妄想ジャンキー。202x

人生はネタだらけ、と書き続けてはや20年以上が経ちました。

『てるてる家族』最終週 その1.「ケセラセラ」 なるようになる

2016-09-30 21:49:10 | 朝ドラの感想
BSプレミアム・朝ドラアンコールにて再放送中、2003年BK制作、石原さとみヒロインの『てるてる家族』
25週、最終週のネタバレ感想レビュー。



秋子と冬子の物語は結末に向かって。



後半はこちら
『てるてる家族』最終週 その2.「ラブミーテンダー」、優しく愛して
『てるてる家族』最終週 その3.「グランドフィナーレ」、若いってすばらしい





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『てるてる家族』24週 その2.幸せのてるてる坊主をあなたに

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『てるてる家族』23週 その1.虚実皮膜の向こうに


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●冬子、おこです。


24週、ラスト3分のとんでもない展開(ローリーの雑コラ)で終わって、「おいおいこれ最終週行くのかよ」と笑いながら、いざ最終週。

まだローリーにうなされてる冬子。
和ちゃんに「俺のことは気にしないで」と言われたことも思い出して、もうイライラが止まらない。


和ちゃんにも怒鳴りつけちゃって、冬子らしくもない


弘子姉ちゃんにも理不尽な声掛け。

その明らかにおかしい様子にお父ちゃんと秋子は気が付いた。


「あいつ何怒ってんねん?」


「何かあんのやったら私に話してくれたらええやん」


冬子ぉ、みんな心配してるよ。
(原因が『まさかの宇宙人ドッキリ』とは言いにくい)



●照子のパンのセンスについて小一時間


それでもこの人は通常運転でした。

「心配なんかしてへんけどね」
と前置きをしたうえで、照子が持ち出したのは……


「バッテラのサバや」

冷蔵庫に残ってたバッテラ。
ご飯が硬くなっていたから、物は試しでパンで食べてみた。
それがなかなかいける。

いやあ……これまでに登場したパン類麺類はとにかく美味しそうなので飯テロとの戦いでもあったんだけど。
このバッテラのサバサンドには唯一胃袋が反応しなかったなあ……


まあ当然ながら、生ものは販売できないと冬子が言うも。

「お酢で締めてるから大丈夫!」
「『早めに食べて』と言えば大丈夫!」
「なんだったら一筆書いてもらえば大丈夫!」


全然大丈夫じゃねえwww


パンのことは任せておいて、ていうか触れないで、というものん。


「お母ちゃんかてな、長年パン屋の女房やってんねん。えらっそうに……チッ!!」

※姑ではなくヒロインの母親の言動です。


バッテラのサバサンドなあ……
と思ったらトルコ名物であるらしいです。→一度食べたらヤミツキに♪トルコ名物サバサンドのレシピ



●DNAの二重らせん構造


大学に来た秋子はいつもの研究室。
ラーメンの妖精・小池さんがラーメンをすする横で、何やら遺伝情報の話。


「人間の体のたんぱく質を作るいうことですよね?」

DNAの二重らせん構造について語り合う秋子と森野君なのですが。


「私はタンパク質は音楽みたいなもんやないかて思ってるんです。もしたんぱく質が音楽になるんだとしたら、人間の身体の中には自然と備わった楽譜みたいなもんがあって、それを正しく奏でることによって、人生をミュージカルのようにイキイキ過ごせるんやないでしょうか」

人間の体の中には楽譜がある。
それを正しく奏でれば、ミュージカルのように生き生きと……


えっそれってこのドラマのことじゃねえの( ゚д゚)

