お約束の昨日の続きです。プロテオグリカンの膝痛緩和効果について調べてみました。
今摂取している機能性表示食品の「キョーリック プロテオグリカン」について、消費者庁の機能性表示食品の届出情報検索 を中心に深掘りしていきます。
検索条件を、届出者名“湧永”、機能性関与成分名“プロテオグリカン”とすると該当製品がヒットするので、詳細を見ます。
まず、この製品の機能性は「本品に含まれるサケ鼻軟骨由来プロテオグリカン・非変性Ⅱ型コラーゲンには、階段の昇り降りなど、ひざ関節の曲げ伸ばしやスムーズな動きをサポートすることが報告されています。また、本品に含まれるパプリカ由来カロテノイドには、骨吸収をおだやかにし、骨の健康維持に役立つことが報告されています。」ですが、今日は、機能性関与成分を「サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン・非変性Ⅱ型コラーゲン」に絞ります。
なお、”プロテオグリカン”を機能性関与成分とする製品は142件(2024年4月24日現在)、そのうち“サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン”は138件あります。ほとんどがサケ鼻軟骨由来です。
機能性の科学的根拠の説明に記載されている根拠となった臨床試験の論文(薬理と治療 45(2), 255-270 )をさっくりまとめると次のようになります。
「変形性関節炎の4段階の診断基準のうち0、Ⅰ、Ⅱに分類され特に重い疾患のない40~70歳未満の男女が、サケ鼻軟骨抽出物1日40mgを12週間摂取したら、「椅子から立ち上がる時」、「正坐時」、「起床時」、「階段の上り下り」、「寝るときの安静時」、「長時間もしくは長距離の歩行」で痛みの改善があった。」
うん、確かに痛みを和らげてくれるけど、痛み具合は主観的な評価だし、変形性関節炎が治った、とは言ってないです。ではどうして痛みが和らいだのか、論文では今後は体内の何が変化したのか客観的な評価が課題だと述べているように、明確な答えは分かりません。膝痛に良いのは理屈じゃねぇんだよ、なのですが、理屈はあるはずです。
消費者庁に届けられた資料を読むと、「加齢による筋力低下によって膝に負荷がかかって膝軟骨がすり減り、(軟骨中)のⅡ型コラーゲンが壊れた断片によって炎症性物質の産生が起こり、痛みとともに軟骨がさらにすり減る。プロテオグリカンが炎症性物質の産生を抑える。」のだそうです。ちなみに、プロテオグリカンはヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸がタンパク質と結合したもので、コラーゲンとともに軟骨を構成する水以外の主成分です。グルコサミンという成分もよく耳にしますが、グルクロン酸という糖の仲間と結合してヒアルロン酸ができます。ヒアルロン酸は、関節と関節の間にある滑液という液体の成分でもあります。
歳を取って筋力低下も一因ですが、プロテオグリカンもコラーゲンもヒアルロン酸も体内量が減ってくるのも原因なので、サプリで補いましょう、というのが膝関連サプリの謳い文句です。確かに、傷ついた軟骨はこれらの成分が隙間を埋めて損傷部位を修復しますが、関節軟骨には毛細血管が少なくて成分の含まれた血液の供給が限られます。骨は常に壊れて再生を繰り返す「代謝回転」により生まれ変わっていますが、軟骨は代謝回転のスピードが遅いので、なかなか元には戻りません。加えて歳を取ると再生する力も衰えてくるので、膝軟骨は元通りにはなりにくいのです。ネット検索すると、サプリなんかでは治らない、と言ってるお医者さんが殆どなのは、こんな理屈があるからです。一方で、周囲の滑膜からの小さな血管(毛細血管)が損傷した軟骨領域に伸びることがあり、ある程度の修復が可能になる、という話もあります。エントロピーに反することでもあるので難しいことだと思いますが、可能性は低いとしても時間を掛ければ元に近づいていくことは期待できます。元通りになるというよりも、炎症性物質を抑えるという点で痛みが和らぐのが理屈なのかも知れません。
さらに論文検索してみると、「運動が膝関節の半月板の軟骨細胞(軟骨の元になる細胞)を活性化する」などサプリ以外にも良い情報がありました。
体内の一酸化窒素合成酵素を活性化すると炎症性物質の一つ、インターロイキン1RA(IL-1RA)が作られるのを抑制する(Osteoarthritis and Cartilage (1996) 4, 77-84)、一酸化窒素合成酵素を活性化することが知られている食材は、以下の通りというものです。
その食材というのは、1. 葉物野菜、2. 鶏肉、魚介類、3. ビターチョコ、4. 赤ワイン、5. ニンニク、6. 柑橘系果物、7. ザクロ、8. スイカ、9. ビーツ、10. ナッツ類、11. セロリ、 12. ホウレンソウ、ケール クレソン、13. チャービル、14. チンゲンサイ、15. キャベツ、16. カリフラワー、17. ニンジン
結構、何でも良いじゃん!歩いて、バランス良い食事をして毛細血管の流れを良くすること、そしてプロテオグリカン、臨床試験の結果によれば12週間、あと10週間は続けてみようかな。