※おふざけ気味のエントリとなっております。
朝ドラ、大河ドラマ、民放連ドラ、スペシャルドラマ。
いろいろなドラマがあり、いろいろな分野のいろいろな名作があります。
大笑いしたり涙を流したり、感情を強く揺さぶられて唖然としてしまったり、何気ないセリフに励まされたり。
わからなかった時代背景なんかを調べてみると、脚本や演出の仕込んだ隠し味があって。
仕事や人間関係がうまくいかないとき、1時間だけでもフィクションの世界に没頭することで気分転換ができる。
そんな私のドラマ体験のはじまりが、『北の国から』でした。

中学時代だったでしょうか。
国語の教科書に脚本が掲載されていたんですね。
連ドラ版の最終回だったと思います。
そこで興味を持ったのですが、偶然にも父が同作品の大ファンで年季の入ったVHSを全て録ってありました。
ツメもしっかり折られて、大事に大事に書斎の棚にしまってあって。
ちょうど長期休みだったので、今でいう一気見。
90年代後半といえばバラエティ番組もドラマも黄金期を迎えていた時代ですが、そっちのけになるくらいに「北の国から」に夢中になりました。
「98’時代」の放送もあり、父と一緒に笑い涙しながら鑑賞した記憶があります。
どうしてあのとき「北の国から」にハマって、今なおそれが続いているのか。
中学時代になぜ突然ハマったのかは今となってはわかりません。
理由なくハマり理由なく飽きる中学生でしたので、純なり蛍なり五郎なり、誰かの生き方が琴線に触れたんでしょう。
それから15年近くがたち、多くのドラマ体験を積み重ねる中でわかったことがあります。
「ああ私は流れているドラマが好きなんだなあ」と。
背景に流れる季節、時間、光、空気。
そこが丁寧に描かれている作品は気に入る傾向にある。
原点はきっと「北の国から」です。
現実世界のように流れているフィクション世界。
その中に登場する人物は皆生きています。
大学時代の長期休み、アルバイトをしたお金で鉄道の一人旅に出ていました。
その一人旅、一番最初に訪れたのは北海道・富良野。
2000年代の話ではありますが、2017年現在ほどお一人様が許容される時代ではなく、それなりの恐怖感もありました。
それでもなぜか富良野は安心した。
麓郷をサイクリングしていると、どこかに黒板一家がいるような気がしてくるんです。
一人旅なんだけど一人じゃない。
現実なんだけど作品世界の中にいる。
流れるように作られたフィクションの「富良野」は、ありのままに目の前にありました。
なんだかくそ真面目な話をしてしまったのですが。
とにかく「北の国から」は魅力的な登場人物が多いです。
その中でも飛びぬけているのが、黒板純。
あの純。
クソ生意気なシティボーイズかぶれだったあの純。
人生の山なり谷なり乗り越えて、それなりに五郎さんの生き写しになったあの純。
中学時代に視聴しているときや、スペシャル版の「95’秘密」「98’時代」「2002’遺言」を観ているそのときにはなかなか気づかなかったのですが。
もしかして……
「純の人生ハードモード過ぎじゃね…?」

