『あまちゃん』最終週、「おらたち、熱いよね!」前半(151回~154回)の感想まとめ。
(後半はこちら。→『あまちゃん』最終週その2.感動をありがとう、あまちゃんたち。)
涙で顔がテッカテカ。
再放送で思ったこと。
久慈の人たちや岩手出身のエキストラさんたち、この人たちが『あまちゃん』に登場する数々の俳優さんたちの影武者であり、真の主役なんだなって。
関連リンク
・『あまちゃん』25週、復活・復旧・復興の道へ。
・『あまちゃん』24週、夏ばっぱやメガネ会計ババアたちが見てきたもの、これから見るもの。
・『あまちゃん』23週、まとめその2.さよなら、またね、ただいま、おかえり。
・『あまちゃん』23週、まとめその1.あまちゃんの描いた東日本大震災
以前のもの、本放送当時の記事はこちら。
・朝ドラ感想記事のまとめ。
■ユイちゃん、かっこいいね。
太巻から東京へ行かないかと誘われたユイちゃん。
しかし
「お構いねぐ」
「おばあちゃんになっても潮騒のメモリーズでやっていきます」
ってユイちゃんは夏ばっぱなんだ。
橋幸夫に憧れた少女時代からずっと北三陸の話題の中心に居続けた元祖北三陸のアイドル・夏ちゃん。
そうだよな「あまちゃん」の話は夏ばっぱの話だもんな。
笑顔のアキ、真剣な表情のユイちゃん。
ユイちゃんが見据えるのは太巻、そんなユイちゃんを見据えるのはミズタク。
「かっこいいね」
憧れの人、敏腕プロデューサーから最高の褒め言葉だよ、ユイちゃん。
太巻の表情が優しい。
東京も北三陸も線路が繋がる。トンネルを抜けられる。
ユイちゃんが希望を抱いて強くなったのは、北三陸の人たちが強かったから。
春子さん、夏ばっぱ、勉さん、ストーブさん、みんながユイちゃんを支えたから。
ユイちゃんは強くなった。
■「みんな君に会いたいんだよ」
「みんな君に会いたいんだよ」
震災があったからじゃない。被災地だからじゃない。
ユイちゃんに会いたいから、みんな北三陸に来た。
これをミズタクが言うからいいよなって。
こないだ久慈の秋祭りがあったし、夏場に実際南三陸のほうまで行ったわけだけど。
東北の三陸に行きたいのはそこが被災地だからではなく、「その地の人たちに会いたい」という気持ちが強いんだなってふと気づく。
それにしてもリアスで愚痴る鈴鹿さんに、天野春子最強伝説が語られるんだけれど。
・北三陸の初代積木くずす
・カフェオレ買ってきた男子の前歯飛ばす
・小学生の鞄潰して中に鉄板入れて武器にする
・県内最大規模の暴走族グループを解散に追い込む
・渡り鳥を寄せ付けない
ミズタクよく無事だったね(゜Д゜)
■琥珀の中のアリンコ
琥珀の中の8500万年前のアリンコをユイちゃんに擬えるミズタク。
でも太巻は「わかんない」、ミズタク自身も「違うなって」と。
ユイちゃんは8500万年前のアリンコじゃなくて、琥珀そのものだと思う。
ユイちゃんは、永遠に閉じ込められるアリンコではなく、自分の意志でそこにいる琥珀の原石。
いろんなことがあって、削れながらも磨かれて輝く原石。
その中に、地元愛に守られたアリンコの強さを秘めた原石。
「ファイナル勉さん」で、海女カフェが完成。
最後に置いたのは勉さんの琥珀。
ずっとずっと北三陸で原石を磨き続けてきた勉さんが残した証だなって。
なんてことのないシーンにも涙が溢れる。
■『アマカフェ』
「プロでもない素人でもないアマチュアのなせる業、まさにアマカフェだ」
太巻が上野で作りたかったアマカフェ。
そうか「奈落にいた頃が楽しかった」はここにつながるのか。
