健康長寿の窓口 (タロー8の脳腫瘍闘病記改め)

2009年に乏突起神経膠腫の手術を受け15年が経過したことを機にブログをリニューアル、健康長寿の情報を発信していきます。

シン・腸活時代 3 「運動は菌相を良くするのか?」

2024-07-10 15:49:34 | 日記

 マイキンソー判定の結果について、改善ポイントとして食生活が挙げられていましたが、その他に”運動”もありました。運動で改善できるのは酢酸産生菌(ビフィズス菌)、酪酸産生菌(フィーカリバクテリウム)、エクオール産生菌(スラキア)、やせ菌(クリステンセネラ科)だそうです。

 運動と言っても、いろいろござんす、ということで、特に私のようなジジイ(高齢者)で、ウォーキングが菌相に影響するかを調べてみました。

 ちょっと寄り道しますが、昨日、菌相は人相みたいなものと書きましたが、運動も人相に関係がありそうですよね。エビデンスは調べていませんが、健康長寿の四原則(食事、運動、睡眠、笑顔)で健康的な顔(人相)になると思いませんか!

 さて、Google Scholarという論文検索サイトで「walking exercise elderly gut microbiome」をキーワードに検索すると、高齢者に限定すると研究は少ないようです。その中で、アメリカの研究でピッタリな論文がありました。

 論文タイトルは「An exercise intervention alters stool microbiota and metabolites among older, sedentary adults」、つまり、「高齢者は座ってばかりではなくて運動することで腸内環境を変えることができるよ」、というものです。(Ther Adv Infectious Dis, 2021, Vol. 8: 1-11

どんな運動をしたらどんな効果が現れたのか(菌相の何が変わったのか)

運動:有酸素運動(毎週5分の少しきつめのウォーキング)とレジスタンス運動(少しきつめの筋トレ:ベンチプレス、レッグプレス、ラテラルプルダウン、関節可動域運動)の組み合わせを24週間

効果:ビフィズス菌(酢酸産生菌)、オシロスピラ菌(酪酸産生菌)、アナエロスティペス菌(酪酸産生菌)などの健康有用菌が増加し、プレボテラ菌やサクシニビブリオ菌などの炎症を起こす菌が減少(プレボテラ菌は多いとフレイルリスクが低いので、一概に悪玉菌とは言えません)

週1回の有酸素運動と筋トレか・・・、それもやっているんだけどなあ。

 ただ、運動がジジイの乱れた腸内環境を改善してくれるということが分かったので、運動の良さを再認識しながらウォーキングと筋トレを真面目にしようと思います。

 タイミング良く、先日、靴屋さんで見つけたRAKUWalkという、ライザップとアシックスが共同開発したウォーキングシューズを買ったところです。値段も手頃(6000円くらい)でした。




膝の負担も少ないようで、少し速く歩くこともできるようになりました。

 土踏まずの辺りにウレタンの出っ張り(HAZUPインナーソールと言うそうです)があって「歩けば足指グーパー」の効果があるみたいです。

筋トレも真面目にやって、菌相を変えることができるか?

 それにしてもマイキンソーって、健康長寿おたく心理をくすぐるビジネスだなぁ、良い商売してるなぁとつくづく思います。判定結果を見て、いろいろ試してみて数ヶ月後に変化があったか気になれば(いや、気になります)もう一回受けてみよう、となると渋沢栄一が2人飛んで行ってしまうわけです。

 

 

 

 


 

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シン・腸活時代 2 「はて、私の菌相は?」

2024-07-09 17:08:28 | 日記

 6月20日に試料を送って18日目の昨日、マイキンソーの結果が送られてきました。正確には、メールで解析完了のお知らせがあり、マイページからダウンロードしたというべきか。

判定は

つまり、「バランスが悪い」って、さ。

ショックゥ~ (^^;)

 判定は、健康長寿、ダイエット、美容、免疫、便秘、運動、不摂生の7項目で、その中でも最も重要な健康長寿に大きな問題ありで、免疫に関わる菌ちゃんの改善が必要らしく、本ブログの未来に暗雲が垂れ込む由々しき事態です。

 前々職では、腸内細菌の重要性、プロバイオティクス(十分量を摂取したときに宿主に有益な効果を与える生きた微生物)、プレバイオティクス(大腸に生息する微生物の餌になる食品成分)をバランス良く摂りましょう、と散々言ってきたし、自分自身も実践してきたはずなのに・・・。

