健康長寿の窓口 (タロー8の脳腫瘍闘病記改め)

2009年に乏突起神経膠腫の手術を受け15年が経過したことを機にブログをリニューアル、健康長寿の情報を発信していきます。

プロテイン摂取は何時?

2024-10-22 17:25:58 | 日記

朝タン?

新聞で某通信販売の「朝タンのススメ」なる広告を見つけました。朝タンとは、食でタンパク質を摂る、ってことを言うらしい。夕食で多く摂っても筋肉ではなく脂肪になってしまうのだそうです。

はて、

タンパク質は運動の後や寝る前が良い、って認識していましたが、朝タンのエビデンスはあるの?

新聞広告には出典が記載されていなかったので、早速、調査開始です。

 

高齢女性で実証、遺伝子レベルでメカニズム解明も

早稲田大学のプレスリリース(2021年7月7日)によると、「マウスを使った動物実験で体内時計と朝のタンパク質摂取と筋肉増加が関係していた、そして高齢女性を対象とした調査で、3食のタンパク質摂取量と骨格筋機能に相関があった」のだそうです。

体内時計は、時間遺伝子によって時間を刻み、ヒトでは1日が24時間より15~20分程度長いと考えられています。中途半端な15~20分は朝日を浴びることでリセットされるので、1日を快適に過ごし、しっかり睡眠を取って翌日に備えることができます。

マウスでの実験は、まず、①タンパク質の多い朝食、②朝夕食とも同じタンパク質量、③タンパク質の多い夕食で筋肉量を比較したら、①が多いことを確認しています。

※ タンパク質はカゼインタンパクを使い、カゼイン20%含有を多い方、3%含有を少ない方、同量はそれぞれ11.5%含有とした。(多い方を14%,少ない方は3%、それぞれ8.5%を同量としたパターンもあり)

次に、筋肉の合成を高める作用が強いアミノ酸でお馴染みのBCAA(分岐鎖アミノ酸)を加えた朝食または夕食を食べさせたところ、BCAAの多い朝食の方が筋肉量が多く、BCAA以外のアミノ酸では増加しなかったそうです。つまり、朝食でBCAAを摂ることが筋肉を増やすには大事なのだということが分かります。

続いて、DNA情報を読み取る時計遺伝子(CLOCK遺伝子)が働かないマウスと、筋肉と関係のある時計遺伝子(BMAL1遺伝子)※が働かないマウスに朝食と夕食でタンパク質を食べさせて筋肉量を比べたところ、いずれのマウスも朝食でタンパク質を摂って筋肉量が増える効果が見られず時計遺伝子が関係しているらしい、とのことです。

※ CLOK遺伝子がBMAL1遺伝子とくっつくことで筋肉形成が始まります。

さらに、朝食時にタンパク多く摂るとオートファジーの活性化によって筋肉が増えるということも分かりました。オートファジーというのは、タンパク質をアミノ酸に分解して再度タンパク質を作るという生物が持っている機能です。オートファジーと健康長寿の関係については過去でのブログに書いているので、「gooブログ 健康長寿の窓口 脳腫瘍闘病記 オートファジー」で検索、ポチッて下さい。

マウスの実験は、「Distribution of dietary protein intake in daily meals influences skeletal muscle hypertrophy via the muscle clock: Cell Reports 36 , 109336」という論文で発表されています。

以上のマウス実験を受けて、65歳以上の高齢女性60人を対象に、3食のタンパク質の摂取量と骨格筋機能との関係を2017年10月から2018年2月まで調査したところ、「朝食で多くのタンパク質を摂取している人の方が、夕食で多くのタンパク質を摂取している人よりも、筋肉量(骨格筋指数)が増えた」という結果がえられたそうです。

夕食でタンパク質をたくさん摂ったら脂肪になる?

