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原発連休明けの生活(3) 放射線のこれまで
5月初旬、 空気中より、落ち葉がたまっているところや、雨水がよどんでいるところの方が放射線は10倍ぐらいになっています。それを直感的に分かれば、知らない時より被ばくはグンと減ります.
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これからいちいち、毎日の生活で放射線のことが頭から離れないと憂鬱ですから、この際、「放射線」のことを正しく理解しておいて、直感的に身を守るのが良いでしょう.
まず大切なのは、「放射線はどこから来ているのか」ということですから、それをイメージできるようにしたいと思います。
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もともとは、放射線というのは「光」ですから、どこかに光を出すところがあってそこから自分の体に降り注いで来るのです。多くの人は放射線が福島原発から来るか、もしくは何か遠くから放射線がやってくると錯覚しています。
実際にはそうではなく、福島市の人が浴びる放射線は、自分の目の前に浮いている「放射性物質の小さな粒」(黄砂のようなもの)から出ているのです。
自分の目の前に、目には見えないけれども黄砂のような小さな粒が浮いていて、それから少しずつ放射線が出ているので、それを合計すると、例えば1時間に5マイクロシーベルトという放射線になっているということです。
繰り返しますと、どこからか放射線という光が来るのではなく、身の回りに浮いている小さな粒から無数の放射線が出て、それが自分の身に降り注いでいるという感じです。
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だから、かつて3月下旬は、呼吸すると自分の体の中に入ってきますし、外出すると洋服につきます。自分の体の中に入った放射性の粒は、体の中の細胞を照らしてその一部を壊します。
洋服についた粒は、ブラシでもかけない限り、付いたままですから、放射線を出し続けるということになります。
粒には2種類あり、1種類がヨウ素で半減期(放射線が半分になる時間)が8日ですから、半月も経つとほとんど無くなってしまいます。
もう一つはセシウムで、こちらは半減期が30年ですから、自分の手で積極的に除かないと無くなりません。また、水に溶けやすいという性質もあり、梅雨が期待されます.
政府は今度の事件を小さく見せようと懸命ですので、「最近では空間の放射線量が下がってきた」と言っていますが、このように間違って覚えると、防御もできません.
4月になって、放射線量が減っている原因は二つあります。
1.ヨウ素の半減期が8日なので、その分だけ減っている。
2.空気中に浮いていた粒が地表に落ちたので、見かけ上、空気中で測っている放射線量が減っている。
特に2番が問題です。多くの読者が文科省の発表より、ご自分で測定された値が高いので、不安に思っていますが、それは、最初のころ福島原発からやってきた「粒」が地表に落ちる時期ですから、この時期では当然のことでもあります。
文科省やその他の公的な測定値は、地上5メートルとか10メートルという高いところで測定されているものが多いので、さらに小さめに出るからです。
しかし、人間は1メートルぐらいのところで生活をします。さらに子供は、地表から30センチとか50センチで息をしますし、幼児は砂場で遊びます.
だから、見かけ上測定値が小さくなっても、お子さんをお持ちの方はそれほど油断をしてはいけないということを意味しています。
放射性物質は交差点から、落葉が吹きだまりとなって落ちているところとか、雨といから雨が流れたところは、大気中より10倍から20倍の放射線を示しています.
また雑草や芝生には、かつて大気中にあった放射性物質が下に落ちて葉っぱについていますから、これも注意しなければなりません。
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今回の福島原発も破壊がチェルノブイリ等と違うのは、1)爆発が一瞬ではなかった、2)放射性物質が海に大量に流れた、という2点です。
破壊とそれに続く放射性物質の漏れが長引いたので、放射性ヨウ素のような「普通ならば早めになくなるもの」がまだかなり残っているということです。
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「連休開けの生活」の第2回目で、私が「福島原発の状態は忘れても良い時期になった」という意味は、たとえば、テレビで「4号機の下にある水の放射線濃度が100倍になった」と報道したとします。
原発で作業する人は被曝量が増えますから、慎重にしなければなりませんが、その4号機の水の放射線は「福島市や郡山市には届かない」ということです。
つまり、原発から直接、放射線が来るのではないので、(原発内で作業する人には恐縮ですが)一般の人には関係が無いからです.
もし政府や報道が「親身」なら、福島原発内の汚染水の情報ではなく、福島東部に流れた放射性物質の量や種類を言ってくれるはずなのです。
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また海の問題はとても複雑で、
1)これまで経験がないこと、
2)海流の動きによってかなり汚染地域が広がること、
3)魚、貝、藻類などで、生物の動き方が違うこと、
など非常に複雑です。従って陸上と違って、その放射線を考えるときにはかなり慎重にならなければならないことがわかります。
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以上全体を見渡しますと最も大切なことは、
1.チェルノブイリと似たぐらいの多くの放射性物質が放出されたこと、
2.長期間にわたって放射性ヨウ素が放出されたこと、
3.海に大量に漏れたこと、
の三つがあり、生活として考えなければならないのは、
1.我々が浴びる放射線は目の前に浮いている小さな粒(チリ)から出ている放射線であること、
2.最近では、空気中が減って、地表に落ちた放射線や吹きだまりに集まった放射性物質からの放射線が主になってきたこと、
などに注意する必要があることがわかります。
「生活編」で解説しますが、このことがシッカリ判っていると、今後は、「ときどき、掃除すると良い」、「マスクはそろそろ要らない」、「吹きだまりに近づかない」などの具体的なことが判ってきます. そうすると生活もずいぶん、楽になるでしょう.
(平成23年4月25日 午後 時、執筆)武田邦彦