【ハード過ぎる「北の国から 」黒板純の人生】
1.突然の大自然に放り込まれる
2.自分のせいで妹が行方不明になった
3.大人への夢をへし折られる
4.周りの大人が色々とアレ
5.離婚した母が病死
6.不注意から家が全焼
7.警察の取り調べの時嘘をついて責任逃れ
8.高校時代の彼女が夜逃げ、駆け落ち計画おじゃん
9.手に入れた憧れのバイクは盗難車だった
10.東京で傷害事件を起こす
11.偶然出会った浮気相手を孕ませる
12.富良野の彼女は元AV女優
13.友人が自殺未遂、自分が発見者
14.ノウハウないまま牧場を相続するも、多額の負債を抱えて破産、行方くらます
15.羅臼でボコられる
16.人妻略奪婚に成功、のち破局
17.ネットで元カノと再会
18.東日本大震災後、原発作業員として働く。
ざっと見ただけでもこれはきつい。
というか純君、よくここまで生きてきたよね。
1981年の移住から始まり、1983年から2002年。
そして2011年。
黒板純の半生を、まずは連ドラ版から追いかけてみましょう。
吉岡秀隆さん、子役デビューから30年以上経って、男はつらいよ、Dr.コトー、3丁目の夕日やゴールデンスランバーなどなど数々の名作で好演してるけど、やっぱり黒板純がいいのう。#北の国から #BS日本映画専門チャンネル pic.twitter.com/kclepNLn9l
— ゆずず (@yuzu0905) 2015年7月23日
●突然、大自然に放り込まれる
黒板純(吉岡秀隆)と蛍(中嶋朋子)の兄妹が、父・五郎(田中邦衛)に連れられて富良野の地を踏んだのは、純が小学校4年生、蛍が小学校2年生のとき。


黒板一家が降り立った布部駅。
迎えに来たのが北村草太(岩城滉一)でした。

岩城滉一の若い頃って反町隆史みたい。


眼前に広がるのは麓郷の大自然。
五郎さんは心機一転の田舎暮らしにノリノリ。
「心配しないでもいい、蛍はずっと父さんといる!」って蛍は健気で可愛い。
でも純君…
そんな電気もガスも水道もない廃屋に住むって言いだしたもんだから。

「電気が無い!?電気が無かったら暮らせませんよ!」
それを言ったら話がはじまらねえんだよ!!

クマさん(南雲祐介)の宮沢賢治よかったなあ。
●自分の身勝手のせいで妹が行方不明になった
電気がないならないなりにどうにかしてしまうのが五郎さん。
大自然、再スタートする家族。
でも純はひたすら拝啓恵子ちゃん。
『恵子ちゃん、どうか助けてください…あれからもう5日…
毎日こき使われ、家の中は最悪の寒さであり…
思うに、父さんは逃げた母さんの腹いせに僕らをここで殺す気と思われ』
恵子ちゃん困るわ!!
五郎さんの指示で石運び(貯蔵庫用)を手伝う兄弟。

ここね、結構名シーンですよね。

小学生の兄妹、頑張ってます。
ぐっときますね。
「完全に頭にきた!」「殺す気だ!」とかわりと散々なことを言っているんですけどね。

……あれ、蛍だけじゃねえか。
純どこいった。

純なあおい純。
この回、純の東京帰りたい願望が原因で、蛍が行方不明になってしまうっていう。
何とも身勝手純君が描かれる回。
蛍は無事に発見されて、

「責任はぼくに…全部あるので…だけど…ぼくの体質には…北海道は合わないと思われ…」
「ぼくには…東京が合っていると…思われ……拝啓…恵子ちゃん……ぼくは…ぼくは…」
恵子ちゃん困るわ……
●大人への夢をへし折られる
連ドラの第16話。
元仏の杵次の偏屈じじい、杵次じいさん(大友柳太朗)が事故死する回。
このとき清吉じいさん(大滝秀治)のしみるセリフがある回。

