
昨日、夫が現地案内から帰ってきてから、ため息ばかり・・・・。
「どうしたの?」
「子供ってなんなんだろうね?」
「なによ、いきなり!」
案内した物件が、駅から徒歩10分ほどのところにある東南角地の、土地約50坪
の立派なお宅だったとか・・・・。ところが荷物がかなり残っていて、生活ぶりが
手に取る分かる状況だったらしい。つまり生活していて、急に逃げ出したのか、い
なくなった状態だったのです。競売物件ではよくあることなので、夫がため息をつ
く理由は他にあるのです。
そこのお宅には、10年ほど前におばあさんが心臓発作で病院へ担ぎ込まれて亡く
なった後、80半ばのおじいさんが一人で生活していたそうです。癌も末期になっ
て病院に入院して、そのまま亡くなったようです。

そのお宅を売りに出したのは相続した3人の子供さん。長男は有名上場企業の幹部
で、他の二人も立派な社会人で、他府県で生活しているとか・・・。当然最後はい
ずれかの子供さんが見取ったはずですが、夫は寂しさを隠せませんでした。2階の
洋室の、扉が開いた収納の片隅に、古いガラスケースに収まった端午の節句の飾り
物や羽子板の付いた京人形があったそうです。それを見て、夫は胸が熱くなったそ
うです。どんな思いで3人の子供さんを育てたのだろう。一生懸命育てて、一流の
大学へ行かせ、立派な社会人にさせた挙句に、年老いて10年も一人にしておかれ
るなんて・・・。それだけではない。親がなくなったら、室内をきれいに片付け
て、せめて親の生活の様子が分からないようにして遺産となった実家を処分して
あげられないのだろうか。これでは「生き恥」ならぬ親の「死に恥」をさらしてい
るではないか。

夫のため息の原因は、こうだったのです。
夜遅く帰ってきて、食事をしている息子を横目にー息子もいずれこうなるんだろう
かーと思って、ちょっとさびしくなりました。
