健康長寿の窓口 (タロー8の脳腫瘍闘病記改め)

2009年に乏突起神経膠腫の手術を受け15年が経過したことを機にブログをリニューアル、健康長寿の情報を発信していきます。

プロテオグリカンには理屈があるはず

2024-04-23 17:41:00 | 健康・病気

お約束の昨日の続きです。プロテオグリカンの膝痛緩和効果について調べてみました。

今摂取している機能性表示食品の「キョーリック プロテオグリカン」について、消費者庁の機能性表示食品の届出情報検索 を中心に深掘りしていきます。

検索条件を、届出者名“湧永”、機能性関与成分名“プロテオグリカン”とすると該当製品がヒットするので、詳細を見ます。

まず、この製品の機能性は「本品に含まれるサケ鼻軟骨由来プロテオグリカン・非変性Ⅱ型コラーゲンには、階段の昇り降りなど、ひざ関節の曲げ伸ばしやスムーズな動きをサポートすることが報告されています。また、本品に含まれるパプリカ由来カロテノイドには、骨吸収をおだやかにし、骨の健康維持に役立つことが報告されています。」ですが、今日は、機能性関与成分を「サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン・非変性Ⅱ型コラーゲン」に絞ります。

なお、”プロテオグリカン”を機能性関与成分とする製品は142件(2024年4月24日現在)、そのうち“サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン”は138件あります。ほとんどがサケ鼻軟骨由来です。

機能性の科学的根拠の説明に記載されている根拠となった臨床試験の論文(薬理と治療 45(2), 255-270 )をさっくりまとめると次のようになります。

「変形性関節炎の4段階の診断基準のうち0、Ⅰ、Ⅱに分類され特に重い疾患のない40~70歳未満の男女が、サケ鼻軟骨抽出物1日40mgを12週間摂取したら、「椅子から立ち上がる時」、「正坐時」、「起床時」、「階段の上り下り」、「寝るときの安静時」、「長時間もしくは長距離の歩行」で痛みの改善があった。」

うん、確かに痛みを和らげてくれるけど、痛み具合は主観的な評価だし、変形性関節炎が治った、とは言ってないです。ではどうして痛みが和らいだのか、論文では今後は体内の何が変化したのか客観的な評価が課題だと述べているように、明確な答えは分かりません。膝痛に良いのは理屈じゃねぇんだよ、なのですが、理屈はあるはずです。

消費者庁に届けられた資料を読むと、「加齢による筋力低下によって膝に負荷がかかって膝軟骨がすり減り、(軟骨中)のⅡ型コラーゲンが壊れた断片によって炎症性物質の産生が起こり、痛みとともに軟骨がさらにすり減る。プロテオグリカンが炎症性物質の産生を抑える。」のだそうです。ちなみに、プロテオグリカンはヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸がタンパク質と結合したもので、コラーゲンとともに軟骨を構成する水以外の主成分です。グルコサミンという成分もよく耳にしますが、グルクロン酸という糖の仲間と結合してヒアルロン酸ができます。ヒアルロン酸は、関節と関節の間にある滑液という液体の成分でもあります。

歳を取って筋力低下も一因ですが、プロテオグリカンもコラーゲンもヒアルロン酸も体内量が減ってくるのも原因なので、サプリで補いましょう、というのが膝関連サプリの謳い文句です。確かに、傷ついた軟骨はこれらの成分が隙間を埋めて損傷部位を修復しますが、関節軟骨には毛細血管が少なくて成分の含まれた血液の供給が限られます。骨は常に壊れて再生を繰り返す「代謝回転」により生まれ変わっていますが、軟骨は代謝回転のスピードが遅いので、なかなか元には戻りません。加えて歳を取ると再生する力も衰えてくるので、膝軟骨は元通りにはなりにくいのです。ネット検索すると、サプリなんかでは治らない、と言ってるお医者さんが殆どなのは、こんな理屈があるからです。一方で、周囲の滑膜からの小さな血管(毛細血管)が損傷した軟骨領域に伸びることがあり、ある程度の修復が可能になる、という話もあります。エントロピーに反することでもあるので難しいことだと思いますが、可能性は低いとしても時間を掛ければ元に近づいていくことは期待できます。元通りになるというよりも、炎症性物質を抑えるという点で痛みが和らぐのが理屈なのかも知れません。

