このチベット高原に生まれたばかりの「何もない国」では、母親も生活の糧を得る為に働く必要があるので、小さな子供たちの面倒は大きな子供たちが看るコトとなります。
なので「子供のサークル」での議題は「子育て」がメインとなり、これについては少女等が主導権を握ります。
彼女等もよく「大人のサークル(評議会)」から学び親達に信頼感を懐いていて、自分達がそう育てられた様にスキンシップを大切にします。
そうして肌から優しい刺激を多く受けて育った幼児は、精神が安定して社会性のある子供に成長します。
この子供達は十数才にして自発的にサークルの輪を創り、教育の神サラスワティーの転生者セイがそれを影でサポートします。
この頃にはもうセイはシタールの様な立派な弦楽器を完成させており、それはメソポタミア文明の栄華を極めたシバジーから教わり、自分でも発展させたモノとします。
「子供のサークル」は元々はセイの弾き語りを聴く輪から生まれ、みんなで歌うコトが毎回の恒例として引き継がれて行きます。
ここでの議題は「子育て」以外はもっぱら「遊び」についてで、遊ぶコトこそ子供の一番の仕事と言えるでしょう。
何もないシャンシュン王国では「遊び」も一から創造しなければならず、大人が作ったテレビゲームで遊ばされている今の子供たちよりも、遥かに創造性の高い子供が育ちます。
遊び道具としては年老いたヤクや、荷役として連れて来たポニー(馬の原種)がおり、こうした動物達は人間の子供等と遊ぶコトを喜びます。
年寄りヤクは非常に温厚で滅多に立ち上がりもしませんが、小さい子供が5人くらい乗ってもまるで苦にしません。
ポニーは人懐っこくて可愛く、大きくはならないので子供でも簡単に乗りこなせます。
あとは犬達も遊び相手となり、こうした動物達を活用した「遊び」について「子供のサークル」では熱い意見が交わされ、創造的な遊びが発展して行きます。