まだ完全にプロではなくかといって素人でもない奈落の頃。
海女カフェは北三陸の娯楽の象徴。
そんな娯楽を失うことをあの日のコンビニで実感して、でもその娯楽が人の心を救うことを体感したアキ。
生きていく上では後回しにされてしまうけど、でも人生に必要な娯楽。
アキは無意識に見抜いていたのかもなあ、「おらに出来ること」。
鈴鹿さんも、太巻さんも「できる事をやる」。
アキと春子さんにとって、この物語にとって、東京の象徴である2人の大人が本気を出す。
ていうか北三陸とか東京とかもう関係ないのかも。
ユイちゃんも言ってた、「同じ日本だし」と。
■鈴鹿さんと夏ばっぱ、東京と東北
「寄せては返す波」の結論が出ないまま歌うことに悩む鈴鹿さん。
「津波を連想するんじゃないかしら」
「するね。それが?何か問題でも?」
自然と共に、海とウニと共に生きてきた夏ばっぱ。
そんなことは問題じゃないんだと。
「歌っても歌わねぐでも 津波のことは頭から離れませんから。どうぞお構いねぐ」
夏ばっぱの言葉は『娯楽の力の限界』であり『自然と共に生きていくこと』であり、『もう一度立ち上がろうと頑張る人たち』。
本放送のときはあまり考えなかったけど、この鈴鹿さんの悩みと夏ばっぱの強さ。
もしかしたら制作陣も抱いていたことかもしれない。
久慈の人たちが本当に「お構いねぐ」って言ったのかもしれない。
それが133回の心に残る描写につながったのかもしれない。
新装はわからないけれど、そう考えると納得がいく。
■あまちゃん。
演技だとしてもこんなに笑える久慈の人たち。
素人でもなくプロでもなく、エキストラというあまちゃん。
震災を経て『娯楽とは何か』と問い詰めていた社会に、震災描写を取り入れたフィクション作品をNHKの朝ドラとして放送する。
視聴率も民放のそれとは意味が違い、「嫌なら見るな」が通用する時間帯のものでもない。
それでも、久慈の人たちと、久慈のあまちゃんたちとやってみようって。
「あまちゃん」 は、日本の元気な朝を「試運転」してみようって動き始めたのかもしれない。
「場所じゃなくて人」
「みんな君に会いに来たんだよ」
むむう、岩手に行って、久慈に行って、久慈のあまちゃんたちに会いたい。
お座敷列車やトンネルでの被災や、それからプロポーズ列車。
地元の人たち、地元の鉄道会社、それから東京のNHKの制作スタッフやキャスト。
いろんな力が集まって出来上がった作品なのだな、と背景の青空に改めて思うわけで。
少し時間が前後しますが、鈴鹿さんリサイタルでのシーン。
海女カフェはスタジオなので、こちらはエキストラの方々(岩手出身の方を集めたそうです)。
うちの母、「あまちゃん」はこの再放送が初見です。
『潮騒のメモリー』をしっかり聴いたのも今日が初めて(もちろん因縁も知らない)なんだけど、涙ぐんでいました。
「あの電車に向かって手を振ってるシーンもそうだったけど、こういうエキストラのシーンに弱いんだよね」と。
久慈の人たちや岩手出身のエキストラさんたち。
この人たちが『あまちゃん』に登場する数々の俳優さんたちの影武者なのかもしれないって。
■安部ちゃんとまめぶ
春子さんも鈴鹿さんも好きだけど、でも安部ちゃん。
甘いのか辛いのかわからないけど、安部ちゃん。
理由忘れたけど安部ちゃん。
東京にいたころのアキにとってあんべちゃんは『故郷』そのもの。
明示的に描かれた部分はさほどなかったけれど、あんべちゃんがいたから乗り切れたことはイナメナイヨネ。
