今回は、入社を控えた新社会人の方に贈る、失敗の乗り越え方の話です。
だれでも一度は「自分の道は自分で切り拓け」という旨の言葉をどこかで聞いたことでしょう。
この言葉の意味は「人生、上手く行くことばかりではない。だから自分で何とかしましょう。」といったところですが、私はこの言葉を「人生は不都合だらけ」という意味で捉えています。
つまり、失敗を避けて通れないのが新入社員だという意味ですが、私は初めてする事は大体失敗して来ました。(2回、3回でもありますが…)
それは、あまり考えずに直ぐに行動に出すからです。もう随分前にこのパターンに気付き、一度は自分を変えようと思いましたが、やはり変えられませんでした。今はむしろこれが特性だと開き直っているくらいです。
私は、若い頃から、何でもやります、出来ます、やらせて下さい。という性分でしたが、大変幸せなことに周囲には色んなチャンスをくれる寛大な先輩や上司が大勢いました。
当然ながら失敗の連続でしたが、その経験の中で鍛えられたのが修復力です。
失敗を修復するには、当然ながら失敗する前よりも骨が折れます。おまけに心も折れた状態で実行する訳ですから、心身ともにキツイ時間を過ごす事になります。
しかし、不思議なもので、失敗と修復を何度も繰り返すと、徐々に失敗の仕方も上手くなるものです。
いわゆる「失敗は成功の基」という言葉の本当の意味が分かるようになるのと、失敗の仕方で修復にかかる労力も計算できる様になります。
それを実感したのが、部下を持った時でした。
どんなに優れていても人は失敗するものですが、私の場合自身の失敗経験が豊富だったので、まず部下の失敗に対して寛大でした。当事者はパニック状態でも私が余りにも冷静なので、部下から「なんて冷たい人なの?」という印象を持たれていた様ですが、それはたいがいの事は直ぐに修復できる自信があったからです。
なので、社員教育に、会社に損出を出さない範囲で失敗を経験させることをコントロールしやすかった面もあります。
当の本人は失敗して落ち込みますが、そういう時こそ仕事の仕方を見返すチャンスにもなります。そして修復力を身に付けることも出来るので、徐々に効率の良い仕方を覚えて、気持ちにも余裕が生まれます。
つまり、失敗は修復力を鍛えるチャンスになるし、修復力は仕事を効率化し、心に余裕をもたらすという効果も生むのです。
勿論、失敗の程度にもよりますし、わざわざ失敗するのも可笑しな話ですが、若いうちは出来るだけ多くの失敗経験を積み、修復力を磨くことをお勧めします。
修復力を身に付ける事は、失敗から学ぶ事に通じると私は考えています。
周囲にカバーしてくれる先輩や上司がいるうちに失敗を恐れずに何でも挑戦することで、やがて自分が先輩や上司になり替わって後進のカバーが出来る様になるのです。
どうか失敗を避ける道ではなく、失敗を乗り超える道を選んでください。