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解雇予告義務(労基法20条)

2014-02-13 | 日記

解雇予告義務(労基法20条)とはどのようなものですか?

 使用者は,労働者を解雇しようとする場合においては,原則として,少なくとも30日前に解雇予告するか,30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません(労基法20条)。
 解雇の30日前に予告すれば解雇予告手当を支払う必要はありませんし,30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払えば,即時解雇することができます。
 解雇の10日前に予告したのであれば,20日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払えば足ります。解雇の20日前に予告したのであれば,10日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払えば足ります。
 解雇予告から解雇までの日数+解雇予告手当として支払われた平均賃金の日数≧30日であればよいことになります。

弁護士法人四谷麹町法律事務所

弁護士 藤田進太郎


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日当を1日12時間勤務したことの対価とすることの可否

2014-02-13 | 日記

使用者と社員が合意することにより,日当を1日12時間勤務したことの対価とすることはできますか?

 所定労働時間を1日12時間とすることはできませんが,「1日12時間勤務したことの対価」の意味が,「1日8時間の所定労働時間内の労働と4時間の時間外労働をしたことの対価」という趣旨であると解釈でき,割増部分(残業代に相当する金額)が特定されていると評価できるような場合であれば,このような合意も原則として有効と考えられます。ただし,このような合意の仕方は,何時間分の対価として賃金額が定められたのかとか,割増部分が特定されているのかという点について問題が生じやすく,細心の注意を払わないと,所定労働時間を12時間と定めたものであるとか,割増部分が特定されていないと評価されて,日当は8時間の所定労働時間内の労働の対価と認定され(労基法13条・32条2項),日当全額を基礎として計算された残業代の支払を余儀なくされるリスクがありますので,注意が必要です。
 日当が残業代込みの金額であるというためには,最低限,日当が12時間分の労働の対価であることくらいは,書面上明示しておく必要があります。1日何時間働かなければならないのか不明確なまま,「日当1万○○○○円」と定めただけでは不十分です。このような定め方では,労基法の労働時間の上限である8時間(労基法32条2項)の労働の対価と評価されてしまい,8時間を超える労働に対しては,別途,残業代の支払を余儀なくされることになります。
 日当が12時間分の労働の対価であることが書面上明示されている場合は,訴訟になってもそれなりに戦うことができると思いますが,そのような場合であっても,1日8時間の所定労働時間内の労働に対する賃金が何円で,4時間の時間外労働に対する残業代が何円なのかが,方程式を使って計算しないと判明しないような場合で,1日12時間を超えて働いた場合に不足額を追加で支払ったことが一度もないような場合は,労働者に割増部分が特定されていないとの主張を許すことになってしまうリスクが生じます。他方,1日12時間を超えて働いた場合に,その都度,残業代の不足額がきちんと計算され,追加で支払われているのであれば,リスクが低くなります。
 トラブル防止のためにも,1日の賃金額については,例えば,「(8時間分の)日当1万6000円,(4時間分の)時間外勤務手当1万円,合計2万6000円」といったように,1日8時間の所定労働時間内の労働に対する対価の部分と,割増部分とに明確に分けて一日あたりの賃金額を定めることをお勧めします。このように,1日8時間の所定労働時間内の労働に対する対価の部分と,割増部分とに明確に分けて賃金額を定めておけば,1日12時間を超えて労働した場合に不足する残業代の額を計算することが容易なため,多少問題があっても,全面的に敗訴するリスクは低くなるものと思われます。

弁護士法人四谷麹町法律事務所

弁護士 藤田進太郎


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