それは甘いのか、辛いのかわからないけれど。
でもずっと支え続けてくれた、守ってくれた『故郷』のようなものか。
ウニ丼が北三陸を明示的に象徴していることに対して、暗示的なまめぶ。
ここにも対比があるのか。
■鈴木のばっぱ
登場回数はさほど多くないのに、物語に深みを加えている鈴木のばっぱ。
元気そうでよかった。
『田舎の高齢者』が元気に描かれると明るい気持ちになる。
■鈴鹿さんと薬師丸さん
鈴鹿さんの北三陸アバン、というより薬師丸さんの三陸アバンと言ったほうがいいのか。
「寄せては返す波」を眺めて「その日」を思う鈴鹿さん、というより薬師丸さん。
薬師丸さんご本人も『娯楽の力』に思い悩んだんだなと考えるワンシーン。
■リサイタルの前に
「落ち武者じゃん」「影武者じゃん」
春子さんは影武者であり落武者でもあることをユイちゃんは察知したのか。
普通の反応をするユイちゃんになんだかホッとしつつ。
「ユイちゃんも大概面倒くせえど」と。
■大女優とご当地アイドル。
「大丈夫、なるようになるから」
「んだ。なるようにしかなんねえがら」
力強い潮騒のメモリーズのふたり。
ふたりもいろんな困難を乗り越えて今ここにいる。
それを包み込む、「潮騒のメモリー」。
■声を
何が起きているのかわからない、でも何となく気づいたような表情の春子さんとアキ。
初見の本放送のとき、自分もこんな顔だったな。
「さっすがプロだな」
「んだ、紛れもねぐ鈴鹿ひろ美だ」
素人でもなくプロでもなくアマチュアたちがこしらえた海女カフェで、プロが歌う。
プロとは、何があろうと自分を貫く力と過去を認めて解放する力だと思う。
あえて歌の最中に美寿々さんとメガネ会計ババアの言葉をあえて入れるからうまい。
鈴鹿さんは、声を取り戻したことを改めて実感する。
■空へ
どうにか間に合った影武者・春子さん。
若春子に見えて驚く太巻。
太巻がずっと抱き続けてきた「春ちゃん」への『アイムソーリー』がもうすぐ終わる。
若春子もアキも今春子も太巻もミズタクも、全力で鈴鹿さんを守ろうとしたんだと思う。
鈴鹿さんは、その思いにこたえて、その人たちを笑顔にしたかったのかもしれない
封印していた「声」を解放させたプロ中のプロ。
あの日、タクシーの中からはじまった3人の因縁。
鈴鹿ひろ美から『天野春子』への「アイミスユー」が夜空に描かれて。
アキが太陽でユイちゃんが月と喩えられたように。
ステージに立つ鈴鹿さんが太陽なら、若春子の満面の笑みと涙は月みたいに美しい。
「来てよその日を飛び越えて」
25年、様々なことがあったけれど、よかった。
……なんて台詞はどこにもないけど。
多分太巻と春子さんは、鈴鹿さんの声に乗って成仏していく若春子を見ているんだと思う。
■三代前から
「三代前からマーメイド」
「親譲りのマーメイド」
「あの野郎、さでは最初っから決めてだな」
と美寿々さんとメガネ会計ババアが言うんだけれど。
これは鈴鹿ひろ美の向こう側にいる、クドカンに対しての、いろんな人の思いがこもった言葉なんじゃないかって。
■人生は
「涙で顔がテッカテカだぞ」
涙を流して謝る太巻。
リサイタルの最中、視聴者の気持ちを代弁してきたような眼鏡会計ババアから、北の海女の手拭いが渡される。
人生はやり直せない。逆回転できない。
間違ってしまうかもしれない。どうしようもない辛い出来事があるかもしれない。
でも、人は涙を拭いて、もう一度歩き出すことができる。
そんな全てを知っているようなアキの笑顔がいい。
■正宗さんの笑顔