残念ながら、科学的根拠を見つけ出すことができませんでした。

皆さんご存知の通り、エネルギー源(糖質・、脂質)を摂ってもエネルギーを消費しないと余ったエネルギー源が脂肪となって身体に蓄積していきますよね。

タンパク質はほとんどが身体の構成成分となっていて、糖質・脂質が不足した時に、タンパク質が糖新生というプロセスを経てできたブドウ糖(糖質)がエネルギー源として使われます。通常、夕食後にエネルギーを使うことはないので、糖質・脂質が消費されずに残るので、タンパク質がブドウ糖になって蓄積されるということは起きないはずなのですが・・・。ただし、空腹で糖質が足りないとか、糖尿病や糖質代謝異常症などの病気の場合は、糖新生が活性化するので脂肪の蓄積につながることがあります。

運動する前と後のどちらが良い?

筋肉を作るときにmTORという酵素が働きます。mTORは筋トレなどの運動後に活性化されるので、タンパク質を摂るのは運動後が良さそうです。運動後の30~60分が「ゴールデンタイム」なので、消化吸収の速いホエイタンパクが良いです。

寝る前も良い?

就寝中は成長ホルモンが分泌されてmTORが活性化するので、お布団に入る前のタンパク質摂取も良いです。カゼインタンパクはゆっくり吸収されるので、寝ている間に長時間の筋肉合成効果を得るのに適しています。

成長ホルモンは深い睡眠の時に多く分泌されるので、質の良い睡眠を取ることが効果的ですね。眠りに入って1~3時間がポイントです。

サプリに頼るのも良いですが、昼寝は短めに、寝る前は部屋を暗くする、というのもアリです。

「筋トレをした時の就寝前のプロテイン摂取は効果的だ」との比較的新しい論文があります。

Protein Ingestion before Sleep Improves Postexercise Overnight Recovery(Med Sci Sports Exerc. 2012 Aug;44(8):1560-9.)

 

朝食と筋トレした後、そして寝る前にタンパク質を摂る、というのが理想のようです。

1日に体重あたり1gのタンパク質を摂りましょう。60kgの人なら60g、覚えやすいですね。

 

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腎障害だけじゃないよ

2024-10-21 17:04:40 | 日記

当ブログへのご訪問ありがとうございます。お陰様で日本ブログ村の「生活改善」部門で107サイト中5位に入りました(10月21日現在)。

今後もよろしくお願いいたします。

紅麹の腎障害問題が発覚して半年以上も経つというのに、今更のように医薬品の腎障害が週刊誌で採り上げられていました。

記事と同様の内容「”急性腎障害”の副作用リスクがある処方薬リスト(非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や降圧剤、胃腸薬など)」がネットで公開されていますので、詳細はそちらをご覧頂くとして、今回は医薬品の副作用についてのお話しです。

 

副作用って何?

そもそも医薬品は身体にとって異物です。また、医薬品の作用は複雑で“複数”あって、そのすべては解明されていないので、効き目だけでなく様々な副作用を生じる場合があります。

まず、世界保健機関(WHO)の定義によれば、医薬品の副作用とは、「疾病の予防、診断、治療のため、又は身体の機能を正常化するために、人に通常用いられる量で発現する医薬品の有害かつ意図しない反応」とされています。分かりやすく言えば、「通常に服用する量で、意図しないで起こってしまう“有害な”作用」です。

鼻炎薬を飲むと眠くなるのは副作用?

複数の作用がある医薬品には、期待する“有益な”作用とは別の作用が有益な場合は、通常は副作用とは言いません。鼻炎薬の中に含まれる抗ヒスタミン成分によっては眠気を催す製品があります。一方で、眠気の作用がある抗ヒスタミン成分を利用すれば、睡眠改善薬となります。鼻炎薬としては副作用となる眠気も睡眠改善薬としては”有益な”作用になるのです。

※ 眠気を催す抗ヒスタミン成分は、風邪薬や乗物酔い止めといった製品にも使われています。車を運転する場合、ドラッグストアなどで購入する際には、パッケージの「注意」に「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください。」などと記載されているか確認しましょう。最近は眠くなりにくい抗ヒスタミン成分を使っている製品もあるので、よく分からない場合は、薬剤師、登録販売者に相談しましょう。病院で処方されるお薬なら、お医者さんに聞くか、薬局で薬剤師さんに聞いてみましょう。

紅麹の腎障害は副作用?