さらに論文検索してみると、「運動が膝関節の半月板の軟骨細胞(軟骨の元になる細胞)を活性化する」などサプリ以外にも良い情報がありました。

体内の一酸化窒素合成酵素を活性化すると炎症性物質の一つ、インターロイキン1RA(IL-1RA)が作られるのを抑制する(Osteoarthritis and Cartilage (1996) 4, 77-84)、一酸化窒素合成酵素を活性化することが知られている食材は、以下の通りというものです。

その食材というのは、1. 葉物野菜、2. 鶏肉、魚介類、3. ビターチョコ、4. 赤ワイン、5. ニンニク、6. 柑橘系果物、7. ザクロ、8. スイカ、9. ビーツ、10. ナッツ類、11. セロリ、 12. ホウレンソウ、ケール クレソン、13. チャービル、14. チンゲンサイ、15. キャベツ、16. カリフラワー、17. ニンジン

結構、何でも良いじゃん!歩いて、バランス良い食事をして毛細血管の流れを良くすること、そしてプロテオグリカン、臨床試験の結果によれば12週間、あと10週間は続けてみようかな。


生きるために必要なのはバランス 〜東洋医学を科学する?〜

2024-04-12 18:33:55 | 健康・病気

 今日は3ヶ月に一度の脳神経外科での経過観察通院でした。経過観察と言っても、何も変わったことはなく、毎日服用し続けるお薬を処方してもらうだけです。病院で待ち合わせしていると色々と考えることがあります。

モビールのイラスト 常々、生きるってモビールのようなものだと思っていましたが、膝痛になって改めて感じました。

 今、痛むのは右膝ですが、それを無意識のうちにかばおうと左ひだりも痛くなります。そして今回のギックリ腰です。

 以前の投稿で触れたように、生命活動はエントロピーに抗う動的平衡に成り立つ、平衡はバランスの取れたシーソーのように止まって見えるが実は左右に動いているということです。体内ではヒトの場合、10万種類というタンパク質が様々な機能を持ち、その一つ一つが動的平衡という中で働いています。何十万ものヤジロベエが繋がったモビールみたいと思えてくるでしょう?!でもどこかの一つがバランスを崩すと全体が崩れてしまいます。

 これって東洋医学の考え方に似てると言うか、考え方そのものだと思うのです。

 西洋医学ではどこかの部位で異常が起きると、そこだけを治そうとします。それによって別の部位が異常を起こすと、またその部分だけを治そうとします。

 対して東洋医学では身体全体を診て(顔が赤いとか舌苔があるとか)、また、生活習慣(食事、すいみん、運動など)、環境なども考慮して「証」を決め全体のバランスが取れる漢方薬を処方します。

 福岡伸一先生が坂本龍一氏との対談(NHK eテレ)の中で、動的平衡を考えると漢方薬で全体を考えた治療が良いのかも知れないと語ってました。

 私は、東洋医学の方が良いとは言いません。だって現実、これまで散々西洋医学に助けて貰ってますから。今日も、いつも通りラモトリギンという抗てんかん薬を処方されました。今更このブログで説明する必要はないと思いますが、脳を手術すると、てんかん発作が起きる”可能性”があるので、その”予防”のためで、車の運転も服用によって発作が起きてないと診断書を提出しないと許可されません(これまで1回も発作はありませんが)。

 薬というのは基本的に異物なので身体は体外へ出そうとします。ラモトリギンの場合、グルクロン酸という化合物に酵素の作用でくっけて尿とともに排泄されます。この時、膝痛で使っている痛み止めのロコアテープの成分(エスフルルボプロフェン、ロキソニンの仲間)が体内にあると、酵素の働きが抑えられてラモトリギンが排泄出来なくなりラモトリギンの作用が強く出てしまい、その分、副作用(痒みなどの皮膚障害)も出やすくなります。バランスの崩れ、ですね。私は幸い今のところ副作用は出ていません。西洋医学に頼らないと運転ができないので、副作用(バランスの崩れ)のリスクがあっても仕方ないです。(痛み止めが一生続くのなら考えものですが)