正宗さんの笑顔がいいな。
真相?を知らないままなんだけど、正宗さんはそれでいい。天野春子のファン1号はそれでいい。
■あふれ出てくるもの
「脇汗すごいよ。押さえてないと溢れちゃうよ」
ガードポーズを固めて力説する太巻に、笑顔の春子さん。
ポーズ固めて押さえてないとあふれちゃうのは涙なんだろうな。
■鈴鹿ひろ美の『潮騒のメモリー』
「わざとだったりして。今日じゃなくて、今までがよ」
考えたくないと言いながらも、どこか笑顔の春子さん。
東北の皆さんに笑顔を届けたかった鈴鹿さん。
25年前、アイドル目指して東北から上京した鈴鹿さんの影武者も笑顔になりました。
海女カフェでプロが歌う。
何があろうと自分自身を貫き、それを演じていく力。
その時がきたら、封印を解放する覚悟。
そういうのがプロなのかもしれない。
鈴鹿さんの「天野アキを演じさせたら」の真意はここにあったんだなあ
奈落で太巻が春子さんに怒鳴ってたときには、まさか二人がこうして並ぶなんて想像できなかったな。
また涙が溢れ出るのを必死で押さえてる太巻の表情。
贖罪と感動と浄化と驚きと懐古、いろんな感情が入り混じってるんだろうな。
■夏ばっぱの『潮騒のメモリー』
「だから今日なんだよ」
海開き、北鉄開通式の前日に沖へ旅立った忠兵衛さん。
忠兵衛さんが知ってる『潮騒のメモリー』は春子さんのそれだけ。
誰よりも春子の声を聞き分けられる忠兵衛さんが、鈴鹿さんの『潮騒のメモリー』を聴かないで北へ行ってしまう。
序盤に春子さんがリアスで歌ったことが、何気なく生きてくるんだよなあ。
──置いてゆくのね さよならも言わずに 再び会うための約束もしないで
──北へ行くのね ここも北なのに 寒さ堪えて 波止場で待つわ
この回で明かされる潮騒のメモリーの真相というか、この曲に描かれている謎。
アキユイの歌でもあり、春子さん鈴鹿さんの歌でもあるんだけど、何よりのベースは夏ばっぱの歌ということ。
忠兵衛さんはいないけどいる。
夏ばっぱの中に。
春子さんの中に。
アキの中に。
海のどこかに。
世界のどこかに。
地球のどこかにいるグローバルフィッシャーマン。
忠兵衛さんを演じるのは故・蟹江敬三さん。
現実とリンクして、改めて涙が出る。
■中年結婚式
「花嫁姿見たい?」
落胆しつつも気丈に振る舞う夏さんを見て、春子さんができる最大限の励まし、最大の親孝行なんだろうか。
それを読み取ったかのような、アキの一瞬の戸惑い。
六者六様の表情がいい。
嬉しそうな鈴鹿さん、緊張してるのかな太巻、顎どうした大吉さん、涙ぐんでる安部ちゃん、戸惑い気味の正宗さん、はにかみ笑顔の春子さん。
中年たちがそれぞれ越えてきたその日の向こう側。大逆転の着地点
驚く夏ばっぱ、笑顔を取り戻した足立家、 立ち上がった北三陸の地元の人たち。
みんな笑って拍手してるだけなのに、なんでこんなに涙が出るんだろうなあ。
これまでのドラマがよみがえるからかな。
忠兵衛さんと夏ばっぱのDNAがブレンドされた春子さんに、夏さんは忠兵衛さんを見ているのか。
あるいは娘のドレス姿を見て、娘と自分の半生を振り返っているのか。
それとも「ありがとう」か。
宮本さんの表情がぐっと刺さる。
■勉さんが問うもの、渡すもの
北三陸の歴史を見続けてきた勉さんが「永遠の愛を誓いますか」と問い、ウニのリングクッションに乗った琥珀の指輪を手渡す。
これからは、それぞれが磨いていく琥珀の原石。
(後半はこちら。→『あまちゃん』最終週その2.感動をありがとう、あまちゃんたち。)
