この映画は、監督平田潤子、企画・プロデュース小室直子、プロデューサー橋本佳子と女性スタッフで固め、素晴らしい作品に仕上げています。
小室直子氏はこのように語っています。
『春画は秘め事を描いたものですから、公衆の面前に大っぴらに掲示する必要はないでしょう。でも、まるで“なかったこと”のような扱いをされていいものでは決してない。ここにどれだけの技術、歴史が集約されているか――。劇映画の製作を進めていく中で、それがいまだに、いかに知られていないかを、再び思い知りました。それに、春画にスポットライトを当てることで、間違いなく、日本の美術・文化史にあいた大きなミッシングリンクも埋まる。本作にご協力くださった専門家の皆さんもそうおっしゃっています。』
引用元 文春オンライン連載クローズアップより
春画を語る出演者も豪華です
木村了子(1971〜)
評論家、研究者のみなさん
石上阿希 京都芸術大学准教授
橋本麻里 編集者、永青文庫副館長
春画一ル 春画研究者
海外からは、2014年の大英帝国博物館春画展にも関わった
アンドリュー・ガーストル
ロンドン大学東洋アフリカ研究学院教授
彼は、春画と西洋のエロティックアートの違いについて、
『日本の春画は当代一流の画家によって描かれている。西洋では一流の画家はエロティックアートは描かない。』と語ってる。
ヨーロッパでは、「北斎はレオナルド・ダ・ヴィンチと並ぶ巨匠だ」とは誇張だと思うが、確かに西洋ではファインアートの画家はエロティックアートを残していない。(死後に発見されたターナーの大量のエロティックアートは親類により消去されたらしい)
狩野派では、吉兆画としての春画は当初から重要なジャンルであり、狩野山楽の肉筆春画などが残されている。
映画では、柳川藩主立花家の嫁入り道具の一つとして「春画巻物」が紹介されている。
春画の伝統は、鏑木清方、上村松園の春画まで続いている。
映画は、女性スタッフならではの目線で、春画が表す性の幸福な部分だけでなく、暗部、マイナスの側面にも触れている。
日本美術史・文化史における春画の存在を正面から捉えた意欲作
★★★★★
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