河野友見 *Y’z diary*

お仕事記録など

ヨーロッパ・コミックの父『タンタン』の最終章。

2008-01-13 | Art&Books
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ヨーロッパを主に、世界中の子供達に愛されているヨーロッパ発のコミックというと、何でしょう?
童話はヨーロッパ生まれのものが多いですが、外国のコミックやアニメというとスーパーマンとかディズニー等、アメリカのものを思い浮かべる事が多いと思います。

そんな中で、希少な「ヨーロッパ生まれのコミック」というと、「タンタンの冒険旅行シリーズ」です。
「タンタン」と聞けば最近はもう既にグッズやアニメで有名なので、「ああ、あのちょんまげ前髪の坊やと相棒のワンコのお話ね!」と思い出す方もいらっしゃるでしょう。
私も全部ではないですが、幼少の頃から数冊集めており、私の妹もアニメのビデオを持っていたくらいです。

ニッカボッカの愛らしい青年(子供に見えますがタンタンは大人なんですよね)とテリア犬スノーウィ。
更に周りのちょっとエキセントリックなキャラクターたち・・・
かなり天然のデュポン刑事&デュボン刑事(ソックリだけど2人は赤の他人)。
口は悪いが憎めないハドック船長(バーロー岬のコンコンチキ!という悪態は彼から学びました)。
そしてオトボケすぎていつも話の枠から外れかけているビーカー教授。
この揃いも揃って天然気味(シリーズに出てくる悪役も皆ボケてる人が多い)なキャラクター達にして、手に汗握るスリリングな冒険物語。

そんなワクワクする物語が、あの独特の柔かいタッチで描かれていて、可愛くてしかもオシャレ度の高いコミックなのです。

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ただ、あの「タンタンシリーズ」がつい最近までオリジナル・コミックが刊行され続けていた“現役長寿モノ”だったことを知る人は少ないと思います。

実は「タンタンシリーズ」は非常に長い歴史を持っています。
1929年(昭和4年)に初めて「タンタン」作品として新聞に掲載されたというのですから、実に79年も前に生まれたんですね。
(ちなみに1作目のタンタンは現在よりももっとプヨッ、ポッテリとして、早く走れなそうな姿です。更にスノーウィは痩せこけて「エサあげてないのでは」と心配になるほどです。)

そして、昨年12月5日、記念すべきシリーズ23作目『タンタンとピカロたち』、24作目にして最終刊『タンタンとアルファアート』が刊行されました。
本当につい最近、ようやくシリーズ日本語版が完結したんです。

しかし原作者のエルジェは1983年に逝去しており、24作目の『アルファアート』は未完のままとなっています。
スケッチ状態でのみ遺された最終刊は、いわゆる下書き状態でペン入れがされておらず、話も途切れ、ファンとしてはそれを「最後の作品」と思って目にすると、多少ショックを感じるかもしれません。

しかし最終刊は「タンタンシリーズ」におけるエルジェの力量の軌跡と、貴重な資料でもあり、あえてそれまでのシリーズものとは違う作品と捉えることができます。
永遠に完成版を見ることができないからこそ、「タンタンシリーズ」の終わりを感じさせないものでもあるのです。
「ドラえもん」にしても、最後を見たくない、でも見たい・・という気持ちって誰でも持っていますものね。

ヨーロッパのエスプリが薫る、まさにヨーロッパ・コミックの父、「タンタンシリーズ」。
是非これまで読んだ人も、読んだことのない人も、手に取って楽しんでいただきたい最後の2作品です。


タンタンとピカロたち (タンタンの冒険旅行 23)


タンタンとアルファアート (タンタンの冒険旅行 24)


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