「がんサポート情報センター」の「がんサポート 最新がんトピックス」より引用
http://www.gsic.jp/topics/201106.php#01
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チェルノブイリ原発事故 未だ続くがん発症のリスク
1986年のチェルノブイリ原発事故後、放射性ヨウ素131に被曝した小児あるいは若年者は、放射線による甲状腺がんの発症リスクの増加が、長期間続いているとの見解がエンビロメンタル・ヘルス・パースペクティブ(EHP)誌3月14日号に発表された。
原子力発電所の近郊にある3地域(チェルニーヒウ、ジトームィル、キエフ)の住人1万2000人以上を調査した結果、放射線による甲状腺がんの発がんリスクが甲状腺被曝1*グレイ(1*シーベルトに相当)ごとに2倍となることが明らかとなった。
このリスクは9年以上におよぶ調査の間に減少することはなかったという。
この調査は、米国国立がん研究所のがん疫学・遺伝学部門の研究者とウクライナの研究者が共同で、事故当時18歳未満で放射性ヨウ素131を被曝した1万2514人を対象に行われた。 事故発生後の2カ月間に、対象者全員に対して甲状腺に吸収された放射性物質が測定され、その測定値を用いて放射性ヨウ素131の吸収線量が推定された。 10年間にわたって最多で4回、参加者は甲状腺がんのスクリーニング検査を受けた。初回の検査は事故後の12~14年後に行われ、食品(最大の被曝源は汚染された生乳)や事故当時の生活習慣も調べられた。 その結果、追跡調査期間中65人に甲状腺がんが認められ、放射性ヨウ素131の被曝量が増えるにつれ、甲状腺がんのリスクも増えていた。被曝時に若かった人ほど、リスクが高かった。このリスクに男女差はなかったという。また、1グレイ上がるごとに、甲状腺がんの発症リスクは2倍に上昇していた。 この結果から、放射性ヨウ素131に起因する甲状腺がんは、被曝後20年間も続いていることが推測される。さらに、被曝あたりのリスクは時間と共に減ることがないという。少なくともこの調査の間には減少しなかった。 放射線による発がんリスクは何10年も続くことが知られているため、リスクの減少が起きるかどうかを究明するために、被験者の調査は長期間にわたって行われる必要がある。
*グレイ=物質1キログラムあたりに放射線が吸収されたエネルギー
*シーベルト=人体への被爆の大きさ・影響度合いを表す単位
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福島原発周辺地区でも、是非このような長期にわたる調査を行って欲しいものです。
その調査結果を元に、現在の政府の対応(特に文部科学省と厚生労働省)、原子力・放射線関係学者の責任、地方自治体の対応などを検証して当時の責任者に責任をとってもらいたいですね。