友人からいただいた国蝶オオムラサキのサナギを羽化させ、大空へ放つまでの記録です。
6:28:朝は小雨が降りましたが、やがて予報どおり梅雨の晴れ間が広がって、暑い夏の一日となりました。朝食後、ケージをベランダに出し、ネットを外しました。羽化して丸2昼夜、我がケージの中で過ごしたオオムラサキの成虫を大空に放してやるのです。
砂糖を酒で溶き、酢で延ばしてさらに水で割った特製の蜜を脱脂綿に染み込ませ、駆使と割り箸に巻いて枯れ始めたエノキの小枝に立てかけます。きっと腹をすかせていたのでしょう。吸水管を伸ばして懸命に吸っています。
放蝶準備を整えて、囲いをすべて外したにもかかわらずオオムラサキはいっこうに飛び立つ気配がありません。蜜に止まらせて竹の梁に誘導すると、わずかな移動をするだけ。ほとんどその位置を変えず、3時間半もの間、じっとしています。
時折り夢中になって蜜を吸い、また静止。きっと体温が温まり、体力が湧き上がってくるのを待っていたのでしょう。立ち続けて眺めているのにくたびれたタハラッチは椅子を出して座っていましたが、時折り心地よい睡魔に襲われます。慌てて目を見開くのですが、オオムラサキは定位置を維持したまま。飛び立つそぶりさえ見えません。
そんな様子を見てカミさんがバカにします。子供じゃないのに・・・って。でも完全に童心に戻っているのです。いい気分です。
でもそろそろ限界に達してきました。手乗りオオムラサキの状態で写真を撮ろうと考え、手を出しました。指に2本の足がかかったとき、体が少しずり落ちそうになったのでしょう。勢いよく羽ばたいて飛び上がりました。そして別れを告げるかのようにベランダの前を2廻り旋回。青空の彼方へ飛び去っていきました。
成虫となってからタハラッチが接したのは1昼夜半。わずかそれだけの間でしたが、何年もともに過ごしてきたペットのような感じ。見えなくなった空を見つめていると、ちょっぴり寂しさが漂ってきました。
近くにはエノキもあればクヌギもあります。でもここで育ったオオムラサキではありません。放蝶することで生態系が壊れるかもしれませんし、彼は自然界と同じように生きながらえることができないかもしれません。
とはいえ半世紀くらい前にはきっとこの辺りにも自然発生していたはず。また大規模な放蝶活動を実践している団体も比較的近くにあります。そんな中の1頭のメスとうまく出遭って、大自然の中と同じような一生を全うしてくれるよう願いを込めましたが、通じてくれるでしょうか・・・。少しでも長く生きてもらいたいものです。
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6.27:留守中、カミさんが蜂蜜を溶いて脱脂綿に染み込ませ、オオムラサキにすわせようと試みたのですが失敗。タハラッチはそのほか、砂糖を酒と酢で溶いて割り箸と竹串に絡ませ、そこにオオムラサキを誘導しました。するとこれがみごと成功。吸水間を伸ばしてチューチュー音を立てるかのごとく吸っています。
こちらがケージ。スノコの板に園芸用のアーチの素材の足を詰めたものを2個取り付け、梁の代わりに取りつけた竹の切れっ端にサナギをぶら下げて、捕虫網のネットで蔽っただけの簡単なものです。長期間の飼育ではありませんから、こんなものでOKでしょう。
6:26:伊豆への釣行のため留守をしていた間に羽化し、サナギは美しい蝶に変身していました。
6.25:羽のあたりがうっすらと色付いてきました。もう2、3日で羽化するかもしれません。タハラッチが留守の間に羽化して部屋の中を飛び回ると、カミさんが何をするかわかりませんから、エノキの小枝を採ってきて、簡単なケージを作りました。樹液の代わりに、蜂蜜を溶いてやろうと思っています。
6.24:今月の14日に蛹化したオオムラサキのサナギをいただきました。竹の棒に吊り下げて、羽化を待ちます。通常なら10日から2週間ほどで羽化するとのこと。たった1個ですが、華麗なオオムラサキの誕生を心待ちにしています。