冷静に結果の詳細を見ていきます。

 健康長寿は、ビフィズス菌とフィーカリバクテリウム属の2つの“健康長寿菌”の不足が問題で、これらは免疫に関わる細菌です。“菌”とか“属”とか、意味分かんないですね。説明は後程。

 ビフィズス菌は乳酸菌とともに最も名前の知られた菌です。最近は酢酸産生菌としても有名になりました。健康長寿菌ということですが、私は基準(男性)の半分です。ビフィズス菌が産生する酢酸は、殺菌作用、腸粘膜の保護作用があります。ビフィズス菌はその他にも、ビタミンB群やビタミンKを合成して身体へ供給してくれます。

 エサとなるオリゴ糖が含まれる牛乳やチーズを食べることが改善ポイントとのことですが、チーズは毎朝食べているし、牛乳の代わりに大豆由来のオリゴ糖が含まれる豆乳を毎朝飲んでいるのですが、これ以上、何をすれば良いのか、もっと食べろ、飲め、ということなのか。もちろん、ビフィズス菌の入ったヨーグルトも食べています。

 フィーカリバクテリウム属とは聞き慣れない菌ですね。酪酸を産生する菌の代表格です。酪酸産生菌には、アナエロスティベ属やクロストリジウム属といった、これまた聞き慣れないですね。

 私の場合、これらの酪酸産生菌をまるっと、ひっくるめて男性基準の1/3以下です。

トホホホホ

 ん?クロストリジウムって腐敗物質を作って悪臭を放つ悪玉菌じゃないの、と思う人はいるかも知れません。

 はい、その通り、クロストリジウムの中でもクロストリジウム・ディフィシルという種類が悪玉です。善玉菌はクロストリジウム・ブチリカム(“ブチリ”は酪酸を意味する)という種類なのです。人間にも悪いやつがいれば良い人もいる、と同じです。ということもあって、悪玉菌、善玉菌、日和見菌という分け方は古い考え方であって、私はあまり好きな分類ではありません。悪玉コレステロールとか善玉コレステロールという分け方も好きではありません。それぞれに悪玉コレステロールも本来は、細胞膜の原料となるコレステロールを肝臓から身体全体へ運ぶ良い働きをしているのですから。

 で、酪酸を産生するクロストリジウム属は、免疫をコントロールするTreg細胞の産生を誘導して大腸炎やアレルギーを抑制する、ということで注目され、昔からキノコなどの食物繊維豊富な食材を摂ってきた日本人には多いとことデス。私はキノコを毎日のように食べているのですが・・・。

 フィーカリバクテリウム属と合わせて、果物などの水溶性食物繊維や糖アルコールがエサとなるようで、毎日食べている果物も少し増やしてみるか・・・。

 そうだ、バナナは水溶性食物繊維のフラクトオリゴ糖が豊富で健康長寿菌に良いし、睡眠ホルモンのメラトニンの原料になるトリプトファンも入っているので、ヨーグルトに添える最強の果物かも。

 よし、オリゴ党になろう!

 もう一つの健康長寿菌、プロピオン酸産生菌にはディアリスター属という、これまた聞き慣れない菌が少ない、って言うか0.00%、ってないじゃないか!男性基準は0.01%以上と元々少ない菌ではありますが、アレルギー抑制作用があるプロピオン酸を作ってくれないとなると、クロストリジウムに負担がかかるってこと?

 以上の酢酸、プロピオン酸、酪酸、これらは今流行の短鎖脂肪酸です。

 その他、フソバクテリウム属という”不摂生菌”が基準の20倍多い(健常な腸ではほとんど検出されない)と言う点が改善点として挙げられています。大腸がんのリスクが高いということになるらしく、ヨーグルトや乳酸菌飲料、果物、玄米雑穀米を食べることが改善ポイントとのこと。あれっ?玄米雑穀米も食べているけどなあ。

 ヨーグルトを食べるタイミングも、菌が胃の中で胃酸によって死んでしまうのをできるだけ避けるために、食後にしていますが、これも間違ってないけどなあ。

 合点がいかないのは、やせ菌が少なくて、デブ菌が多いということ。BMIは20以下で、健診では「痩せ過ぎ」と判定されるほどなのに、おかしいな?個人差にしてもどうかね?