ていうか
「インスリンのアミノ酸配列を楽譜に置き換えたらインスリンはマンボであることがわかった」っていうあののくだりまで伏線だったのか。


21週


秋子…恐ろしい子……




●松本のおっちゃんは気づいている


松本書店にクリームパンを差し入れに行った冬子。
弘子姉ちゃんに今朝の出来事を謝りました。

弘子姉ちゃんが気にしていたのは最近冬子が寂しそうなこと。
冬子も「最近余計なことを考えてしまう。もっと集中しなければならないのに」と漏らすと。

後でクリームパンを食べていた松本のおっちゃんが、核心を突く一言。


「まだ若いんやさかい、余計なこと考えて当然や」

そして突然「冬ちゃん、きれいになったな」と。
弘子姉ちゃんにどやされるも。

「関係ないか?ほんまに?」
「冬ちゃんをお嫁さんにできる人は、ほんまに果報もんやとおっちゃん思うで」


冬子はいたたまれなくなって逃げだし、その姿を笑いながら見送る松本のおっちゃん。


「なんやのあんた、ニヤニヤ笑うて」
「ちょっと仕返ししたってん。前に冬ちゃんに心見抜かれたことあったさかいなあ」


おっちゃん……なかなか鋭い。



松本さんが「心見抜かれたこと」と言っているのは20週の話。



この時、松本さんと弘子姉ちゃんのじれったい関係を見抜いたのは秋子。
それを冬子に話して、冬子が悪女めいた行動をしてみたのがこのときなのですが。


9週といい、20週といい。
直近のDNAの話といい、秋子の洞察力すごい。



●ご近所さんの温かさ


いたたまれなくなって逃げ出した冬子はそのまま寺井理髪店に。
「どないしたん?」と声をかけてくれる都子さん。

「おばちゃんちは、ようケンカする?」と尋ねた冬子。
相変わらずふざけたやり取りをする寺井夫妻なのですが、その様子を見て、「ええな」と一言。


「ケンカできるいうことは、相手のこといつも気にしてるってことやろ」
「気を遣ういうことと、気にするいうことは違うことやわ。気を遣われるいうことは、ほんまは気にしたないということちゃう?」
「ずっと、そやったんやろか……」

ポロポロこぼれる冬子の心情。
冬子の脳裏に浮かんでるのは「気にしないで」と笑って言った和ちゃんなのでしょう。
泣きそうな冬子。

「冬ちゃん、よう分からへんけどな」と前置きをして、都子さんは優しく話します。


「夫婦かて気ぃ遣わなやってられへんねんで」
「仲良うするいうのはしんどいことやろ。ほんだら、相手のしんどいことも分かってあげんと」


冬子を優しく諭す都子さん。
悩みをそっと笑いに取り換えて。

松本書店や寺井理髪店。
ご近所に愛される岩田家の4姉妹。
とっても微笑ましい様子だなあと思います。


『てるてる家族』の舞台地・池田。
この地名を聞いて連想するのは2001年の付属池田小事件です。
まだ幼い子供が多く犠牲になった事件の記憶の上に、栄町商店街で愛される子どもたちが上書きされていく。
事件の風化はあってはならないことですが、地域が子どもたちを見守る温かい描写がとても優しい。



●冬子、ブチ切れる。


慌ただしく工場に戻ってきた冬子。
作業に戻ろうとしますが、そこに和ちゃんが思わぬことを言い出しました。


「冬ちゃん…俺、ここにいてへんほうがええんちゃうか?」
「もしなんか悩んでるんやったら、オレがいてへんほうがええんやったら、そう言うて。冬ちゃんのジャマになんのやったら…」


和ちゃん、急に何言い出すんだい。



「ずるい。和ちゃんてずるいわ」

ふ、冬子…まずは落ち着いて。


とはいうものの、直前まで松本夫妻や寺井夫妻の温かい様子を見てきた冬子。
ついに和ちゃんのこの言葉に怒りが爆発。

「なんで?なんで私ばっかり気を遣わすの?」
「なんで私ばっかり和ちゃんに気を遣わなあかんの?」


「もう何もよう言わん。自分のことは自分で決めたらええ」



ああもう!
和ちゃんも冬子も!!
冬子はきちんと話せばいいし!
和ちゃんはきちんと話を聞けばいいし!!
なんだこの!!