(後半はこちら。→『あまちゃん』最終週その2.感動をありがとう、あまちゃんたち。)
涙で顔がテッカテカ。
再放送で思ったこと。
久慈の人たちや岩手出身のエキストラさんたち、この人たちが『あまちゃん』に登場する数々の俳優さんたちの影武者であり、真の主役なんだなって。
関連リンク
・『あまちゃん』25週、復活・復旧・復興の道へ。
・『あまちゃん』24週、夏ばっぱやメガネ会計ババアたちが見てきたもの、これから見るもの。
・『あまちゃん』23週、まとめその2.さよなら、またね、ただいま、おかえり。
・『あまちゃん』23週、まとめその1.あまちゃんの描いた東日本大震災
以前のもの、本放送当時の記事はこちら。
・朝ドラ感想記事のまとめ。
■ユイちゃん、かっこいいね。
太巻から東京へ行かないかと誘われたユイちゃん。
しかし
「お構いねぐ」
「おばあちゃんになっても潮騒のメモリーズでやっていきます」
ってユイちゃんは夏ばっぱなんだ。
橋幸夫に憧れた少女時代からずっと北三陸の話題の中心に居続けた元祖北三陸のアイドル・夏ちゃん。
そうだよな「あまちゃん」の話は夏ばっぱの話だもんな。
笑顔のアキ、真剣な表情のユイちゃん。
ユイちゃんが見据えるのは太巻、そんなユイちゃんを見据えるのはミズタク。
「かっこいいね」
憧れの人、敏腕プロデューサーから最高の褒め言葉だよ、ユイちゃん。
太巻の表情が優しい。
東京も北三陸も線路が繋がる。トンネルを抜けられる。
ユイちゃんが希望を抱いて強くなったのは、北三陸の人たちが強かったから。
春子さん、夏ばっぱ、勉さん、ストーブさん、みんながユイちゃんを支えたから。
ユイちゃんは強くなった。
■「みんな君に会いたいんだよ」
「みんな君に会いたいんだよ」
震災があったからじゃない。被災地だからじゃない。
ユイちゃんに会いたいから、みんな北三陸に来た。
これをミズタクが言うからいいよなって。
こないだ久慈の秋祭りがあったし、夏場に実際南三陸のほうまで行ったわけだけど。
東北の三陸に行きたいのはそこが被災地だからではなく、「その地の人たちに会いたい」という気持ちが強いんだなってふと気づく。
それにしてもリアスで愚痴る鈴鹿さんに、天野春子最強伝説が語られるんだけれど。
・北三陸の初代積木くずす
・カフェオレ買ってきた男子の前歯飛ばす
・小学生の鞄潰して中に鉄板入れて武器にする
・県内最大規模の暴走族グループを解散に追い込む
・渡り鳥を寄せ付けない
ミズタクよく無事だったね(゜Д゜)
■琥珀の中のアリンコ
琥珀の中の8500万年前のアリンコをユイちゃんに擬えるミズタク。
でも太巻は「わかんない」、ミズタク自身も「違うなって」と。
ユイちゃんは8500万年前のアリンコじゃなくて、琥珀そのものだと思う。
ユイちゃんは、永遠に閉じ込められるアリンコではなく、自分の意志でそこにいる琥珀の原石。
いろんなことがあって、削れながらも磨かれて輝く原石。
その中に、地元愛に守られたアリンコの強さを秘めた原石。
「ファイナル勉さん」で、海女カフェが完成。
最後に置いたのは勉さんの琥珀。
ずっとずっと北三陸で原石を磨き続けてきた勉さんが残した証だなって。
なんてことのないシーンにも涙が溢れる。
■『アマカフェ』
「プロでもない素人でもないアマチュアのなせる業、まさにアマカフェだ」
太巻が上野で作りたかったアマカフェ。
そうか「奈落にいた頃が楽しかった」はここにつながるのか。
まだ完全にプロではなくかといって素人でもない奈落の頃。
海女カフェは北三陸の娯楽の象徴。