紅麹のような食品で起きる有害事象(健康被害)を医薬品のように副作用と言うのは適切ではありません。また、小林製薬の紅麹製品(コレステヘルプなど)は、紅麹由来の成分で腎障害を起こすシトルリンが生成しない方法で製造されており(実際にシトルリンは検出されてないと言われています)、腎障害は製造工程の管理不十分が原因で生じた青カビ由来の成分”プベルル酸”が原因と考えられています。むしろ、コレステヘルプの「悪玉コレステロールを下げる」機能性関与成分の”米紅麹ポリケチド“がスタチン系脂質異常症治療薬(前出の週刊誌にも記載)と似ていて、スタチン系の副作用である”横紋筋融解症”による筋肉痛や筋力低下を起こりうる有害事象として考えた方が良いでしょう。

腎障害以外の副作用

前出の週刊誌に記載されている医薬品の全ての副作用を列記すると一冊の本になるくらい大変なことになるので、今日は高齢者に身近な解熱・鎮痛・消炎薬に絞ります。

2024年10月8日、厚生労働省が非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の添付文書(薬のトリセツ)について、重大な副作用として「心筋梗塞、脳血管障害」を追記するようにという改訂指示を発出しました(指示内容の詳細は割愛します)。医療用医薬品と一般用医薬品(処方箋なしでも買える)で追記する内容や書き方に違いはありますが、基本的には同じです。

「心筋梗塞、脳血管障害」が追記となる一般用医薬品は、イブプロフェンやロキソニンを含む製品が対象です。局所作用の貼り薬は除外ですが、私が使っている膝痛のお薬”「ロコアテープ(有効成分はエスフルルビプロフェン・ハッカ油)“は貼り薬であっても全身作用があるので対象となっています。膝痛で通院中の方は、気になったら主治医にご相談ください。

リウマチなどの膝痛では、症状によっては“セレコックス錠と”やそのジェネリック“セレコキシブ錠”(いずれも成分はセレコキシブ)を処方されている方もいると思います。セレコキシブは、プロスタグランジンという痛みの元になる体内物質を合成するシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素の作用を阻害します。このシクロオキシゲナーゼ阻害作用のあるNSAIDsには「妊娠中期の妊婦へのシクロオキシゲナーゼ阻害剤の使用により、胎児動脈管収縮を疑う所見を適宜確認する」旨が追記されます。

シクロオキシゲナーゼ阻害作用のあるNSAIDsには、イブプロフェン、インドメタシン、エテンザミド、サリチル酸メチル、ジクロフェナク、フェルビナク、ロキソニンといったお馴染みの成分もあり、同様の改訂がされます。

 心筋梗塞なんて、恐いですね。でも痛みや熱など辛いときは、用法用量を守って、少しでも異変を感じたらお医者さんへGo。


ちなみにNSAIDsの腎障害は、プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血管が収縮して腎血流量が低下し、尿量が減少することに起因します。また、膀胱排尿筋の収縮が抑制されて、膀胱の緊張を緩和作用もあることから、副作用を逆手にとってロキソニンが夜間頻尿に用いられることがあるようです(保険適応外です)。ただし夜間頻尿は高齢者に多いので、飲み続けると腎機能障害だけでなく、心筋梗塞や脳血管障害を起こすリスクがあるので注意が必要です。頻尿だからと言って市販のロキソニンを買ってきて自己判断で飲むことは絶対にしないでください。

 

効く”医薬品

週刊誌で医薬品の副作用が採り上げられたことで、医薬品の有効性と安全性や、特に機能性を標榜する食品の有害事象について興味を持ち、頭痛や発熱などの症状に”効く”というのはリスクを伴うものと理解して正しく使うこと、また、気になることがあったら専門家(医師、薬剤師、登録販売者)に相談することを意識する人が増えるのはとても良いことだと思います。