(この2人の口論の元凶はローリー宇宙人説というカオス)

冬子もまだ明確な自覚はしてないんでしょうね。
気付いているのは松本のおっちゃんと弘子姉ちゃんももしかしたら、あと秋子も。
6週で初恋を感じさせ、12週で、和ちゃんへの恋心が再燃、21週で木塚兄弟の向こうに桑原兄弟を重ねて。
「和ちゃんのそばにいたい」という気持ちはずっと抱えてるんだけど、それが恋だってのはまだ気づいていない模様。

ただし和ちゃんの心境はまだわかりません。
元々感情表現が極端に少ない和ちゃん。
22週のあと、少しずつ柔らかくなってきてはいるものの、やはり先週は幸薄そうな沈んだ表情。

これは……事情を知っている秋子、松本さん、それから大元でもあるローリーや佐藤のおじ様が出てこないことには難しいのでは。
いやでも和ちゃんなー、どうなんだろうなー。





それにしても面白いなあと思ったのは「気をつかう」という言葉の選び方。

都子さんとのやりとり。
「気を遣ういうことと、気にするいうことは違うことやわ。気を遣われるいうことは、ほんまは気にしたないということちゃう?」

和ちゃんとのやりとり。
「なんで?なんで私ばっかり気を遣わすの?」
「なんで私ばっかり和ちゃんに気を遣わなあかんの?」



辞書的な定義を提示すると
・気にする=存在を意識する
・気を遣う=優しさでもって配慮する(→疲れない)
・気を使う=気を回す(→疲れる)


なのですが、これは小説ではなくドラマ。
「気遣い」も「気使い」も「きづかい」で、耳で聞けば同じ。
なので「きづかい」をどちらでとらえるかは、場面・状況・話者の関係性などから判断するしかない。
これが小説などとは違う、ドラマの面白味ですね。


和ちゃんに「気を使」われて、冬子のイライラはMax状態。
秋子や照子、都子さんや弘子姉ちゃんら女性陣は冬子に対して「気を遣」ってくれてるけど、和ちゃんだけは自分に「気を使っ」てくる。
そんな和ちゃんに対して言葉を選ばなければならないこと、自分も「気を使」わなければならないことに対して、またさらにイライラしてしまう。

和ちゃんも和ちゃんで、闇が完全に解放されたわけじゃない。
かさぶたで隠された部分はあるのかもしれません。
でも信頼している冬子に「ええかげんにせい」と言われた。


さあ和ちゃん、本当の気持ちに向き合うときだよ。

かさぶただっていい。
その傷をさらけ出した方が、治りは早いはず。



●なるようになってはいない


冬子と和ちゃんのこの口論の件、春男は照子に相談してみました。

「あのふたり、なるようになってんねやろか」

照子、和ちゃんと冬子の思い出の『ケセラセラ』をゲスくいうのやめろwww


冬子と和ちゃんの結婚について話が広がると、照子が意外なことを言い出しました。


「けどほんまにそれで冬子幸せになれるんやろか?」

和ちゃんの本心がいまだによくわからない。
いつも何かに無理をしているみたいだ。
いくら冬子が望んでいるとしても、和ちゃんに無理して一緒にいてもらうのは嫌だ。

「冬子のことをほんま大事やて思てくれてへんのやったら、結婚はさせたない」

どうせなら冬子を本心から大事に思ってくれている人と。
照子と春男の言葉は至極正論。
ここで思い悩まずに、こうなったら本人に聞いてみようとなるのが照子の行動力。


「さりげな~く聞くんや!ズバッと!」

どっちやwww




●秋子と冬子が可愛らしゅうて仕方ない件


物干し台で物思いにふける冬子、そこに秋子がやってきた。


「もう、ええんちゃうの?ずっと何を悩んでんの?こないだから」

冬子は思い切って秋子に打ち明けました。
ローリーを人間に戻そうと思って好きだと「告白」したが、それを和ちゃんに聞かれてしまったこと。
「俺のことは気にせんといて」と言われてしまったこと。
誤解を解くべく本当のことを話しても信じてもらえなかったこと。
和ちゃんは自分が側にいなくても平気そうなこと。


「かわいいな~冬ちゃん!ほんまにかわいいわ~!」

秋子も冬子もみんな可愛いよ!!!


