まず、牛が食べた草はルーメンと言う150リットルものドラム缶大の発酵タンクに入ります。ここはphが6~7くらいの弱酸性で、人間の胃酸(ph1)のような強酸性の分泌液はありません。
よって取り込んだ微生物群は全く死滅する事なく、発酵タンクで培養されます。
ルーメンの分泌液は垂液と呼ばれ、phはアルカリ性が強い方が良いとされ、胃液と反対です。出る量は胃液が1日に500g程なのに対して、垂液は150リットル程とケタ違いです。同じ哺乳動物でもずい分違うものですね。
phが何度も出て来ますが、これが重要なのは陽子(プロトン)を生体は様々な装置を使って利用しているからです。
プロトン ポンプは有名で、陽子が濃い所から薄い所に自然と流れるのを上手く利用し、その電磁気力でミトコンドリアはATP(生体エネルギー通貨)を作ってます。他にもプロトン チャネルやプロトン センサーなどもあって、陽子はミネラルの溶出以外にも多彩な活躍をしております。
話が複雑になってしまったので、ちょっと息抜きに私の事を話ますと、牧場を引き継ぐのには結婚している事が条件で、私は30代未婚でお相手を捜してます。
このブログを書く動機も、農業を一生の仕事として選んでくれる人と巡り会うキッカケになれば、というのが大きいのです。子供の名前は男の子は考えてましたが、女の子はまだで、陽子ちゃんもイカスなぁ、なんて考えました。
さて、ルーメンの話に戻ります。
これを発酵タンクと言うのは、内容物1g中に約100億匹の微生物が住んでいるからで、凄い数ですが人も負けてなく、腸内には1kgの微生物が住んでおりその数は1000兆匹に登ります。
ルーメンには数百種類の微生物の他に、絨毛虫というのも住んでおり、こいつが主に植物の細胞壁を分解してくれ、酸性を中和する水素も生んで、それは微生物の生育を促進します。
こいつは大きいのでバイオマスではルーメン微生物全てと同じくらいの量があり、牛のタンパク源としても25%を占めます。
他にも反芻用の胃や微生物を消化する為の胃腸などがありますが、牛の健康を最も左右するのはルーメンなので、その研究は多く成されています。
残念ながらEMがルーメンに及ぼす影響を研究した論文は見当たらず(英語のEM論文は400本程、中国語でも多いが調べづらい)、まだ現場の観察レベルですが効果は認められるので、研究に貢献できたらいいなぁと思います。