弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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専門分野登録弁護士制度

2011-11-08 | 日記
日弁連では,専門分野登録弁護士制度の導入を検討しているようです。
「はじめにパイロット分野として①離婚・親権,②相続・遺言,③交通事故,④医療過誤,⑤労働問題の5分野からスタートすること,3年以上の実務経験年数と一定の処理件数,専門研修の受講を登録要件とすること,他方,専門分野登録弁護士名簿のほかに補助名簿を設けて意欲のある若手弁護士の参入を支援することを考えております。」とのことです。

なお,Q&Aがいくつか作成されており,「Q12 登録要件ですが,この程度の要件で専門登録を認めるのは安易にすぎませんか。」という質問に対し,「専門分野登録制度は,一般弁護士に「専門分野登録」弁護士との表示を認めるための最低限の要件を設定したものであり,これをもって直ちに「名実共に専門性を認められた」ことまで意味するものではありません。つまり,一般弁護士のうち,当該専門分野について最低限の知識・経験を具備したものとして登録を認められた弁護士のための制度です。」などとの説明がなされています。
「専門分野登録」弁護士は,当該専門分野について「最低限の知識・経験」を具備したものとして登録を認められた弁護士をいうに過ぎないとのことですが,こういった説明で,専門的な知識経験を持った弁護士を探している一般の方々の納得を得られるといいのですが…。
幸運を祈ります!!

弁護士 藤田 進太郎

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取引先から個人的にリベートを取得したり,虚偽の出張旅費を申告したりして,会社に損害を与える。

2011-11-08 | 日記
Q6 取引先から個人的にリベートを取得したり,虚偽の出張旅費を申告したりして,会社に損害を与える。

 まずは,本人からよく事情聴取する必要があります。
 本人の説明なしでは,不正行為がなされたかどうかが分かりにくいことも多いです。
 事情聴取書をまとめてから本人に署名させたり,事情説明書を提出させたりして,証拠を確保することになります。
 事情説明書等には,問題となる「具体的事実」を記載させる必要があります。
 本人提出の事情説明書等に「いかなる処分にも従います。」と書いてあったとしても,問題となる具体的事実が記載されておらず,具体的事実を立証できないのであれば,懲戒処分等は無効となる可能性が高くなります。
 本人が提出した事情説明書等に説明が不十分な点や虚偽の事実や不合理な弁解があったとしても,突き返して書き直させたりしないで下さい。
 そのまま受領した上で,追加の説明を求めるようにして下さい。
 せっかく提出した書面を突き返したばかりに,必要な証拠が不足して,訴訟活動が不利になることがあるので,そのようなことがないよう,くれぐれも注意する必要があります。
 本人作成の書面を確保することにより,本人の言い分をありのまま聴取していることや,本人が不合理な弁解をしていること等の証明もしやすくなります。

 不正があったことが証拠により証明できる場合は,事案の程度に応じた懲戒処分等を行うことになります。
 単なる計算ミスに過ぎないのか,故意に金銭を不正取得したのかの区別が重要です。
 単なる計算ミスの場合は重い処分をすることはできません。
 注意,指導,教育により対処することになります。
 他方,社員が故意に金銭を不正取得したことが判明した場合は,懲戒解雇することも十分検討に値します。
 ただし,不正取得した金銭の額,それまでの会社に対する貢献度,反省の程度等によっては,より軽い処分にとどめるのが妥当な場合もあるでしょう。
 不正が疑われるだけで,本人も不正を認めておらず,客観的証拠が不十分な場合は,懲戒処分はできません。
 当該業務に従事する適格性が疑われる事情があれば,配転・降格等の人事異動により対処することも検討することになります。

 不正に取得した出張旅費等は,「書面」で返還を約束させて下さい。
 返還方法としては,賃金全額払いの原則(労基法24条1項)との関係から,賃金から天引きするのではなく,当該金額を会社の預金口座に振り込ませて返還させるのが無難です。

弁護士 藤田 進太郎

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