中の人の綺麗さはもちろんなんだけど、ドラマの中とはいえふたりが生まれたときから見守ってきたご近所さん感覚があるから余計に可愛くみえる(´,,・ω・,,`)


そんな秋子からのアドバイス。

「『嫌いや』言うたらええねん」

押 し て ダ メ な ら 引 い て み な 。
それとも引けるのかな?
自分の本心と向き合ってごらん。


そんな秋子姉ちゃんからのアドバイス。
仲良しの天才からもらったアドバイス。



●お父ちゃんのお節介


さて、照子に『さりげなくズバッと聞いてこい』と言われた春男。


こっちもかわいいなあ!!

思い切って話を切り出すことに。


「お前、冬子のことどない思てんのや?」
「冬ちゃんには、好きな人がいてます」


春男に問い詰められて、和ちゃんは重い口を開きました。


「えっ?!えっほんまか?誰や?いやうそ…えっそ…そらないわ。ないねん…えっ?えっないねん、えっ……?」

わかってはいたが動揺しすぎwww
春子姉ちゃんが嫁入りしたときにあれだけぼろ泣きしてたんだもんんなあ。

しかしまあどうにか軌道修正。

「いや、冬子はお前に惚れてる。それは…見てたら分かんねんまえも分かってくれてんやろ、ほんまは」
「僕やないと思います。僕ではあかんのちゃいますか。冬ちゃんにはもっといい人がいてると思います」

ああもう和ちゃん!!
あんただよ!!
冬子はあんたに惚れてんの!!!


とテレビのこちら側で地団太踏んでいると、春男もさすがに考えるところがあった様子。
ならば冬子が別の男性を選んでも後悔はしないのか、本当に冬子に対して恋愛感情はないのか?と尋ねると、和ちゃんは短くうなずきました。


「ほんまにそう思てんねんやったら…ここやめてくれへんか?冬子が不憫や。俺もお前の顔、見たない」

唖然とする和ちゃん。
それは春男が、さりげなくズバッとつきつけた「自分の本心と向き合ってごらん」というメッセージでした。



●ローリー、意外とできる男


そのタイミングでやってきたのがまさかのローリー。
和ちゃんに冬子の近況を尋ねてきました。


「実は僕、冬ちゃんを歌で振ってしもたんですわ」

おっ、これは誤解を解くチャンス。


「もともとは冬ちゃんがおじいさまの話信じたんがあかんかったんですけど、成り行きでもぼくにフラれたのがショックやったんやないかって」

……ローリー、意外に女心わかってる。

いや、ショックもショック、雑コラしてのたうち回るほどのショックだったけども。

どちらかといえば泣くというより怒ってるに近い、と和ちゃんが伝えると。


「和ちゃん、慰めてあげて下さい!」
「なんでオレが」
「ぼくはとっくに和ちゃんに譲ったんですよ!」


語気を強めるローリー。
ローリーにとっておそらく最初の男友達は和ちゃんでしょう。
(友達出来ないって悩んでた時もあったっけ)
冬子に本気の恋をしていた時も。


6週


8週


14週

どんなに邪険に扱われつつも、雑コラ扱いされつつも、冬子にたゆまぬ思いを寄せてきたローリー。
その思いを全て和ちゃんに託す。


今、冬子のことを受け止めてあげてほしい。
ローリーの言葉に背を向けてしまう和ちゃん。


「和ちゃん!愛もパンも、放っておいたらカビかて生えてしまいますよ!」

ローリー、いいこと言う。


しかし和ちゃんとローリーの絡みって新鮮。
いや、和ちゃんとローリーが対比的に描かれることは数多いのですが、浪速のお坊ちゃんと苦労者の人生がこうして交わるのは面白い。




●一番大切なもの


夜、和ちゃん。
おもむろに取り出したのは……



あのときのかき氷の器。
それは夏の思い出。
6週



本当によく大事に持っててくれたよ。
和ちゃんは冬子を大事に思ってるよ。

それが和ちゃんの本心。





このシーンまでは「おいおい和ちゃん中二病もいい加減にしようぜ」くらいのこと思ってたのですが。
ひとつのガラスの器でじんわりきてしまいました。

 