 

また、医薬品は”効く”ことで病気を自分自身で治そうとする力(自然治癒力)を助けてくれるものと捉え、できるだけ医薬品に頼らないようにすることも健康長寿に大切です。

 

自然治癒力を引き出す

治療中の方は主治医と相談の上、基本は食事(タンパク質を中心に)、運動(ウォーキングと筋トレ)、睡眠(質の良い眠り)と笑顔と感謝を心掛けましょう。そして歯を健康に保つことも大事です(私のお勧めはL8020という乳酸菌が配合された歯磨き粉です)。私の過去のブログを参考にしていただくと幸いです。過去のブログを見たい方は、「健康長寿の窓口 脳腫瘍闘病記 食事(あるいは運動、睡眠、笑顔)」で検索、ポチッとして下さい。


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さあ、歩きましょう! 運動しましょう!



ご注意ください

2024-10-19 18:05:04 | 日記

「ご注意ください」

というMeiji Seikaファルマの一面広告。お詫びの広告かと思いきや、ファルマの新しいタイプ(レプリコンワクチン)の新型コロナワクチン「コスタイベ」の接種拒否について誤った認識への対応です。

さて、問題になっているのは、”コスタイベ筋注“に対して8月7日付けで日本看護倫理学会(JNEA)が「現段階において拙速にレプリコンワクチンを導入することには深刻な懸念を表明します。」と緊急声明を表明したことに対して、Meiji Seikaファルマ(MP)が10月9日づけで見解を公表しています。

それぞれの主張を簡単にまとめると、JNEAは、レプリコンワクチンに対して安全性に関する懸念があり、ワクチンの新しさや長期的なデータの不足を理由に、慎重な対応を求めており、MPは、レプリコンワクチンの安全性と有効性について科学的データについて、製造販売承認に至った既存の研究や臨床試験の結果を示しています。

レプリコンワクチンに対するJNEAの懸念は主に、開発国や先行治験国で認可されていないこと、レプリコンワクチンが「自己複製する mRNA」であるために、レプリコンワクチン自体が接種者から非接種者に感染(シェディング)する懸念があること、です。2つ目の懸念がSNSで拡散され、医療に関わる学会の声明だけに、フェイクとは思えないのが拍車を掛けた、コスタイベを打った人は入店禁止になるなど世間を騒がすことになったと考えられます。

 

JNEAの懸念に対してMPは下記のように見解を述べています。

  • ヨーロッパで承認申請がなされ最終段階にあること、アメリカその他においても申請準備が進んでいること、日本では厳しい基準で実施した臨床試験の結果により有効性と安全性が確認されて厚生労働大臣が承認したものであり、安全性に懸念があるから海外で承認されてないというのは憶測で事実誤認である。
  • mRNAワクチンは、スパイクタンパクというウイルスの一部分を使用しているので、感染性のあるウイルスを形成することはない。

ここで免疫とワクチンについてちょっと寄り道します。

免疫のタイプにも色々ありますが、抗体による異物(病原体)排除にフォーカスします。ウイルスなど病原体が体内に入ると、B細胞という免疫細胞がその病原体専用の抗体を作り、病原体にくっついて力を弱めて体外へ排出します。

B細胞は病原体のタンパク質(つまりアミノ酸のつながったもの)のアミノ酸の並び方(バーコード)を記憶します。2回目に病原体が入ってきたときはバーコードを読み取って、専用の抗体を素早く作ります。これを獲得免疫と言い、ワクチンは獲得免疫を利用します。

病原体のウイルスは自分自身で増殖することができないので、動物の細胞に入り込んで細胞をタンパク質の工場として利用して自分自身を複製増殖し、細胞の外へ出て行き、呼気などを通じて他人へ感染します。

