筑紫文化財研究所

筑紫における歴史的文化の探求と漫遊

太宰府天満宮のお下り

2012-09-21 23:44:47 | 太宰府

今日は年に一度、太宰府天満宮の菅原道真さんが
もと暮らしていた府の南館に帰る旅行の日です。
約4時間をかけて隊列を組んで移動します。
道真さんの乗られた輿は独特の掛け声で
あらぶることなくしずしずと闇夜の道を進みます。
太宰府の秋の風物詩です。

日展入選作「収穫」の修復4

2012-09-20 23:43:35 | 人形

腕の接着も安定したようですので、腕と袖の境の不整合を修正しました。


あとは耳の縁など細かな部分の補修、帯紐部位の接着、
汚れなどのふき取り作業などを施します。


これでおおよその修復が出来た状態です。

なお、この作品は福岡県立美術館での第68回福岡県美術展覧会(県展)第4期工芸・写真の部(平成24年9月25日火曜日~9月30日日曜日)で展示されます。

日展入選作「収穫」の修復3

2012-09-18 22:41:44 | 人形

腕の接着が安定するまでの間に折れた右足の表面処理です。
この部位も割れ口が砕けて接合部位に空隙があったため
石膏系の粘土で補填してセメダインCで接着しています。
このため接合部位の白色粘土がむき出しになっていますので、
周囲と同様な茶色の和紙で被覆する必要があります。


今の素材の和紙で馴染むものを探す余裕がないため、
今回は足の底に貼ってあった素材を剥離して使用します。


接着には炊いた米をすりつぶして水で溶いたノリを
筆に含ませて下地塗りや和紙に浸透させて貼りました。




和紙ですから伸びがあり、指でちぎると周辺の繊維がほぐれ
竹ヘラで中から外に向かってのばしてやると周辺とよく馴染みます。


足の補修はほぼ完成です。

日展入選作「収穫」の修復2

2012-09-17 23:07:49 | 人形

驚いたことに作品は白色粘土で未焼成、
ナマの白土の塊に布と和紙が貼ってある状態でした。
肩の内部は粘土が砕けて部分的には外側の布で
外形が保たれた状態になっていました。


そこで内部の砕けた塊をすべて除去し
内側に石膏系の粘土を押しこんで
指先で奥から砕けて残った粘土部分を覆うように
じょじょに形を整えていきます。


肩口まで成形し終わったら、腕部分を新しくした肩口に充ててみます。
何度か足りていない部位に粘土を貼り足して仕上げ、
最後に欠損した腕の割れ口を成形した肩口に押し当てます。
これで内側からの肩の修復の土台が完成です。
一旦腕を外して粘土が乾くのを待ちます。

日展入選作「収穫」の修復

2012-09-16 23:02:09 | 人形

昭和37(1962)年の日展工芸部門の入選作の故山村延華作「収穫」です。
いわくつきの人形で、博多人形師作としての日程入選は初の作品ですが、
当時の東京会場での展示中に修学旅行の学生があたって転倒破損したものです。
この度、福岡県立美術館で開催中の県展に故人の関連展示で出展のはこびとなり、
半世紀ぶりに修復することとなりました。


破損は肩口と右ひざ、左つま先です。
各部位とも割れだけでなく砕けており、
接合作業だけでは適わない状況でした。