2011年(平成23年)7月の初旬、淡路島にある野島断層保存館を訪問。
阪神・淡路大震災の野島断層は1998年(平成10年)7月31日に、
国指定の天然記念物に指定され、野島断層保存館として野島断層を保存・展示し、
地震の爪跡を後世に残す貴重な保存館となっています。
阪神・淡路大震災は1995年(平成7年)1月17日5時46分52秒に発生。
兵庫県淡路島北部を震源とする都市直下型地震で、マグニチュードは7.3、震度7、
死者6434人、住宅被害は約64万棟におよんでいるそうです。
野島断層は、横ずれ成分をもった逆断層で、北淡町野島平林付近では、約150mにわたり最大で水平方向210cm、
上下方向120cmのずれが生じているそうです。
断層保存館内での野島断層では、南東側が隆起した20cm~50cmの上下変位、
70cm~150cmの右横ずれ変位が測定されています。
保存館内では、並走する主断層と副断層、食い違った畦・排水路・社の生け垣、破壊された道路の舗装などが明瞭に観察可能です。
館外には、活断層の真横でもほとんど壊れなかった家を「地震に強い家」として公開し、
当時の台所の様子も再現されています。
「阪神・淡路大震災」から25年、
この地震の被害特徴では、建物の倒壊、神戸市長田区を中心とした大規模火災が記憶に残ります。
この地震以降、建物などの耐震診断・耐震補強などが行われ、全体的な耐震強度の底上げは行われてきていると思います。
故に、2011年(平成23年)3月11日午後2時46分に発生した「東日本大震災」では、
建物倒壊被害は多少あったかも知れませんが、被害の特徴としては大津波による沿岸部での壊滅的な被害が記憶に残ります。
最近の地震災害で自分が一番ショックだったのは、2016年(平成28年)4月14日夜および4月16日未明に発生した「熊本地震」ですね。
わずかな時間軸の中で、震度7を2回、震度6強を2回、震度6弱を3回、観測されています。
地球の歴史・時間軸から見れば、人間の寿命や建物の耐用年数はほんの一瞬です。
木造などでは、大規模地震(震度6強~7程度)に数回遭遇すれば、木材は割れて釘もボルトも効かなくなりますよね。
建築物の存在期間中に大規模地震(震度6強~7程度)に数回遭遇する地震に対しては生命を守ることは難しくなります。
生命を守るための費用対効果、確率論では語れない難しい問題です。
建築基準法における耐震基準の理念は下記に示すことだと思っています。
①建築物の存在期間中に数度遭遇する可能性のある中規模地震(震度5強程度)に対しては、
ほとんど損傷もなく再使用可能な耐震強度を保有すること。(財産を守る)
②建築物の存在期間中に1度は遭遇する可能性のある大規模地震(震度6強~7程度)に対しては、
倒壊・崩壊する恐れのないこと。(生命を守る)
<出典:国土交通省>