抗てんかん薬投与についての投稿の続きです。
ドラマで、てんかん患者が働いている会社の上司から、「夜勤を控えるという特別扱いはできない、しばらく休んだ方が良いのでは」と言われ、ミヤビが院長の付き添いので会社へ説明に行った、というシーンがありました(原作では、ミヤビが三瓶に付き添う)。院長が(原作ではミヤビが)、「抗てんかん薬投与で発作が抑えられていること、障害のある人は特別扱いして欲しいのではなく、周囲が正しく理解して欲しい」ということを訴えました。「正しく理解」という言葉にジーンと来ました。同僚達はむしろ、才能のある人の復帰を歓迎していて、そこでまたジーンと。
”正しく理解する”ことは、てんかんに限ったことではないと思います。私の場合、職場復帰後、しばらくは抗がん剤治療を続けていましたが、当時の周りの方々にご理解いただくことができて感謝です。
さて、脳腫瘍の手術後に、痙攣発作がなくても抗けいれん薬を飲み続ける必要があるかどうかについて少し調べてみました。
脳腫瘍って、どんな種類で、どのくらいの大きさで、どのくらい進行しているか、はもちろんですが、脳のどの位置にあるのかで人それぞれです。ので、てんかん発作の症状、薬の効果も様々のようです。私は、乏突起神経膠腫(オリゴデンドログリオーマ)おりごでんd、右前頭葉に4cmくらいのグレード2でした。主に、さわむら脳神経クリニックの澤村先生のホームページを参考に簡単にまとめてみました(主治医に質問するときの参考にもなるので)。
長期的な予防投与は正当化されていない。予防的な投与が必要な場合、催奇形性リスクの少ない薬剤を選択し、適切な用量調整を行うことが重要。
- 悪性度の高い腫瘍ほどてんかんを生じる確率が高い。
- 低悪性度グリオーマ(乏突起神経膠腫グレード2が該当する)では6割以上,膠芽腫では5割程度の患者さんがてんかん発作を生じるといわれている。グリオーマの中でも特に乏突起膠腫はてんかん発作のリスクが高い。
- 放射線治療で腫瘍が縮小や消失した時にもてんかん発作が改善することがある。
- 乏突起膠腫ではテモゾロマイド化学療法で腫瘍が縮小するとてんかん発作が抑制される。
- てんかん発作のない患者さんに対する脳腫瘍開頭手術前の予防的な抗てんかん薬投与は利点がないとされている。
- てんかんのない脳腫瘍の患者に、てんかんの薬を予防的投与は原則的にはしない。
- 運転免許をなくすと仕事ができなくなる患者さんには予防的投与をすることがある。
- 腫瘍が治ってから薬を止められるかについては、学術的な結論は出ていない。
- てんかんリスクが低い、長い間てんかんがない場合は、主治医と話し合って決める。
- てんかんと車の運転免許の関係が問題。
う~ん、結局、ひとそれぞれか・・・。
なお、抗てんかん薬の中で、現在服用しているラミクタール(ラモトリギン)が推奨されています。薬価が高いとされていますが、安価なジェネリックにしています。
昨夜、放送されたドラマ「アンメット」のあらすじは「記憶障害のミヤビが、てんかんの予防投与(てんかん発作の既往歴ない)であることに疑問を持った三瓶医師が、ミヤビが実は側頭葉てんかん発作を発症していたことを知り、主治医である大迫教授が、記憶障害が起きることを知りながら発作が起きない最低の投与量をミヤビを検査することで設定していた事実を突き止めた」というものでした。さらに「抗てんかん薬の予防投与は推奨されてないことが一般的で、大迫教授も推奨しない考えであるにも関わらず、別の医師に処方箋を依頼していたこと、ミヤビの検査の際に会長が同席していた。」ということですが、大迫教授は、「投与量が多いと認知症のリスクが高くなる。発作が起きていたことが院内スタッフに知れ渡るとミヤビが医師として働来にくくなるので(発作は起きたことのない)予防投与していることにした」と反論していましたが、今後の展開が楽しみです。
はて?予防投与は推奨されてないの?との疑問が私の頭を過ります。
私は手術前の、確か3日前から抗てんかん薬を服薬し、術後も現在に至るまで発作を起こしたことはありません。術前、術中、術後とも投薬を受けていたのですから、発作が起きることはないですが、ドラマにあったように血中濃度や脳波の検査も術後の1年くらいは受けていたと記憶しています。
2018年(つまり術後9年経過)の西日本豪雨で、新幹線が足止めとなって出張から帰ることができず、抗てんかん薬が切れて2日間過ごしたことがありますが、発作が起きたらどうしよう、思っていましたが、杞憂に終わりました。もしかすると2日間は血中濃度が維持されていたのかも知れませんが。
そんなこともあり、主治医に「いつまで薬は必要なのですか?」と聞いたところ、「正しい答えはありません」ということでした。ドラマでもあった「何かあったら・・・」という病院の方針なのでしょうか。
入院中は、周りは脳疾患の方がほとんどで、夜中に痙攣を起こしてナースコールが鳴り響いていました。実際に痙攣されている患者さんを目の当たりにしたとき、とても恐怖を感じたのが15年経った今でも忘れられません。
次回の受診が7月にあり、主治医に「発作がなくても予防投与は必要なのか、もし投薬中止するとしたら、確認の検査が必要になるのか、警察へ提出している診断書(てんかんの薬を飲んでいて発作は起きてないので運転は大丈夫、との証明。1年に1回の提出が今は5年に1回となった)も必要なくなくなるのではないか」と聞いてみようと思います。次回の診断書提出は来年の5月、それまでに、「もういいよ」と言ってくれないかなあ。我が家だけでなく、国も医療費抑制につながると思うのですけどね。
今回の放送は、アンメット第6巻に基づいていました。
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