あのころはお父ちゃんも賢作兄ちゃんも政也もいました。
空き地で歌って夕暮れを見上げて未来を祈った日々。


壊れやすいガラスの器。
大阪から四国、四国から大阪、そして佐世保、また大阪。
各地を転々とする中で、どれほど大切にしていたのでしょう。

和ちゃんにとって冬子は、ただの恋愛対象を超えた存在。
自分という存在を励ましつづけてくれた存在。
何よりも大切にしたい存在。

ガラスの器が冬子なら、包んでるタオル生地が和ちゃん。
冬子がパンなら和ちゃんイースト菌。

自分のもとに駆け寄ってくる冬子の笑顔を守り続けたい。
それが和ちゃんの本心なのかなと思いました


守りたいからこそ、壊れてしまうのが怖い。
守りけたいからこそ、強く握りしめられない。
守りたいからこそ、愛してくれと言えない。
ああこの青年は、とても優しくてとても不器用なんだ。


だから冬子がローリーのことを本気なのなら身を引けるし、自分の存在が冬子を苛立たせているのならその場から消えることもできる。
和ちゃんは「本心」に気づいたんだなあ。



●冬子、本格的にブチ切れる


春男が昼間の話を冬子に伝えようとすると。

 
「アホ!お父ちゃんのアホ!」
「私はそんなこと思てへん!勝手に何言うてくれてんの!」


冬子、本格的にブチ切れる。


個人的なことには関わらないでくれ。
それに現実問題、今和ちゃんに工場を辞められたら困ってしまう。
向こうから辞めたいと言い出したならまだしも、なぜこちらから言うのか。



冬子の言うことはもっともなんですが……
お茶の間グルグルwww


「ええわ!今更好きも嫌いもあらへん!ええわ!アホ!」

冬子語彙力www



●もう手放しちゃいけないよ


春男の件で、冬子は和ちゃんに謝ることに。


「和ちゃんごめんな、お父ちゃんがけったいなこと言うたやろ、気にせんといて」
「工場、辞めんといて。今辞められたら困るねん。私もお父ちゃんも。な、頼むから」


和ちゃんは笑って言うのでした。


「辞めへんで。ここは働きやすいし、やりがいもあるし。クビになってへんのなら、辞めたない」

冬子も和ちゃんも好き好きオーラ出てんじゃん。
前より出てんじゃん。


でも。
和ちゃん、笑顔で「やめへんで」。

和ちゃんの笑顔は時々怖いんだ。
そのままどこかに消えてしまいそうで。




和ちゃん、一番大切な人がそこにいるんだよ。
もう手放しちゃいけないよ。


いやあなんか切ない。
最終週にラブコメ?と思いきや、半年間の物語の大団円になってきてる。



●なるようになるその日まで


翌朝。


「おれ、辞める気ないですから。これは俺の仕事や思うてますから。やっぱり簡単に諦めとうないです。よろしくお願いします」

辞める気はない、諦めたくないと宣言した和ちゃんに心からホッとしました。
辛いこと乗り越えて掴んだ幸せをもう離してほしくない。
ふたりの兄の分まで幸せになってほしいし、いつか木塚兄弟が池田に来たときにそこにいてほしい。



