「答えは市役所3階に〜2020心の相談室〜(辻堂ゆめ:光文社)」を読了しました。
コロナ禍がもたらした、幾つもの「こんなはずじゃなかった」。市役所に開設された「2020こころの相談室」に持ち込まれるのは、切実な悩みと誰かに気づいてもらいたい想い、そして、誰にも知られたくない秘密。あなたなりの答えを見つけられるよう、二人のカウンセラーが推理します。最注目の気鋭がストレスフルな現代に贈る、あたたかなミステリー。(amazonの紹介文より)
「こんなはずじゃなかった」。進路を断たれた高校生、恋人と別れたばかりの青年、ワンオペで初めての育児に励む女性……。市役所に開設された「2020こころの相談室」に持ち込まれたのは、切実な悩みと誰かに気づいてもらいたい想い、そして、誰にも知られたくない秘密。あなたなりの答えを見つけられるよう、二人のカウンセラーが推理します。明日への一歩のために、私たちは心を映す鏡になればいい。本当も噓も映し出す鏡に。(光文社のHPより)
いやぁ〜面白かった。「コロナの頃ってこうだったよねぇ…」って、つい数年前のことなのに、不謹慎だけどちょっと懐かしい気持ちも抱きながらこの小説を夢中になって読んじゃいました。
コロナ禍の只中、市役所に「こころの相談室」開設されます。ここでアラサーの女性カウンセラーとボク世代の老人男性が相談員として対処するのです。このコンビがまたいいんだなぁ。ホッコリさせられるコンビです。
就職が立ち行かなくなった女子高生、恋人と別れる羽目になってしまったアラサー男性、初めての出産や子育てに疲れ果ててしまったアラフォー女性、収入が激減して今までの快適な生活が崩れてしまった中年男性、オンラインの授業ばかりになり鬱屈した生活を強いられた20歳の男性、全てコロナ禍が起因で苦しんでいます。しかもカウンセリングを受ける相談者の彼らの言葉には、嘘も隠れているのです。
言葉の裏を読み解く女性カウンセラーの謎解きが見事でとても面白かったです。さらに5つの短編すべてに1つのアイテム(第1話の女子高生の手作りお守り)が登場し続け、最後にはこれらがきっちり結びつくという見事さ。心がホッコリし、謎解きでは「なるほど!」と舌を巻き、最後は5つの短編に散りばめられた伏線がきちんと回収されるという、本当によくできた小説でした。面白かった!
作者の辻堂ゆめさんは、1992年生まれの30代の女性(東大卒だって)です。ボクは最近、結構彼女の小説にハマっているんですよ。今までに読んだのは、「僕と彼女の左手」「十の輪をくぐる」「あの日の交換日記」「卒業タイムリミット」「二重らせんのスイッチ」かな?また彼女の小説を図書館に予約したいと思います。