ワクチンは、ウイルスのバーコードを予め体内に送り込んでおくことで、人工的に獲得免疫をつくり、準備するためのものです。

バーコードを何にするかによってワクチンの種類が異なります。インフルエンザワクチンのような従来のタイプのように、殺したウイルス(ウイルスは生きものではないので殺すという表現は相応しくない)の一部をバーコードとするのが(不活化ワクチン)です。麻疹や風疹で使われているウイルス本体を弱毒化した生ワクチンタイプのあります。

ファイザー(コミナティ)とかモデルナ(スパイクバックス)いう名前で知られるようになった新型コロナワクチンは、ウイルスの一部分(スパイクタンパク)のバーコードとして、体内の細胞でそのスパイクタンパクを作らせるための設計図を使うタイプで、この設計図がmRNAで、遺伝子組換えワクチン、mRNAワクチンもと呼ばれます。

MPのコスタイベは、細胞がタンパクを作るときに働くレプリカーゼという酵素も混ぜておいて効率的にmRNAを作らせるもので、レプリコンワクチンと呼ばれます。mRNAを使います。つまり、レプリコンワクチンはmRNAワクチンの進化形であり、ファイザーのmRNAワクチンよりもmRNAの量を少なくして、効果が持続するという利点があります。

JNEAの声明にある“シェディング”という言葉は、元々は英語で「取りのぞく、離れる、放つ」を意味する“shed”であり、生物学では「細胞内(工場)で作られたタンパク(ウイルス粒子)を細胞(工場)の外へ”出す”(参考:

Wikipedia)」という意味で使われるそうです。

悲しいかな、誰かが“シェディング”を「感染する」と日本語訳したのでしょうか、レプリコンワクチンの安全性への懸念の元になっているようです。感染という意味で使ったとして、病原性のないスパイクタンパクが感染しても新型コロナ感染症を引き起こすとは思えないです。むしろ、他人のつくったスパイクタンパクが獲得免疫を作ってくれるかも知れません。

閑話休題コスタイベの研究結果は、厚生労働省のHPで公開されています。

ただ、厳しい審査を経て承認されたコスタイベであっても100%安全である)と言うのは難しい話です。以前のブログ「悪魔の証明」でお話ししたように、副反応が起こることが0%であることは証明できないので、代わりに、現時点でのデータに基づいてリスクが低いと評価されることが一般的です。JNEAの懸念の一つ、「mRNAがDNAそのものに影響を及ぼすのではないか(ヒトでの逆転写酵素の有無)」についても可能性はゼロではありません。ゼロあることを証明するのは悪魔の証明です。だからMPは、承認を得た科学的根拠をと述べているのです。

それに対して、科学的根拠のないJNEAの声明は憶測と(おそらく)感情的なもので稚拙という印象を受けました。

Meiji Seikaファルマは名誉毀損で反ワクチン団体を提訴するに踏み切ったようです。

コスタイベを承認した厚生労働省は9月17日に武見敬三・厚生労働大臣(当時)が、問題ないと表明し、昨日(10月18日)に武見敬三・前厚生労働大臣がコスタイベを公開接種したそうです。ファイザー製のコロナワクチンの時も、同じようなパフォーマンスがあったような・・・。

レプリコン問題はこの先、どうなることやら。いずれにしても、新型コロナに罹らない、ウイルスを感染させないことが大事です。感染者数が減少傾向にあり、ウイルスの毒性も弱くなってきているとは言え、後遺症は気になると琴です。特に高齢者、基礎疾患のある方、そしてその周りの方は、注意が必要ですね。免疫でウイルスから身を守るためには、タンパク質を中心にバランス良く栄養をしっかり摂って免疫細胞を元気にしておくことも対策の一つ。