 総じて、これまでの食生活に問題があるとは思えず(キムチや納豆などの発酵食品も食べている)、という最悪の判定を真摯に受け止めるには、もう少し、発酵食品、エサを増やしてみるしかない。

 よく分からないので、酪酸菌についてCoPilotで調べてみると、酪酸菌は食品から摂取するのが難しくて、以下の食材で酪酸菌をサポート出来る、と回答がありました。

  1. イヌリン:  ゴボウやタマネギに多く含まれます。
  2. ペクチン:  柑橘類、リンゴ、バナナなどに多く含まれます。
  3. β-グルカン:  大麦や酵母に多く含まれます。
  4. トウモロコシの水溶性食物繊維:  トウモロコシに含まれます。

 私は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がバランス良く配合されて、しかも美味しく飲める湧永製薬さんの青汁「プレビジョン グリーン末」が大好きです。酪酸菌を増やしてくれることを期待して飲んでいます。

 ちなみに、酪酸菌を効率的に摂取したい場合は、マイぬか床を作るのが良いそうです。確かに難しいわ。

タイトル「菌相」について

 6月19日の投稿で、細菌”叢”は細菌”相”の方が適切な表記、と書きましたが、腸内環境はまさに”相”、人相の”相”です。なので、タイトルを「菌相」としました。

 コトバンクによれば、人相は「骨相、面相、手相などを含む総称。 身体の外見、形、動作および特徴から人間の性格、運命、未来の予見を行うのが人相学」とあります。

“菌”とか“属”とか

 全ての生物は「界・門・綱・目・科・属・種」の7段階で分類されます。例えばビフィズス菌はビフィドバクテリウム属で、ビフィダスヨーグルトで有名なビフィドバクテリウム・ビフィダムはその属の中の種の一つです。


薬膳を知って夏を乗り切る

2024-07-06 20:06:00 | 日記
夏!熱中症アラート発令❗そして暑い!
こんな時は夏野菜、と言うことで、家庭農園で採れたてのナス、キュウリ、オクラ、トマトに大葉です。
それぞれの性味と帰経を知って、バランス良く滋養です。
性は温める食材か、冷やす食材か。味は五味(酸・苦・かん・辛・甘)、帰経は五味と関連する臓腑のことです。("かん"は塩辛い、hotの辛いとは異なる、漢字変換できなかった)
食材には薬膳として意味があるのです。


ナス:涼 甘 脾 胃 大腸 
キュウリ:涼 甘 胃 小腸
オクラ:涼 辛 苦 肺 肝 胃
トマト:微寒 甘 酸 肝 脾 胃
シソ:温 辛 肺 大腸





サビを取る成分

2024-07-04 17:13:40 | 日記

 先日、鞄のベルトフックの金属のサビを取るために、金属サビ取り剤を100均で買ってきました。

早速使ってみると、

なるほど!

 

 良く落ちます(左がサビ取り前。右がサビ取り後、写真だとよく分かんねぇー)。

お手頃になりましたね。かつてサビ取り剤は、ホームセンターで数百円していた記憶があります。

 材質は結晶性シリカと記載されています。つまり研磨剤です。ステンレスに酸素が結合してできた酸化皮膜を削り落としている訳です。

 さて、最近TVのCMで、「サビを取って疲労感軽減」というサプリ(機能性表示食品)をよく見かけます。

サビを取るって、結晶性シリカなの?

エッ、まさか!

成分は、セサミン類とアスタキサンチンのようです。

 パッケージや広告に記載されている届出表示(機能性の簡単な説明)には「抗酸化作用を持つセサミン類、細胞の抗酸化作用を持つアスタキサンチン・・・、疲労感を軽減する機能」とされています。

 抗酸化というと酸化を防ぐと言うことだけど、「サビを取る」は酸化されたものを除去することではないかい?、ちょっと違うんでねぇ?

 と言うわけで、真相究明すべく、機能性表示食品なので、早速、消費者庁のデータベースで、エビデンス調査です。

 うーん、抗酸化作用についてはセサミン類、アスタキサンチンの作用、疲労感軽減についてはエネルギーを産生するミトコンドリアの機能低下作用について詳しく説明されています。ミトコンドリアの機能低下は酸化ストレスによるもので、酸化ストレスを低減することで機能回復(疲労感軽減)することのようです。

でも、サビを取るって、どこにも書かれてないよ-!

はて?

そもそも身体のサビって何?

