、備忘など。

面会にて

2021-10-31 18:22:42 | 丘の上(認知症・入院)
姑とこ、今の特養に入所して1年半あまり。昨年3月上旬、新型コロナウイルス感染防止対策のため、すでに面会の制限がある状態だった。
入所している当人と、私たち家族とも、今は2回の予防接種を終えて、面会方法も若干制限が緩められた。
ひと月に1回程度、要予約、1回15分程度、透明なボード越しで、マスク必須の面会。

とこ、いつもながら見たことのない服を着ている。膝には紫色のショールを掛けていた。そのショールは、見覚えがあった。
手触りがとてもよかったので、私が色違いの黒と一緒に購入し、どっちがいい?と選んでもらったものだ。私も未だにその黒いショールを使っている。
「ちょっとね、寒いのよ」
ピンクのトレーナーの上に見たことない袖なしのフリースを着ていた。
(白のフリース差し入れたけど、ないのかな?とか聞いちゃいかんよね、手間になるから…)
フリースを買って差し入れよう、と心に決める私。

衣類の洗濯はまとめて行うため、記名が必要だと言われていた。入所の際に夏用冬用、部屋着、寝間着など揃えられなかったこともあるし、「お貸ししますので」と言われてなんだか有耶無耶になっている。
必要なものを細かく言われるのかなと思ったのだが、周囲の入所者はほぼ寝ているし、共用のスペースでテレビを見ている方たちは部屋着程度のものを着ている印象だ。もっと言えば、その人自身で選んだ、その人らしい服ではないと思った。
とこは、入所前は病院で入院着で過ごす毎日だったので、靴下は一足とか、肌着も長袖だけ4~5枚あったけれども、部屋着としての丁度良いものはほとんどなかったかも。
夏前にはTシャツなども差し入れたが、トータルとしては、なんだか様子が分からない。施設からは特に何も言ってはこないのだから、そうそう困ってもいないのだろうが、本人は「あれがあったらいいのに~」と思ってるかもしれない。それが心配だ。

とこは先月の入院時の時に比べれば、少しは元気そうに見えた。
担当者のFさんが、面会時間の終わりくらいに顔を出してくれた。Fさんによれば退院後は食事も食べられているとのこと。以前の栄養補助食品から味のレパートリーの異なるゼリータイプのものに変更したいがという申し出や、インフルエンザ予防接種の書類の受け渡しなど、ちょっとしたやりとりをして面会は終わりになった。

姑とこから鋭い質問もあった。
「どこか行くって言ってたわね」
そう、なんか行くっていったかも。
でもええと、どこの話をしたんだっけ?という情けない私。この4月からは仕事で目いっぱいだったからな。最近外出したのは従妹との横浜だが、入院の前の面会だったから、6月の末のころか。
なら7月の旅行のことだな。南伊豆に行った、と話しながら、夫がお土産を買っていないことを恥じているのを感じた。
アジの干物や金目の煮つけを買ってきたところで食べてもらうわけにもいかないしなぁ、と、買ってきたお菓子は、面会のタイミングもあり、そこまで日持ちしなかったので家で食べてしまったのだ。

夫は何故か今回の面会で、あのことを聞いてみる、と、ややリキんでいた。
とこの不安が一番強かったと思われるころ、しきりとあるモノの話をしていた。思い出の品らしいが、青いティーカップをとても気にかけていた。
「あの青いティーカップ、どうする?」
そう尋ねたが、とこはすぐ首を横に振った。もう一切を捨てたのよ、と言うかのような表情だった。
「じゃあ、いいんだよね、もう捨てるよ」
そう言った夫が一番安堵したような、がっかりして気落ちしたような反応だった。安堵したのは、母がもう不安がってはいないことにであり、気落ちしたのは元のように元気になるきっかけには為らなかったことに、だ。

ずっと変わらないものなど、ないのだ。冬はいずれ終わり、春になるのだ。

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