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天高く○○肥えない秋

2024-10-02 14:46:56 | 日記

能登半島豪雨で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。

1日でも早く、秋の青く高い空をゆっくりと眺めることができる日が来るようにと祈るばかりです。

 さて、暦の上では秋でも記録的な猛暑が続いた9月が終わり、栗や松茸の収穫がニュースで採り上げられるようにもなり、少しずつ秋らしさを感じるようになってきました。これで金木犀の香りを楽しめるようになれば本格的な10月入りです。

 秋は、野菜や魚・果物くだものなど美味しいものがいっぱい。美味しいものに誘われて、馬肥ゆる秋です。肥ゆるのは”美味しいものは脂肪と糖でできている”からなのです。

 秋ナス、サツマイモ、カボチャ(夏に収穫、収穫後に追熟)などの秋野菜は夏野菜に比くらべて水分が少なく、味が濃く、甘みが強くなるのだそうです。

ブドウやリンゴ、ナシといった果物も、夏に光をたっぷり浴びて温度が高くて光合成が活発になって糖分がたくさん生成されて甘くなります。

    

 

 

 ちなみに、「秋ナスは嫁に食わせるな」ということわざがあります。美味しいものを嫁に食べさせるなという嫁いびりの意味だと思いがちですが、実は、ナスは身体を冷やす働きがあるので(身体を冷やす、温める食材については、9月9日のブログも参照下さい)、美味しくて食べすぎると身体に良くないと嫁の健康を気遣うという意味があります。サツマイモ、カボチャは身体を温める働きがあるので、秋ナスを食べる時はサツマイモやカボチャも一緒に食べるのが良いと思います。

 また、秋に旬を迎えるサンマやサバ、カツオなどの青魚や鮭は、 冬の低水温から身を守るために秋に脂肪を貯めるので脂がのって美味しくなります。

 ちなみに、サンマは身体を冷やし、サバは身体を温め、カツオはどちらでもない(”平”と言います)そうです。

 サンマは大根おろしとすだちとの相性が良いですが、いずれも身体を冷やす食材です。大根おろしをレンチンするとか、サンマを煮込むとか、工夫すると良いでしょう。

 サンマと温の食材の梅干しやショウガと煮込む我が家の定番料理は美味しくて理に適っています。こんな素晴らしい料理を作る私の妻は天才!。そしてビールに合う!お勧めします。

 そして、なんと言っても秋収穫の代表は、お米。品薄が続いていますが、美味しいお米は秋の味覚から外すことはできませんね。

 これだけ美味しい食べ物が揃う秋は馬肥ゆることになります。

はて、

秋に肥ゆるのは何故?

 そもそも食べ物を美味しいと感じるのは、身体が栄養価の高い食べ物を必要とする本能であり、美味しいものを食べたいと思うのは仕方のないことです。

 私たちの遠い祖先は食べ物が豊富でない饑餓の時代に生きていたので、脂肪や糖といった高カロリーの食べ物を見つけたときに食べておこうと行動することが生きるための術でした。それで脳が、高カロリーで美味しい食べ物に対して強い欲求を持つように進化してきたのです。

 さらに、美味しい食べ物を食べると脳内でドーパミンという快感を引き起こす神経伝達物質が放出されるので、高カロリーな美味しい食べ物を食べたいと強く思うようになり、欲求が繰り返されるようになります。

はて、

美味しいから食べるのは分かるけど、では秋に食べ物が美味しくなるのは何故?

 それは、食べ物が少なくなる冬に備えて栄養(脂肪)を蓄えるために、高カロリーの食材が食欲をそそるように仕組まれた自然の摂理と考えられます。

三大栄養素(脂質、糖質、タンパク質)は身体を動かすエネルギー源

脂質(脂肪)

 脂質は、細胞膜やホルモン、ビタミンDといった身体の組成成分の15%ですが、エネルギー源の25%でもあります(食生活改善指導担当者テキスト~健康教育編・栄養指導編~)。脂質のうち、脂肪酸がグリセリンという物質と結合したものが中性脂肪(トリグリセリド)で、皮下脂肪や内臓脂肪、筋肉間脂肪として蓄えられています。健康診断で気になる数値ですね。脂肪酸が糖やリンと結合すると細胞膜の成分となります。中性脂肪や細胞膜中の脂肪酸は、エネルギーが必要な時に切り離されて使われます(9キロカロリー)。