 体のサビは、金属が酸素と結合して変化(酸化皮膜形成)するのと同じく、細胞も酸素と結合して変化(酸化)した状態です。

 細胞が酸化されるというのは、化学的にみれば、細胞を作っているタンパク質、もっと言えば、タンパク質を作っているアミノ酸が酸化されるということです。

 タンパク質が酸化されると形が変化するので、細胞の働きが弱くなります。ミトコンドリアも細胞の中に存在する細胞小器官で、タンパク質(アミノ酸)の塊なので、酸化されるとエネルギーを作ってくれなくなる、つまり疲れる訳です。

どうして、身体の中で酸化がおきるの?

  ミトコンドリアがエネルギーを作る時に酸素を使います。息を吸うのは酸素が必要だからです。この酸素のうち、0.1から2%は活性酸素種になると言われています。

活性酸素種というのは、その名の通り、反応性の高い酸素で、本来は身体に入ってきた病原菌をやっつける働きをするのですが、一部は身体の細胞にも攻撃をしてしまいます。

 ミトコンドリアは自分で活性酸素種を作っておきながら、自分自身を傷つけてしまうのです。

 ただ、身体の中にある活性酸素種を消すビタミンEなどの抗酸化物質が酸化-抗酸化のバランスを守ってくれています。ストレス(酸化ストレス)が強くなるなど様々な原因で酸化-抗酸化のバランスが崩れると酸化が進んでしまうわけです、

 細胞が酸化されてしまうとどうなるのか?

 以前にもブログで紹介したように、身体にはオートファジーとかユビキチン-プロテアソーム系などの機能があって、酸化された細胞やタンパク質を分解・除去してくれます。生命を維持(エントロピーに抗う)するために進化の過程で得られた素晴らしいシステムです。

このシステムが「サビを取る」ことだと思います。

 機能性表示食品の資料では、セサミン類にはオートファジー活性化作用がある、との記載があります。確かに多くの論文があります(ユビキチン-プロテアソーム系との関係はなさそうです)。アスタキサンチンのオートファジー活性化についての記載はありませんが、文献検索してみると活性化するようです。

 エビデンスはあるので「サビを取る」ということは間違いではないことは分かりましたが、セサミン類、アスタキサンチンのオートファジー活性化作用で疲労感軽減する、との説明はありません。

 機能性表示食品のパッケージ表示や広告は、消費者庁へ届出された範囲内で、というのが原則なので、「サビを取る」という表現は、範囲を越えているように思えるわけで、説明不足なのはとても残念です。

 広告宣伝は売れるため、です。が、誤解を招かないように、頭のサビを取って、考え直して欲しいですね。

 僕みたいに難癖つける変人はそうはいないと思いますけど・・・。

 何はともあれ、抗酸化、そしてオートファジー活性化は、健康長寿であるためのキーワードのようです。食事で摂ることができます。

 ストレスを控え、バランス良い食事で120歳を目指しましょう。


心に豊かさを持って老いる

2024-07-03 17:22:55 | 日記

 昨日は、ギターの練習が認知機能維持に良いかについて書きました。

  老化に伴う認知機能低下を防ぐことは健康長寿を全うする上で重要なことですが、ロコモやサルコペニア、フレイル(身体的、精神的、社会的)なども含めて俯瞰的に見て、ギターを弾くことが健康長寿の四原則(食事・運動・睡眠・笑顔)との関わりがどうなのか気になるところです。

今回は四原則のうち、食事と運動(ギターを弾くと栄養や筋肉がつくとか)は、直接は関係なさそうなので、睡眠について調べてみました。

 結論から言えば、認知機能と同じく、ギターとの関連があるエビデンス(科学的根拠)を見つけることはできませんでした。

はて?

どうしてエビデンスにこだわるのか?

 ブログという公の場で、ウソやゴマカシがあってはならないし、自分自身が120歳まで生きるためのモチベーションになるからです。

なるほど!

 ヒトのエビデンスは、細胞を取ってどんな成分が影響していたか、なんて調べることは難しく、動物実験で細胞を取るとしても、運動ならトレッドミル(いわゆるウォーキングマシン)で走らせた影響なら調べることができますが、ネスミに“楽器を演奏させて”なんて無理。

 なので、例えば、fNMRで脳のどこに変化があったかとか、電気の流れがどう変わったかなど機能的変化を調べるのが精一杯。それだけでも、根拠も無く○○が良いと言ってるよりはマシ。

 そんな中で、まず、運動するとよく眠れると言うけど「ホンマでっか」、ということで、運動が睡眠に良いというエビデンスを一つ。

 アイスランドの大学の研究、「習慣的な運動によって、最適な睡眠時間を確保し、不眠症の症状を軽減する」と、今年3月に論文発表しました。(BMJ Open 2024,14,e067197

