当社は,同業他社よりも高額の基本給・手当・賞与を社員に支給し,毎年,昇給もさせるなどして社員の残業に対して十分に報いていますから,残業代(割増賃金)を別途支払う必要はないですよね?
それなりに高額の基本給・手当・賞与を社員に支給し,昇給までさせているにもかかわらず,残業代(割増賃金)は全く支給しない会社が散見されます。
社員の努力に対しては,基本給・手当・賞与の金額で応えているのだから,それで十分と,経営者が考えているからだと思われます。
しかし,高額の基本給・手当・賞与の支給は残業代の支払の代わりにはなりませんし,毎月の基本給等の金額が上がれば残業代の単価が上がることになり,かえって,高額の残業代の請求を受けるリスクが高くなります。
賃金総額に対する月例給与の比率を下げ,賞与の比率を上げることは,残業代算定の基礎賃金を不必要に上げないという意味では残業代請求対策になりますが,高額の賞与の支給それ自体を残業代の支払と考えることはできません。
労基法37条を遵守せずに,こちらの言い分をいろいろ言ってみたところで,裁判所には単なる言い訳にしか聞こえませんから,こちらにとって厳しい判決になることが予想されます。