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

 脂肪酸は、オレイン酸などオメガ9系の一価不飽和脂肪酸、リノール酸やアラキドン酸などオメガ6系や、αリノレン酸などオメガ3系の多価不飽和脂肪酸、パルミチン酸などの飽和脂肪酸の3種類に大きく分けられます。

 飽和脂肪酸の多くは、肉、バター、チーズなどに含まれる動物性脂肪酸です。肉は筋肉を作るタンパク質摂取に重要ですが、血液中の中性脂肪やLDLコレステロールが増やす作用があり心血管系疾患のリスクが高くなるので摂りすぎに注意です。牛乳やヨーグルトなどの動物性脂肪酸には不飽和脂肪酸(トランス型)があります。トランス型の中でも工業的に生産されたマーガリンに含まれるタイプはLDLコレステロールを増やす作用があります。牛乳やヨーグルトに含まれるトランス型不飽和脂肪酸は僅かで健康に影響するほどのものではなく、むしろ、カルシウムやビタミンD、タンパク質摂取のメリットの方が大きいので安心して下さい。

 不飽和脂肪酸のほとんどは植物性で、LDLコレステロールを低下するなど健康に良い作用があります。亜麻仁油やえごま油に含まれるα-リノレン酸は体内で、中性脂肪を下げる作用のあるEPAに変換されて、さらにDHAに変換されます。ただし、変換効率(Folia Pharmacol.Jpn, 151, 27, 2018)はEPAで5%、EPAからDHAで0.5%程度なので、青魚から摂った方が効率よさそうですね。

 身体に良い不飽和脂肪酸が多いのであれば、筋肉に必要な必須アミノ酸が豊富なタンパク質を多く含んだ代替肉が注目されるのも不思議ではないです。

最近では、動物の肉を植物性肉に置き換えると、総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪や体重といった心血管系疾患臓病の危険因子が改善することが報告されています(Can J Cardiol. 40, 1198, 2024)。

糖質

 糖質は、身体の組成成分としては1%未満と少なく、エネルギー源の55%であり、三大栄養素の中でも最も多いです。エネルギー源となるのは糖質の中のブドウ糖(グルコース)です。エネルギーとなるのは脂質の半分以下の4キロカロリーです。食べ物には、ブドウ糖や果糖(フルクトース)の2つ以上が結合した炭水化物として含まれています。炭水化物のうち、消化吸収されてエネルギー源となるものが糖質、消化吸収されない(エネルギー源にならない)ものが食物繊維です(食物繊維は腸内細菌のエサとなってビタミンなどが作られます)。

 ブドウ糖は、筋肉と肝臓にグリコーゲン※1という物質になって貯蔵されます。肝臓にはその重量の約5-8%のグリコーゲンが貯蔵されていて、これは約100gに相当します。筋肉にはその重量の約1-2%のグリコーゲンが貯蔵されていて、これは約250-300gに相当します。エネルギー量に換算すると、肝臓のグリコーゲンは約400-500キロカロリー、筋肉のグリコーゲンは約1200-1500キロカロリーとなります。

 筋肉に多くのグリコーゲンが貯蔵されていますが、これは、筋肉に貯蔵していた方がブドウ糖(エネルギー)としてすぐに使うことができるからです。

 肝臓に貯蔵されたグリコーゲンはブドウ糖に戻って血液中に放出され、筋肉や他の細胞のエネルギーとして使われますが、最も多く消費されるのは脳です(約350~450キロカロリー、全身の約20~25%)※2。脳にもグリコーゲンは貯蔵されますが、約8キロカロリーと僅かなので、脳が24時間休みなく活動するために、肝臓からの安定したブドウ糖の供給が必要なのです。筋肉や肝臓はブドウ糖の貯蔵庫であり、血糖値の調整の役割も果たしています。