 これは39~67歳の成人4,339人(男性48.1%)を対象に10年間の追跡調査で明らかになったもので、運動習慣は、週に2日以上、計1時間以上の運動をしていると回答した場合に「活動的」と定義しています。

 具体的には、10年間常に活動的だった群は通常の睡眠時間(6~9時間)であることが有意に多く、短時間睡眠(6時間以下)や長時間睡眠(9時間以上)は有意に少なかったそうです。

 有意に、というのは簡単に言えば「統計的に差がある」という意味です。

 では、ギター演奏をもっと広く解釈して、音楽を聴くと高齢者の睡眠に影響するのか。当たり前のようですが、「就寝時に6本の45分間の鎮静音楽テープ(西洋音楽は5種類、中国音楽は1種類)の中から好きなものを選んで3週間聴いた結果、高齢者の睡眠の質の向上、睡眠時間の延長、睡眠効率の向上、睡眠潜時の短縮、睡眠障害の減少、日中の機能障害の減少という有意な改善をもたらす」という論文がちゃんとあります。「Music improves sleep quality in older adults:Journal of Advanced Nursing Research 19 January 2005

高校の頃、琴のテープを聴きながら就寝していましたが、良かったのかな。今は、テープはどこかへ行ってしまった。

 次に、音楽を“聴く”から“演奏する”に絞ると、高齢者がピアノトレーニング(楽譜を読む、演奏する)と他の余暇活動の認知機能、気分、QOL (生活の質)に対する効果を比較すると、ピアノのレッスンを毎日4ヶ月間受けると、ピアノトレーニンググループで有意な改善が見られた、という論文がありました。

Effects of music learning and piano practice on cognitive function, mood and quality of life in older adults :Front. Psychol., 01 November 2013 , Volume 4

やっぱり、ピアノが良いのか、というか、ギターレッスンの調査はないのか?

 

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残念! そう言えば、ギター侍って言う人がいたな・・・。

 

 話はずれますが、効率的にピアノのレッスンを受けるにはを、脳機能的解釈した解説が、「ピアニストのための脳と身体の教科書」が参考になります。

 うん、楽器と睡眠の関係を調べていたら、科学的なレッスン法にも巡り逢えたぞ。

 まず、レム睡眠(浅い眠り)が楽器演奏の記憶定着に良いそうです。一晩ぐっすり眠ってしまうより、ちょっと昼寝が良いのかも。

「Memory consolidation and reconsolidation: what is the role of sleep?:Trends Neurosci 28(8):408-415」

 まあ、寝る前にジャンジャカできる人は、部屋の構造とか、楽器とかに限りがあるでしょうし、そもそも楽器演奏していたら交感神経が活発になって眠れなくなりそう(運動も同じ)。

 

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 それから、楽器演奏による筋肉への影響も研究されています。筋電図という装置を使って、筋肉の疲労しやすさを間接的に評価した結果、ピアニストは、速筋よりも遅筋の方が発達していることが分かった、というものです。遅筋は持久力に関わるので、手指の持久力を鍛えるには良いのかも知れません。ただし、健康長寿に関わるような筋トレにはなりませんね。

「EMG power spectrum analysis of first dorsal interosseous muscle in pianists. (Med Sci Sports Exerc 31(12):1834-1838)

 一方、「指をどの順番で動かすか」を記憶するにつれて、運動野(運動に関連する脳の部位)の活動が強くなるそうです。脳トレにも良いようです。

「The acquisition of skilled motor performance: fast and slow experience-driven changes in primary motor cortex: Proc Natl Acad Sci U S A. 95(3):861-868」

 また、Aパートを練習した直後にBパートを練習すると、Aパートの記憶が定着しないそうです。

 僕は、ある曲を練習していて、上手く行かないと別の曲に移ってしまう、という癖があるので、これは良くないのだな、と思います。こまめに休憩を取りながら、一つの曲、パートに集中します。

「Reorganization and plasticity in the adult brain during learning of motor skills.: Curr Opin Neurobiol 15(2):161-167」

 

 楽器演奏だけではなく、他の芸術もいろいろなことにに興味を持つこと、それによって社会と関わることができて、精神的、社会的フレイルの予防に繋がります。

 僕の先輩方にも、元気に様々な行事に参加されていらっしゃる方がいます。とても心豊かな老い方(失礼!)だと思い、マネをしたいです。

目指せ!元気で心豊かな高齢者!