 東洋医学の考え方には、生命が持つ自然治癒力を引き出すことが根底にあります。自然治癒力はエントロピーに抗って生命を維持することであり、これこそ、東洋医学だと私は思っています。40億年前に誕生したといわれている生命が長い年月を経て獲得してきたのが免疫、これはバランスを整える自然治癒力とも言えると考えていますが、また別の機会にもう少しお話できれば、と思います。

 ところで、今日の診察で「診療酸化型臨床実習を行うことへの同意書」なるものを提出しました。同意書の趣旨は、「医学部4~6年生が患者の診療にあたる診療チームの一員として医療の実際を学ぶ」というもので、私は医学には医術も必要との思いから同意しました。医学を学んでる皆さん、医術も学んで患者に寄り添う立派な医師になって下さい。

 こちらは、病院からの帰り道、駅まで25分程度のウォーキング中に、散り始めた桜と路面電車をパチリした写真。平和な広島を象徴する風景です。

 


ギックリ腰にコルセット

2024-04-09 16:45:03 | 健康・病気

 昨日は治まりかけた腰痛ですが、起床時に激痛が走り、数分間じっとしておりました。その後は痛みは和らぎ、取りあえずは歩くことはできました。10年前にギックリ腰になったときに整形外科で処方してもらったコルセットを装着すると更に楽になります。当時そのコルセット(マックスベルトR2)は10,000円くらいしたと思います(健康保険で半分還付)。今はネットで2,000円程度で買えるのですね。

 整形外科で装着方法を教えていただいた通り、ギュッときつく締めます。お腹が圧迫されるので食事中は外しておきます。

 10年前のものが役に立つので、ものは大事にしておくべきですね。何よりもギックリ腰にならないように、中腰を避けるとか、膝・太腿の筋肉を鍛えておくとか、ストレッチを欠かさないとかを意識します。(意識はしていたのに、今回は、ついウッカリでした)


小さなことからコツコツと骨・軟骨のためにもタンパク質

2024-04-05 18:22:45 | 健康・病気

 

 骨はカルシウムというイメージを持つ方が多いと思いますが、実はコラーゲンが20%を占めます。骨は鉄筋コンクリートの構造に似ていて、カルシウムなどのミネラルがコンクリート、コラーゲンが鉄筋に例えられます。つまり、コラーゲン(鉄筋)が骨を強くしているのです。

 コラーゲンはタンパク質でできていて、ヒトのタンパク質の約30%を占めるほど多く、そのタンパク質のアミノ酸は、グリシンが約33%、プロリン(ヒドロキシプロリンを含む)が約26%、アラニンが約11%で構成されています。

 グリシンは最も小さくてコラーゲン中のアミノ酸とアミノ酸を繋ぐ重要なアミノ酸です。プロリンとヒドロキシプロリンはコラーゲンの立体を安定化させる役割があります。アラニンは、立体構造と弾力性にも寄与しています。

 関節軟骨の約66~76%は水で、そのほかはコラーゲン・プロテオグリカンや非コラーゲン性糖タンパクなどで構成されています1。

参考資料:コラーゲンLabo.com

Wikipedia

関節軟骨組織構造・軟骨細胞と関節のトライポロジー特性(生体医工学, 44, 537-544, 2006)

 骨や関節軟骨の健康維持には、適切なコラーゲンの摂取が重要です。グリシン、プロリン、およびアラニンが豊富に含まれる食材を以下にご紹介します。

グリシン:豚の軟骨やゼラチン

プロリン、ヒドロキシプロリン:エビ、ほたて、するめ、タラ、サバなどの魚介類

アラニン:エビやカニ、煮干しやかつお節などの乾物類。

エビ、カニは関節軟骨に必要なグルコサミンも含んでいるので、お勧めです(エビ・カニアレルギーの方は注意)。

 昔から医食同源という言葉があるように、古くから特定の食品摂取と健康増進には深い関係があるようです。骨には骨の食材、関節には関節の食材が良いという漢方的な考えの裏付けでもあると考えています。