 しかし、頭(脳)を使わず、運動しないで消費されなかった余剰なブドウ糖は、徐々に脂質へと転換されます。脂質もエネルギーに使われないので中性脂肪として内臓や皮下、筋肉に溜まってしまいます。肥満の始まりです。食べ物が美味しいと運動量を超える量を食べてしまう、これが馬肥ゆる秋です。

 恐いのは、筋肉は痩せているのに内臓脂肪が多い、サルコペニア肥満です。一見すると太っているようには見えないけれど、実は内臓脂肪がたくさんついている状態(隠れ肥満)で、「馬肥ゆるではないから」と不健康であると気づかないでいるとメタボリック症候群に陥ってしまう、ということになります。

 ※1 グリコキャラメルの”グリコ”はグリコーゲンに由来していることは有名ですね。一粒で300メートル走れるとキャッチフレーズがあります。実際、年齢20歳の男性が分速160m で走ると、1分間に使うエネルギーは キロカロリーで、グリコキャラメル 一粒で 1.89分、約300m走れる計算になるそうです(Glico豆知識より)。

 ※2 肝臓は約360キロカロリーのエネルギーを消費し、心臓は1日に約145キロカロリー、腎臓は約137キロカロリーを消費します。

タンパク質

 タンパク質は身体の組成成分としては約16%と最も多く、エネルギー源としては15%で三大栄養素の中では最も少ないです。肉や骨、細胞のあらゆる基礎であり、エネルギーとして使われるのは(糖質と同じく4キロカロリー)、脂質や糖質が少なくなった時です。糖質・脂質を必要な量はちゃんと摂らないと筋肉のタンパク質がエネルギーに使われて痩せ細ってしまいます。フレイルの始まりです。

 痩せるのであれば「脂質・糖質制限はダイエットに良いじゃな~い」それは大きな間違いです。筋肉が少なくなると身体を動かすのが億劫になり、転倒のリスクも高くなります。また、運動量が少なくなるとエネルギ-が余って脂肪太りになってしまいます。さらに、デンプンを麦芽糖からブドウ糖へと分解するアミラーゼやマルターゼといった酵素もタンパク質なので、脂質・糖質を必要以上に制限すると酵素の働きが悪くなり、脂質・糖質を体内に取りいれる効率が悪くなり、結果、タンパク質が消費されるというフレイルスパイラルに陥ってしまいます。脂質・糖質とともにタンパク質をしっかり摂ることが重要です。特に筋肉量の減少が大きい高齢者は要注意ですので、タンパク質を日頃から意識しておきましょう。

天高く○○肥えない秋にする

 筋力と筋肉量を維持するためには、タンパク質をしっかり摂ることは、これまでも散々書いてきましたが、脂質、糖質も大事、そして運動量に見合う量を摂ることが”肥ゆる”を抑えるために重要。

 野生の動物は冬に備えて脂肪を蓄えますが、人間は冬でも美味しく食べる知恵を持っています。

エネルギー出納バランスの基本概念

厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)より転載

はて、

美味しいものは具体的にどのくらい食べるのが良い?

日本人の食事摂取基準2020年版では、脂質の摂取量目安は、男女問わず1日全体の摂取エネルギー量の「20%以上30%未満」です。

糖質の摂取量は、糖質と食物繊維を合わせた炭水化物として示されていて(食物繊維はほとんどエネルギーにならない)ので、炭水化物量=糖質量と考えて良い)、男女、年齢関係なくエネルギー量の50〜65%が目標量となっています。

何を、どれだけ食べる?

農林水産省が、1日に、「何を」、「どれだけ」食べたらよいかを考える際の参考なるように、食事の望ましい組み合わせとおおよその量を示したイラスト「食事バランスガイド」を提供しています。参考にすると良いです。

なるほど

 脂質・糖質の摂取とエネルギーの出納バランスを考えて美味しい秋の味覚を満喫しましょう。

 

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