「甘栗むいて?」って頼む春男が可愛過ぎて。
ここまで岩田家の精神的大黒柱として描かれてきた春男が、和ちゃんに甘えてる姿が可愛らしくて。

春男は和ちゃんに「よろしゅう頼む」と伝えます。
一件落着したのなら仕事仕事、と工場長と冬子が声をかけて一同は工場に戻りました。

「これでいいのです。パンの匂いに包まれて、そのうちなるようになると私は思うのでした」

って問題は解決してないんだけど。

和ちゃんの言う「これは俺の仕事」とは具体的な何かがあるのか。
春男の「よろしゅう頼む」には他意が含まれているのか。

まあ『なるようになる』というのが、空地でケセラセラを歌ってた和ちゃんと冬子らしい『一件落着』なのかもなと思います。




●仲良しの天才、秋子と冬子


季節は秋になり、秋子がカップヌードルの試食を家に持って帰ってきました。
松本夫妻や和ちゃん、工場長ら一同に味見をしてもらいなかなか好評の様子。

その夜、ベーカリーで帳簿をつけている冬子のところに秋子がやって来ました。

 
「私、来年は外国に行くことにした」
「留学。アメリカの大学に。そこでもっともっといろんな勉強してきたいねん」


秋子がその話を打ち明けたのは冬子が初めてでした。
「冬ちゃんに一番先に言いたかってん。小さい頃から秘密は私らで先に教え合うてたやろ」

秋子が留学の決意を最初に冬子に打ち明けた。

昔っから秘密を教えあってた仲良しの天才のふたり。
研究小屋のときも、米原さんのときも。
大人の恋愛模様のときも。
いつもこっそり話して2人で笑って。

春夏とはまた違う、秋冬の可愛らしい関係性が素敵だったな。





●秋子の決めたことだから


秋子はそのまま春男と照子に話をしにいきました。
突然の留学話に驚く2人。


「あかん!……訳あらへんやん。秋子の決めたことや。お父ちゃんもお母ちゃんも反対する理由なんかあらへん」


「そや。寂しいけどしゃあないな。秋子が決めたことや。誰が決めたんでもない、秋子のことや。どこ行ってもきっと大丈夫や」


「ありがとう!お父ちゃん、お母ちゃん!」


ニッコリ笑った照子。
頷く春男。

秋子ならどこに行っても大丈夫、と笑う2人。
もしかしたら家出したて安西家に転がり込んだあの頃を思い出しているのかもしれません。(5週



あのとき、まだ秋子も冬子も幼く、照子も若かった。
秋子らが研究小屋に入り浸って帰りが遅くなったとき、照子は叱りもしなかった。
それを上の姉二人と比べてしまって蔑ろにされていると勘違いしてしまった秋子でした。


あれから秋子も成長したし、照子も成長した。
時間が経ったことを改めて実感します。

分子生物学の研究者を志して渡米を決めた秋子。
春男も「秋子の頭を紐解きたい」と言っていましたが、秋子のDNAを紐解いていくと千吉博士や米原さんがいるのでしょう。
「ちょっと変なおじさん」たちと過ごした『不思議な時間』があるんでしょう。

 

多感な時期に出会った大人たちの生き様。
それは後の人生において何よりの宝物。





それにしても秋子の言葉。
「あかんのやったら『あかん』言うてくれればええねん」

やけに爽やかな表情。
自信満々という表情でもなく。
何か口論になるのを用意しているわけでもなく。

たとえ今、父と母に反対されて留学を断念したとしても。
いつかその日が来る。
なるようになっていく。
そんなことを悟っているような清々しい秋子の表情。


そもそも秋子の留学費用って、池田食品の千吉博士が出してくれてるんじゃないかなとか。
秋子を自社にスカウトしていた博士だったけれど、秋子が分子生物学を学びたいと言う。
ならば費用を支援するから、海外の大学で思う存分勉強してその学びを自社に持ち帰ってきてほしい。

ドラマの中では描かれてはいないので妄想なんですけれども。
もしかして秋子はずっと前に千吉博士からその話を持ち出されていたのかもしれません。
岩田夫妻の反応がどうなるかわからなかったので、両親の説得は秋子に一任された。

まあもしダメだと言うのなら、池田食品に就職してもらえればいい。
そうしているうちにいくらでも食品科学から分子生物学に触れるチャンスはある。
この先池田食品は海外展開していくことが考えられるので、海外渡航も夢ではない。
そんなやり取りがあった末で秋子は、「いつかその日は来る」と悟った上で、照子と春男に判断を委ねたのかもしれません。