「お前ら、わかっとらん。やっぱり、なーにもわかっとらん。功績者の気持ちを忘れとる!
忘れなかったのはあの馬だけだ。あの馬だけが、とっつあんをわかってた。
その馬を・・・手放したとき! その馬を売ったとき!」
声を荒げて怒る清吉さんの声が耳に残ります。
清吉さんの名セリフというと、
「お前ら、負けて逃げるんじゃ。ワシらを裏切って逃げ出して行くんじゃ。そのことだけはよーく覚えとけ」
が有名ですけど、こちらの方も好きですね。
というより清吉さんのセリフって基本的に全部沁みる。
そんな麓郷にまたひとつ廃屋が増える涙なくして見れない回なのですが、当時の純には悩みがありました。
エロ本を読むとチソチソがムズムズして、フキノトウみたくなってしまうこと。
女性の胸や尻ばかりに目が行ってしまうこと。
ほんとですって、北の国から界のベストオブイケメン・正吉とエロトークしながら言ってるんですよ。
「おちんちんがでかくなるんだよ!」とか「オレのちんちんフキノトウかよ!」とか。
「僕は…病気です……」って拝啓恵子ちゃんしちゃうくらいに悩みに悩んだ純のフキノトウ問題が解決するのが、この杵次さんの葬儀の夜。
(恵子ちゃん困るだろうな)
純はエロ本を燃やしながら、フキノトウ問題を五郎に相談します。
純「はずかしいんだけど、おちんちんが大きくなってしまう」
五郎「大人はみんなそうだ。」
純「みんな?」
五郎「うん」
純「父さんも?」
五郎「……最近はあまりないけれど……」
大人の階段上り始めたばかりの男の子にあんまり夢のないこと言わないで!!
●まわりの大人が色々とアレ、1人目
布部駅で登場していた草太兄ちゃん。
草太兄ちゃんのその後を知ったあとには涙なしには見られないシーンです。
ですが初期の草太兄ちゃんが男としてまあひどいったらもう。

つらら(熊谷美由紀)っていう彼女がいるのに、デート中に別の女性(涼子先生)をガン見。
デート中だっていうのにその人を口説こうとするも、相手にされないので悪態をつく。
これだけならまだいいんです。
草太兄ちゃん、つららさんっていう彼女いるのに雪子さん一目ぼれ。
(つららの悲劇がここからはじまる)
どこからつっこめばいいんだこの男。
いやわからなくもないんですけどね。
雪子おばさん(竹下景子)超かわいいもん。

今もお綺麗だけど当時可愛すぎるだろ。
草太兄ちゃんが一目ぼれしちゃうのわからなくもない。
いや、でもさあ。せめてつららとの付き合いを終わりにしてからとかさあ。
そんな捨てるようにしなくたってさあ。
こんな草太兄ちゃんと共に大人になる純ですよ。
三角関係を目の前にしている純ですよ。
どうですか。
草太兄ちゃんに捨てられたつららは、札幌でトルコ(ソープ)嬢しているところを清吉に発見されます。

「麓郷の事はみんな忘れた…。もう昔の事。遠い昔。」
「農家の暮らしは素晴らしくそれが人間の本来の姿だと思う。私はもう戻らないですけどね」
男に捨てられ、麓郷から都会へ逃げた切ないつららさん。
中の人、熊谷美由紀は当時既婚だった松田優作を略奪婚。
息子の松田龍平と松田翔太が大活躍。
つららもつららなりの幸せをつかんでくれているといいなと思いつつ。
●周りの大人が色々とアレ、2人目
そんな雪子おばさんもなかなかどうして。
純と蛍の母・令子(いしだあゆみ)の腹違いの妹。

下北沢での不倫ライフを送っていたものの思い悩んで、富良野の五郎たちを頼って同居。
連ドラ終盤でいったん東京に帰るのですが、スペシャル版の第1作「83’冬」では草太との結婚を決意。
ところが翌年の「84’夏」では、下北の不倫相手・井関利彦(村井国夫)と結婚。
長男大介を出産するんだけれども、「98’時代」で井関がまた不倫して離婚。
不倫したり破局したり浮気したり結婚したり破局されたり。
雪子おばさんもなかなかひどい。
「02’遺言」で息子と再会するも、その息子があああああ。
ところで。
「北の国から」の「不倫」といえば蛍。(なにそれひどい)
雪子おばさんと令子さんに関しては、こと蛍の方が被害が大きいと思うんですね。

ドアの隙間から五郎さんと蛍が覗いているのは……


別居中の母親の情事。
もっと言っちゃえば蛍なんて、小学2年生で母とその不倫相手の情事を思いっきり見ちゃっててさあ。だから自分も不倫体質になっちゃったんだよって思うとああああ……
— ゆずず (@yuzu0905) 2017年2月17日
●周りの大人が色々とアレ、3人目
純と蛍が通う中の沢分校。
その担任の先生というのが、先ほど少し登場した涼子先生(原田美枝子)です。