そんな娯楽を失うことをあの日のコンビニで実感して、でもその娯楽が人の心を救うことを体感したアキ。
生きていく上では後回しにされてしまうけど、でも人生に必要な娯楽。
アキは無意識に見抜いていたのかもなあ、「おらに出来ること」。
鈴鹿さんも、太巻さんも「できる事をやる」。
アキと春子さんにとって、この物語にとって、東京の象徴である2人の大人が本気を出す。
ていうか北三陸とか東京とかもう関係ないのかも。
ユイちゃんも言ってた、「同じ日本だし」と。
■鈴鹿さんと夏ばっぱ、東京と東北
「寄せては返す波」の結論が出ないまま歌うことに悩む鈴鹿さん。
「津波を連想するんじゃないかしら」
「するね。それが?何か問題でも?」
自然と共に、海とウニと共に生きてきた夏ばっぱ。
そんなことは問題じゃないんだと。
「歌っても歌わねぐでも 津波のことは頭から離れませんから。どうぞお構いねぐ」
夏ばっぱの言葉は『娯楽の力の限界』であり『自然と共に生きていくこと』であり、『もう一度立ち上がろうと頑張る人たち』。
本放送のときはあまり考えなかったけど、この鈴鹿さんの悩みと夏ばっぱの強さ。
もしかしたら制作陣も抱いていたことかもしれない。
久慈の人たちが本当に「お構いねぐ」って言ったのかもしれない。
それが133回の心に残る描写につながったのかもしれない。
新装はわからないけれど、そう考えると納得がいく。
■あまちゃん。
演技だとしてもこんなに笑える久慈の人たち。
素人でもなくプロでもなく、エキストラというあまちゃん。
震災を経て『娯楽とは何か』と問い詰めていた社会に、震災描写を取り入れたフィクション作品をNHKの朝ドラとして放送する。
視聴率も民放のそれとは意味が違い、「嫌なら見るな」が通用する時間帯のものでもない。
それでも、久慈の人たちと、久慈のあまちゃんたちとやってみようって。
「あまちゃん」 は、日本の元気な朝を「試運転」してみようって動き始めたのかもしれない。
「場所じゃなくて人」
「みんな君に会いに来たんだよ」
むむう、岩手に行って、久慈に行って、久慈のあまちゃんたちに会いたい。
お座敷列車やトンネルでの被災や、それからプロポーズ列車。
地元の人たち、地元の鉄道会社、それから東京のNHKの制作スタッフやキャスト。
いろんな力が集まって出来上がった作品なのだな、と背景の青空に改めて思うわけで。
少し時間が前後しますが、鈴鹿さんリサイタルでのシーン。
海女カフェはスタジオなので、こちらはエキストラの方々(岩手出身の方を集めたそうです)。
うちの母、「あまちゃん」はこの再放送が初見です。
『潮騒のメモリー』をしっかり聴いたのも今日が初めて(もちろん因縁も知らない)なんだけど、涙ぐんでいました。
「あの電車に向かって手を振ってるシーンもそうだったけど、こういうエキストラのシーンに弱いんだよね」と。
久慈の人たちや岩手出身のエキストラさんたち。
この人たちが『あまちゃん』に登場する数々の俳優さんたちの影武者なのかもしれないって。
■安部ちゃんとまめぶ
春子さんも鈴鹿さんも好きだけど、でも安部ちゃん。
甘いのか辛いのかわからないけど、安部ちゃん。
理由忘れたけど安部ちゃん。
東京にいたころのアキにとってあんべちゃんは『故郷』そのもの。
明示的に描かれた部分はさほどなかったけれど、あんべちゃんがいたから乗り切れたことはイナメナイヨネ。
それは甘いのか、辛いのかわからないけれど。
でもずっと支え続けてくれた、守ってくれた『故郷』のようなものか。
