その先

ふと見上げた桜の木


葉は見事に散って


冬支度万全、と思ったら


枝々の先には


小さなふくらみがたくさん


桜はもう


来年の春の支度を整えていた


落とした葉や鳥、昆虫の落とし物を栄養に


雨を水分にして


目には見えないところで根っこが


寒さに耐えながらそれらを少しずつ集めては枝の隅々まで満たして


春に備える


わたしが冬支度を終えたころには


木々は次の春を見据えてた


私たちは日々を充実させようと


あらゆることを時間刻みでこなした結果


疲れ果てて


自分を見失う


木々はあわてず焦らず


でもあきらめもせず


地味だけど着々と


自分にしかできない仕事をこなし


その結果は


美しい年輪と環境に還っていく


私たちももう少し先を見据えて


じっくりと取り組むべきことがあるのではないか


命をつなぐためにするべきことが


ここではないどこかにあるような気にさせられた



初冬の桜のいとなみ




遊びに来てくださって、ありがとうございました