注意:アミノ酸は糖と反応して(メイラード反応と言います)、身体に良くない最終糖化産物(身体の「コゲ」とも言われる)を創ります。プロリンはメイラード反応を特に受けやすいアミノ酸なので、摂りすぎには注意です。言う、適切な食事を摂りながら、これらのアミノ酸をバランスよく摂取するのが良いでしょう。


タンパク質だけではフレイル対策にはならない

2024-04-03 17:11:34 | 健康・病気

 エントロピーの観点からタンパク質を摂ることが重要と考えていますが、昨日はエネルギーも必要というところで中座しておりました。

 はて??エントロピーとタンパク質の関係から結局何を食べたら良いのかがピンと来ないと思います。アメリカで女性看護師を対象にした調査で、中年期はタンパク質(特に植物性タンパク質)が女性の健康寿命に良いという研究報告がありました。主な植物性タンパク源は、パン、野菜、果物、ピザ、シリアル、焼き菓子、マッシュポテト、ナッツ類、豆類、ピーナッツバター、パスタだそうです(The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2024年1月17日号)。

 日本では、フレイル(フレイルとは心身ともに虚弱になって寝たきりの予備軍の状態)のリスク因子について京丹後市で調査した長寿研究があります。それによるとリスクに関係するのは、①糖尿病や高血圧症、がんの既往歴、肥満などの「代謝」、②「睡眠の質」、③「運動」、④食事、薬剤、居住地などの「環境」の4つで、運動と食事が重要、特にカリウムやマグネシウム、ビタミンB群、食物繊維(非緑黄色野菜や豆類)の摂取が少ないとフレイルのリスクが高くなるようです。食物繊維は腸内細菌叢(相)との関係もあるようですが、腸内細菌は別の機会に。

 結局はバランス良い食材を使って食事から摂るのが一番です。サプリなどで偏った栄養素摂取を続けるのは良くありません。サプリはあくまでも補助です。話題の機能性表示食品商品パッケージにも「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に食事のバランスを。」と記載(表示)することが義務づけられています(トクホ、栄養機能食品も表示義務です)。

 栄養素は糖質、脂質、タンパク質の三大栄養素に、ビタミン、ミネラルを加えて五大栄養素と言います。食物繊維を加えて六大栄養素と言うこともありますが、食物繊維は体内吸収されない糖質のことなので糖質としておきます。

 まず、フレイル対策にタンパク質の元になるアミノ酸のバランスをアミノ酸スコアと言いますが、スコアが100に近いほど良いタンパク源で、動物性タンパク質のほとんどが100です。鶏肉(ササミ)は低カロリー(100gあたり約98kcal)、サンマなど青魚にはDHA、EPAといった血液サラサラ成分や骨を丈夫にしてくれるビタミンD、サケにはこれらの栄養成分の他にアスタキサンチンという抗酸化成分が含まれ、筋肉の元になるアミノ酸ロイシンが豊富です。カツオもロイシンが豊富で、青、白、赤の魚で彩りよくフレイル対策になるでしょう。

食生活改善指導担当者テキスト~栄養指導・健康教育編~ 2021年3月(厚生労働省)

 でも手っ取り早く、しかも摂取量が分かりやすくタンパク質を摂るにはプロテイン系の食品(菓子類)が良いと思います(あくまでも補助ですよ)。

 私が試した結果、タンパク質グラムあたりの価格で見たコスパが高くて美味しいトップバリュブランドがお勧めです(あくまでも個人の感想ですよ)。ご購入の際は、他の栄養成分、アレルギー成分も確認して下さい。

商品

タンパク質

税抜き価格(円)

その他特徴

プロテインブランサンド クリームチーズ味

20g(4枚入り合計)

128

10種ビタミン/6種ミネラル

プロテインライトミールブロック

22g(4本入り合計)

148

10種ビタミン/6種ミネラル

プロテインバー各種

15g(1本)

98

製品毎にロイシン、カルシウム、鉄分などを増量

プロテイングラノーラ

牛乳200mLと合わせて23g

(1食分60g)

458

6種の素材(大豆、小麦、黒大豆、オーツ麦、アーモンド、苺)

 

プロテイン食品ではありませんが、同じくトップバリュの「ライトミールブロック(チーズ、チョコあり各税抜き128円)」はエネルギー補給として合わせて買っています(カロリーメイトみたいなもの)。