ウニ丼が北三陸を明示的に象徴していることに対して、暗示的なまめぶ。
ここにも対比があるのか。
■鈴木のばっぱ
登場回数はさほど多くないのに、物語に深みを加えている鈴木のばっぱ。
元気そうでよかった。
『田舎の高齢者』が元気に描かれると明るい気持ちになる。
■鈴鹿さんと薬師丸さん
鈴鹿さんの北三陸アバン、というより薬師丸さんの三陸アバンと言ったほうがいいのか。
「寄せては返す波」を眺めて「その日」を思う鈴鹿さん、というより薬師丸さん。
薬師丸さんご本人も『娯楽の力』に思い悩んだんだなと考えるワンシーン。
■リサイタルの前に
「落ち武者じゃん」「影武者じゃん」
春子さんは影武者であり落武者でもあることをユイちゃんは察知したのか。
普通の反応をするユイちゃんになんだかホッとしつつ。
「ユイちゃんも大概面倒くせえど」と。
■大女優とご当地アイドル。
「大丈夫、なるようになるから」
「んだ。なるようにしかなんねえがら」
力強い潮騒のメモリーズのふたり。
ふたりもいろんな困難を乗り越えて今ここにいる。
それを包み込む、「潮騒のメモリー」。
■声を
何が起きているのかわからない、でも何となく気づいたような表情の春子さんとアキ。
初見の本放送のとき、自分もこんな顔だったな。
「さっすがプロだな」
「んだ、紛れもねぐ鈴鹿ひろ美だ」
素人でもなくプロでもなくアマチュアたちがこしらえた海女カフェで、プロが歌う。
プロとは、何があろうと自分を貫く力と過去を認めて解放する力だと思う。
あえて歌の最中に美寿々さんとメガネ会計ババアの言葉をあえて入れるからうまい。
鈴鹿さんは、声を取り戻したことを改めて実感する。
■空へ
どうにか間に合った影武者・春子さん。
若春子に見えて驚く太巻。
太巻がずっと抱き続けてきた「春ちゃん」への『アイムソーリー』がもうすぐ終わる。
若春子もアキも今春子も太巻もミズタクも、全力で鈴鹿さんを守ろうとしたんだと思う。
鈴鹿さんは、その思いにこたえて、その人たちを笑顔にしたかったのかもしれない
封印していた「声」を解放させたプロ中のプロ。
あの日、タクシーの中からはじまった3人の因縁。
鈴鹿ひろ美から『天野春子』への「アイミスユー」が夜空に描かれて。
アキが太陽でユイちゃんが月と喩えられたように。
ステージに立つ鈴鹿さんが太陽なら、若春子の満面の笑みと涙は月みたいに美しい。
「来てよその日を飛び越えて」
25年、様々なことがあったけれど、よかった。
……なんて台詞はどこにもないけど。
多分太巻と春子さんは、鈴鹿さんの声に乗って成仏していく若春子を見ているんだと思う。
■三代前から
「三代前からマーメイド」
「親譲りのマーメイド」
「あの野郎、さでは最初っから決めてだな」
と美寿々さんとメガネ会計ババアが言うんだけれど。
これは鈴鹿ひろ美の向こう側にいる、クドカンに対しての、いろんな人の思いがこもった言葉なんじゃないかって。
■人生は
「涙で顔がテッカテカだぞ」
涙を流して謝る太巻。
リサイタルの最中、視聴者の気持ちを代弁してきたような眼鏡会計ババアから、北の海女の手拭いが渡される。
人生はやり直せない。逆回転できない。
間違ってしまうかもしれない。どうしようもない辛い出来事があるかもしれない。
でも、人は涙を拭いて、もう一度歩き出すことができる。
そんな全てを知っているようなアキの笑顔がいい。
■正宗さんの笑顔
正宗さんの笑顔がいいな。
真相?を知らないままなんだけど、正宗さんはそれでいい。天野春子のファン1号はそれでいい。
