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シリーズ「魔法の添削」その8~エピソードの使い方~

2017-06-05 | 仕事

エピソードを単なる状況説明だけで済ませていませんか?

伝えたい情報が先、エピソードは後

物事を分かりやすく伝えるために欠かせないのが、エピソード(具体例)を入れるという手法ですが、実はエピソードを上手に使って表現している人は稀です。

特に、応募書類に書くエピソードは、単に実話を書き連ねるだけでは不十分です。勿論、無いよりはましですが、重要なのは「何を伝えるためのエピソードなのか」という貴方の意図が、読む側にちゃんと届くように書いているのか、という事です。
読む側から言うと「このエピソードで何を知って欲しいと思っているのか」が分かるかどうかが重要なのです。ほとんどの場合、具体例はあるものの「後はお察し下さい・・・」という内容になっています。
何となく想像は付くけど・・・といった具合では、明確に自分を伝える事は出来ません。
従って、エピソードの前に決めるのが「伝えたい情報」です。或いは、書きたいエピソードがあるなら、そこから何を伝えたいかを絞る事です。

例えば「迅速な接客応対力」を”伝えたい情報”とするなら、それが一番分かりやすく説明できるエピソードをあれこれと考えて探し出すという事です。そして、さらにもう一絞りが必要です。

それは、「経緯」と「実例」です。

経緯とは、自分が迅速な応対を身に付けるまでに行った努力(工夫した事など)の事で、実例とは、自分が実際にどの程度の迅速さを発揮し、周囲にどのような評価を得たのかという事という事です。
経緯と実例の両方を表現できれば良いのですが、文字数によってはどちらかに絞るのも良いでしょう。

以下に、例文を上げてみましょう。(自己PRでの活用)

★例文1(よくあるパターン)
私は、何事にも迅速な接客応対を心がけています。大学入学と同時に始めた接客のアルバイトでは、常にお客様の要望を考え、待たせない接客をモットーに、往復両手作業・声掛け・機敏な行動を取る事に注力しました。その甲斐あって、お得意様から「いつも早くしてくれて助かる。」などとお褒めの言葉を頂きました。私はこの経験を貴社でも活かし、迅速で丁寧な接客応対力のある社員になります。
★例文2(経緯に絞った表現)
私は迅速な接客応対力に自信があります。2年間飲食店でホール係を担当し、往復両手作業・声掛け・機敏な行動の3つを、厳しい店長にご指導頂きました。私は「待たせない接客」を自分のモットーとして、店長や先輩の動きを真似たり、5秒に1回はお客様を見るなどの工夫を重ね、2年目からホール長として新人の指導も担当しました。この経験は私の自信の源であり、今後の仕事への原動力となります。
★例文3(実例に絞った表現)
私の強みは迅速な接客応対力です。飲食店のホール係として、1年間店長の厳しいご指導の元、往復両手作業・声掛け・機敏な行動を身に付けました。2年目からはホール長として6名の仲間と共に「待たせない接客」をモットーに打ち込みました。その結果、当初の5テーブルから今では10テーブルまで担当出来るようになりました。この経験は私の自信の源であり、今後の仕事への原動力となります。
★POINT

例文は180文字程度ですが、300文字以上になると「経緯と実例」が両方書けると思います。
エピソードを文章に入れるのは、貴方の働く姿や仕事への姿勢などを、志望する企業にイメージさせるための手法の一つです。従って、単なる説明文章より、実際の行動を表現する方が効果的です。

瞬間描写の効果

エピソードを書く時、もう一つ効果的な手法として「瞬間描写」が上げられます。
「瞬間」と言っても”一瞬”ではなく、物事を伝えやすい、場面や出来事に絞るという方法と、自分がどうしても伝えたい事を、さらに的を絞って表現するという方法の事です。
ほとんどのエピソードは、ある期間を示すものになるため、伝えたい情報を相手に印象付ける場合には的が絞り難いと言えます。例えば「2年間のアルバイト」「部活動の主将」「学園祭役員」などです。どのエピソードも、それぞれの期間の中で様々な人との交流や出来事があり、その積み重ねが”得たもの”に繋がっていると思います。しかし、この表現法は万能ではありません。
面接で話すのとは違い、文章で伝える場合は自分が感じるより長い文字数を要します。
一般的に、1分間で話せる文字数は350から400文字程度と言われている様に、話せば短い時間でも、書けば多くの文字数が必要なので、応募書類のように短い文章で的確に伝えるのは実は相当難しい行為と言えます。ましてや、相手は自分の事を何も知らないので、難易度は更に高いと言えます。
そこで効果的なのが「瞬間描写の表現法」です。

自分がどうしても伝えたいというアピールポイントや、インパクトを与えたい時などには、効果的なので是非試して見て下さい。前述の「迅速な接客応対力」を例に、幾つかの例文を紹介します。

★例文1
私は迅速な接客応対に自信があります。或る日アルバイト先の飲食店に大勢のお客様が次々と来店され約10名の行列となった時に発揮したのが、往復両手作業と先読み行動です。待たれているお客様にも率先して声掛けや誘導を行い、最後のお客様に「待っている時間が気にならなかったよ。」とのお言葉を頂いた時は、大きな達成感を感じました。私は、忙しい時こそ頼りになる社員になります。
★例文2
私は、先読みの動きに自信があります。飲食店のアルバイト先で、お客様を待たせない気持ちの良い接客を、店長から厳しくご指導頂きました。単に素早く行動するだけでなく、常に先の事を考えた行動を取る事で、お客様やスタッフの動きがよく見えるようになり、無駄な動きが減った分気持に余裕が生まれ、忙しくても自然に笑顔が出せるようになりました。私は、忙しい時こそ頼りになる社員になります。
★POINT

例文1は「迅速な接客応対力」を一番発揮した時の状況に絞って印象を付ける方法で、例文2は「迅速」の内容をさらに絞って「先読み行動」と表現して印象を付ける方法です。
言い換えると、例文1は状況描写で、例文2は強みの描写と言えます。
この様に、瞬間描写の表現法は、ある程度の期間の中で「特にこんな場面では・・・」という状況説明をするパターンと、「特にこの能力を強調したい」という的に絞るパターンがあります。

但し、この手法も万能ではありません。どの質問に使うのかは自分で選択しなくてはなりません。

次回は、職種に合わせた表現について解説します。