●白い鳩に思いを乗せて


「てるてる家族喜介店」で盛り上がる工場に、ローリーが乱入してきました。



なにやらレコードデビューをするという。
デビュー曲は『この宇宙の果てで』。

あっ、あれだ。

24週

これだ。



冬子が振られた曲だ。



グループ名も新しく変わるそうで。
その名も『白い鳩』。

ああそういえばローリー、子供の頃に
「月光仮面になりたい、貝になりたい、鳩になりたい」
って冬子に将来の夢語ってたっけ。(7週

秋子に続いてローリーも夢を叶えていったんだな。




しかしローリーと言えば鳩屋敷、伝書鳩。
伝書鳩にいろんな思いを乗せていたあの頃。


4週

6週

幼い頃に抱いた冬子への恋心。
和ちゃん冬子をつなぐ役目も果たして。
帰ってきた和ちゃんに嫉妬したりもしました。
宝塚音楽学校受験のときは冬子の実力をひとり信じて。
そんな思いを全て和ちゃんに託したローリー。

大好きなあの子に思いを伝えていたあの日の伝書鳩。
大人になって自分が『白い鳩』として思いを届けていく。


……いややっぱりローリーみるたびにあのクソ雑コラ思い出してwww



●あなたが旅立つその日まで


その夜、物干し台。
照子がてるてる坊主をぶら下げていました。
またこれをぶら下げることが起こるなんて思いもしなかったと感慨深げにつぶやく照子。

自分のてるてる坊主だと知り、喜ぶのは秋子。

秋子単体のてるてる坊主って極端に少ないんです。
カウントが正しければ、これは2回目。
初回は5週、家出騒ぎのこの時。


(これ多分最大級のサイズ)

まあサイズ自体は落ち着きましたが、3つぶら下がってることを不思議に思う秋子。


「みーんなあんたのや」
「来年の春、あんたが旅立つまで、毎日3つずつぶらさげようて決めたんや」


秋子は昔からしっかり者だから、てるてる坊主をぶら下げることしか出来なかった。
でも今はそれが何よりの幸せ。


春夏冬の成長を見届けた照子のてるてる坊主。
リトル秋子、ミドル秋子、大人秋子の3人分のてるてる坊主でもあるのかもしれません。


てるてる坊主と照子の優しい言葉に感激する秋子。

一緒に行こうか?と話す照子。
秋子、「それはいい」と。
「あんたはそう言うと思っていた」と。

真逆のような存在でありつつも、でもどこか照子によく似ている秋子。
秋子も照子のことをよくわかっているし、今の照子もまた秋子のことを周りが思っているよりわかっているのでしょう。

未だ懸案事項の冬子の件を照子に託した秋子。


「お母ちゃんにはこれをぶらさげることしか、でけへんのやね」
「それが一番や」


にっこりと笑い。



初めて抱き着く母の胸。
溢れ出る涙がとまらない。


 

しっかり者の秋子が、一瞬あのころの子どものように戻った。
でもそれはここまで頑張ったご褒美なのでしょう。

誰よりも精神的自立が早かった秋子。
姉二人が忙しい、というのももちろんあるけれど。
多くの大人と出会う中で、また自分より小さい冬子たちと過ごす中で、自然としっかりしていった。
その秋子が自分の感情を爆発させたのが、あのチキンラーメン開発の時。
本当は自分たちにも構ってほしいし、きちんと叱ってほしい、できれば愛してほしい。
そんな本音が見え隠れしていた少女時代。


10週

やがて成長して、聡明な秋子はその思いを勉学芸術に昇華させた。


けれど母はずっと思ってくれていた。
てるてる坊主をぶらさげることはなくても、秋子のことをずっと思ってくれていた。


「ありがとう……」

秋子は、一番大切なものを手に入れたんだなあ。




●いつでもここに帰っておいで


森野くんに秋子が非情な別れを告げているころ。
店の前で一人の少年を見送る冬子。



このバイバイ少年が印象的でした。
象徴しているのは秋子なのか。
和ちゃんかローリーか。
あるいは冬子自身。
もうすぐドラマ終わるよ、ということか。


「私たち姉妹はもうすぐ本当に別々の場所で生きることになるのです」

てるてる坊主のあるパン屋、てるてる家族。
春子、夏子、秋子たちのために冬子はこの店を守り続ける。


「だけどいつもこの店に帰ってこられることを私は心から願っています」

みんなが楽しく笑って過ごせる場を作りたい。
そうすれば自分は楽しい。
きっとそれが冬子の、人生のツボ。





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