夢中になって少コミを読んでいるミステリアス加減。
「先生!正ちゃんがスカートめくった!」と女子児童が言うと。
「正ちゃんのズボンおろしてやりなさーい」っていう斬新な指導。
ちなみに涼子先生は喫煙者。
職員室でがっつりタバコふかしたり子どもたちの前でぷかぷかしてたりするシーンもあります。
こりゃあ今のご時世地上波じゃカットされちゃう部分なのかもわからんなあ。

ミステリアスな涼子先生、なんと宇宙から来た疑惑まで飛び出しちゃう始末。
でもそれは先生の辛い過去を暴くものでした。
(都会の進学校で教師をしていた頃、生徒が自殺するという事件っていうなかなかヘビーなやつ)
涼子先生はわりとテストに出ますので覚えておきましょう。
●周りの大人が色々とアレ、4人目
もうとにかく色々とアレなんですけど、やっぱり五郎さん。

きっかけは空知川のいかだ下り大会。
五郎さんが出会ったのは富良野市街にあるスナック「駒草」のホステス・こごみさん(児島美ゆき)。

ラブラブしやがってこのやろう。

五郎さんどこみてんの。
こごみさん、過去には五郎の親友・中畑のおじさん(地井武男)とも付き合っていて。
「親友がついにご兄弟におなりで」って言われちゃう。
でも気にしない、五郎さんそんなこと気にしない。
子どもの前でのイチャつき容赦しない。

「なぁこれ知ってるか??すぱっげてぃ…ぼんごぉーれぇ!ぼんごーれぇぇぇ!!!」
引くわな。
これは引く。

「軽薄にならないでください」と純のぼやき
蛍に至っては、こごみが作ってきたパスタを川に捨てちゃう始末。
「ぼんごぉーれぇ!」と言いながら。
蛍、なんって爆弾ガール。
黒板家カオス。
「一発屋の五郎」の一発当たらなくてよかったですよ、本当に。
「北の国から」の純の人生がハードモードで辛すぎる、ってのを書いてたんですが……連ドラ期の純って、母の不倫見せつけられ、叔母の不倫もまざまざと語られ、近所の兄ちゃんをめぐるドロドロを目の当たりにし、挙句父はホステスとイチャこき……これは純、屈折するわってちょっと切なくなってきた。
— ゆずず (@yuzu0905) 2017年2月17日
●離婚した母が病死し、そして…
母・令子との最後のお別れのため、東京へ向かった純。
令子の不倫相手・吉野(伊丹十三)とのスニーカーをめぐるやりとりで、自分が本当に望むもの気づかされます。

「母さん…雲が今日も綺麗です… 母さんが見たっていう雲はわかりません…
だけど…その雲を…僕と蛍は…どれだったんだろうと…時々…話しており…」
純……なんかいい感じにまとまってるけど……
君は…翌年から始まるスペシャル版で……
めくるめく『純おまえどうしようもないな』の沼へ沈み込むわけで。
●思ったより文字数使うね
以上、連ドラ版の純君ハードモード人生でした。
物語は83年からスペシャル版へ入ります。
このあと、不注意から家が全焼したり。
ラーメン食べてる途中に下げられそうになったり。
彼女の実家が突然夜逃げをしたり、泥の付いた1万円札に涙したり。
浮気相手を孕ませちゃって、誠意を問われたり。
ようやっと落ち着いた生活を手に入れても、彼女が秘密を抱えていたり。
唐突に妹と親友の結婚を知らされたり。
これまた唐突に負債を抱えることになったり。
北の国のさらに北の国で、ボコられたり。
「83冬」から「2002遺言」、そしてその先の2011年の物語まで。
純君のハードモード過ぎる人生を追いかけてみたいと思います。
続きだよ!
→『北の国から』黒板純の人生がハード過ぎる(その2)【ラーメンと万札】
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