■あふれ出てくるもの
「脇汗すごいよ。押さえてないと溢れちゃうよ」
ガードポーズを固めて力説する太巻に、笑顔の春子さん。
ポーズ固めて押さえてないとあふれちゃうのは涙なんだろうな。
■鈴鹿ひろ美の『潮騒のメモリー』
「わざとだったりして。今日じゃなくて、今までがよ」
考えたくないと言いながらも、どこか笑顔の春子さん。
東北の皆さんに笑顔を届けたかった鈴鹿さん。
25年前、アイドル目指して東北から上京した鈴鹿さんの影武者も笑顔になりました。
海女カフェでプロが歌う。
何があろうと自分自身を貫き、それを演じていく力。
その時がきたら、封印を解放する覚悟。
そういうのがプロなのかもしれない。
鈴鹿さんの「天野アキを演じさせたら」の真意はここにあったんだなあ
奈落で太巻が春子さんに怒鳴ってたときには、まさか二人がこうして並ぶなんて想像できなかったな。
また涙が溢れ出るのを必死で押さえてる太巻の表情。
贖罪と感動と浄化と驚きと懐古、いろんな感情が入り混じってるんだろうな。
■夏ばっぱの『潮騒のメモリー』
「だから今日なんだよ」
海開き、北鉄開通式の前日に沖へ旅立った忠兵衛さん。
忠兵衛さんが知ってる『潮騒のメモリー』は春子さんのそれだけ。
誰よりも春子の声を聞き分けられる忠兵衛さんが、鈴鹿さんの『潮騒のメモリー』を聴かないで北へ行ってしまう。
序盤に春子さんがリアスで歌ったことが、何気なく生きてくるんだよなあ。
──置いてゆくのね さよならも言わずに 再び会うための約束もしないで
──北へ行くのね ここも北なのに 寒さ堪えて 波止場で待つわ
この回で明かされる潮騒のメモリーの真相というか、この曲に描かれている謎。
アキユイの歌でもあり、春子さん鈴鹿さんの歌でもあるんだけど、何よりのベースは夏ばっぱの歌ということ。
忠兵衛さんはいないけどいる。
夏ばっぱの中に。
春子さんの中に。
アキの中に。
海のどこかに。
世界のどこかに。
地球のどこかにいるグローバルフィッシャーマン。
忠兵衛さんを演じるのは故・蟹江敬三さん。
現実とリンクして、改めて涙が出る。
■中年結婚式
「花嫁姿見たい?」
落胆しつつも気丈に振る舞う夏さんを見て、春子さんができる最大限の励まし、最大の親孝行なんだろうか。
それを読み取ったかのような、アキの一瞬の戸惑い。
六者六様の表情がいい。
嬉しそうな鈴鹿さん、緊張してるのかな太巻、顎どうした大吉さん、涙ぐんでる安部ちゃん、戸惑い気味の正宗さん、はにかみ笑顔の春子さん。
中年たちがそれぞれ越えてきたその日の向こう側。大逆転の着地点
驚く夏ばっぱ、笑顔を取り戻した足立家、 立ち上がった北三陸の地元の人たち。
みんな笑って拍手してるだけなのに、なんでこんなに涙が出るんだろうなあ。
これまでのドラマがよみがえるからかな。
忠兵衛さんと夏ばっぱのDNAがブレンドされた春子さんに、夏さんは忠兵衛さんを見ているのか。
あるいは娘のドレス姿を見て、娘と自分の半生を振り返っているのか。
それとも「ありがとう」か。
宮本さんの表情がぐっと刺さる。
■勉さんが問うもの、渡すもの
北三陸の歴史を見続けてきた勉さんが「永遠の愛を誓いますか」と問い、ウニのリングクッションに乗った琥珀の指輪を手渡す。
これからは、それぞれが磨いていく琥珀の原石。
(後半はこちら。→『あまちゃん』最終週その2.感動をありがとう、あまちゃんたち。)
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