My ordinary days

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ふと思い立ち第2のキャリアを始めてしまった、流されがちなひとの日々を綴るブログです

Sting --If On A Winter's Night--

2011-11-11 10:14:42 | 音楽
タイトル通りwinter、冬をテーマにした曲集です。ドイツ・グラモフォンからの発売第2段ですね。冬というかクリスマスをテーマにした曲集が組まれることが多いと思いますが、スティングはクリスマスは商業的すぎて好きではない、といいます。というか、初めレコード会社からはクリスマスアルバムを作らないかという打診があったそうですが断ってこういうアルバムができた。選曲も派手派手しいクリスマスソングは避けられ、聖歌は入っていますがそれもメジャーなものはなし。
宗教歌、民族歌そして子守歌はろがメインですが家族の和や楽しいイメージはなく、冬の孤独、疎外感、闇の中で自らを省みるようなそんな曲調がほとんどですね。シブい。

しかし、これこそシンクロニシティ!共時性であります!ほぼ同時にこのアルバムと先日読了した「サンタクロースの謎」を手にしたのですが、
イエス様の物語が黙示する死と復活。季節のサイクル、新しい生命の光が生み出される春を暗がりの中で待ち望む季節、冬。わざわざ選んだわけではなかったのに今このタイミングでこのふたっつがぽぽん、と心に入ってきました。巡る命の物語です。

ティング自身は不可知論者でクリスマスの物語と冬至の伝統との間には線引きが必要と考えていますが、生きる指標としての神話が必要であると認めていますし彼が教会芸術から強い影響を受けていることも明言しています。スティングの創る詩はとても興味深い・・・・今回彼が作詩したのは少しだけで、ほとんどトラッドのものですが。

暗く、怖い曲も多い。スティングの高音は美しいが低音はぞくっとします・・・あまり通常のアルバムで歌わないキーをあえて使っている感じ?
聖歌、子守歌、そして冬をテーマにした伝統音楽またはクラシック音楽に詩をつけたものまたはオリジナルのもの、の大きく3つに分けられると思います。楽器は様々でチェロやバイオリンといった弦楽器各種、ケルティックハープ、フィドル、ノーザンブリアンパイプなどなど。

1 Gabriel's message
2 Soul Cake
3 There is No Rose of Such Virture
4 The Snow It melts thet Soonest
5 Chiristmas at Sea
6 Lo How a Rose Blooming
7 Cold Song
8 The Burning Babe
9 Now winter Come Slowly
10 The Hounds of Winter
11 Balulalow
12 Cherry tree Carol
13 Lullaby for an Anxious child
14 The Hurdy-Gurdy Man
15 You only cross my mind in Winter
16 Bethlehem Down
17 Blacke's Cradle Song
18 Conventry Carol

1、3、6、8、12はキリストの誕生物語。順に1・バスク地方の聖歌、イザヤ書を元にした15世紀の聖歌二つ(ともに薔薇を暗喩に使っています):ドイツの聖歌でプレトリウスが和音をつけた3とイギリスの聖歌6、8は聖歌というには激しいかな、16世紀のイギリス人殉教者サウスウェルの詩にトラッドシンガーであるクリス・ウッズが曲をつけた幼いイエス様の唄・・・。そして12はエジプトに向かう途中のヨセフとマリアのお話になっています。

伝統音楽他、ですが2はハロウィンの時期に子どもたちがもらうソウルケーキの唄ですが、これは元々は死者に捧げるためのものだそうです。4も伝統音楽で雪解けを待ち望む歌、5は船上でクリスマスを過ごす人の郷愁を描いており冒頭にゲール語の労働歌が入ります。7と9は・・・ツメタイ~。寒さに耐えきれず死を願う老人の歌:パーセル作のミニオペラ「アーサー王」からのピックアップ と、冬が徐々に訪れてきたので太陽の輝く季節が早く来るようにと祈るお歌。10、14、15は幽霊の物語・・・といってよいでしょう。スティングのオリジナルの10はどこかに旅立った彼女(冥界・・?)を悲しみの季節の中歌うもので、14はシューベルトの連作「冬の旅:辻音楽師」にスティングが詩をつけ、15はバッハのチェロ組曲第6番サラバンドをベースにスティングがオリジナルの詩をつけたもの。冬にだけ君のことが心によぎる・・そんな歌。

11,13,16,17,18 は基本的には子守歌。子守歌は子どもを安心させて眠らせる歌、のはずなのにそこで歌われるものはゆりかごの外に広がる暗闇の怖さを描いたものが多い。安心と不安と両方を与えている、というのがスティングが興味を持った点だそうです。うん、確かに・・・。
11は美しいのに怖い。元はスコットランドの讃美歌だそうです。ゆりかごの中で眠るイエス様に歌う子守歌。13はスティングとギタリストのドミニク・ミラーとの共作でやはりゆりかごの外の暗い世界を歌っています。16は幼児期から死に至るまでのイエス様の全てが描かれて子守歌ですが。全く安らがない~ 16世紀の聖史劇から採った曲で、ヘロデ王の幼児虐殺の物語も入り込んでいますからね・・・悪夢を見そうです。
17 は邪悪な存在とは無縁のものになっています。これだけ。これのみ。ふぅ、やっと子どもが寝付きます・・・

子の子守歌の持つ両義性・・・不安と安心感の交差は、邪悪なものを遠ざけるために自ら恐怖を口にすることによりその力を弱める、といった儀式的な意味もあるのかもしれないとスティングは言っておりますが。夜の闇は怖い。子ども、というか人はそのことを知っていなければならないかもしれませんが、今は夜でもなんでも明るいからね。テレビもずっとやっているし、LEDは明るいし~
今年は計画停電があったから少しは夜の暗さが身にしみましたが・・・ああいうのも、逆にいいかもしれない。人の力はこんなものだということを身体的感情的に理解できますから。

聴けば聴くほど心に染みいるアルバムです。まさに冬のアルバム。うちの中でぬくぬくとして聴いてますが^^


美しくそして恐ろしい雰囲気のあるこの曲をご紹介。子守歌です。わざと少しだけ音をずらすような指示をして歌わせたコーラスがスバラシイ。

♪O myedear hert, young Jesus sweet,
Prepare thy credil in my spreit
And I sall rock thee in my hert
And nevermair from thee depert

But I sall praise thee evermore
With sangis sweet undo thy glore.
The knees of my hert sall I bow,
And sing that richt Balulalow.


Sting - Balulalow

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