就活が楽しくなる!そのカギは、私たちが日々”無意識”に行っている自己分析を早期に”意識化”することです。
「大学生のための自己分析のススメ」と題して、簡単にできる自己分析の手法と活用法を、分かりやすく解説してゆきます。
自分を知ることは周囲や世間とつながってゆくことを意味します。あなたにしかできない就活を楽しんでください。
【1-4】自己分析に欠かせない伝達力
最初に言っておきますが、伝達力のない人などいません。
人に個性があるように、伝達力にも強弱や質の違い、さらにその手法に違いはありますが、誰しも必ず持っている能力だということを大前提として説明して行きます。
まず、伝達力とは「伝える力」と「達する力」という二つの”力関係”から成り立っていると考えることができます。
そして、双方の力関係が上手く合わさって初めて、伝達した事(伝えた事・達した事)になるのです。
一方的に何かを伝えようと情報を発信しても、その伝え方や時間が不十分なら、相手には何も理解してもらえないかも知れません。その時点では伝達ではなく、発信しただけとなります。
しかし、適切な時間を使って伝え方を工夫すれば、その情報は相手に理解され易くなるのです。
例えば、英語が分からない日本人に、英語で道を尋ねる外国人観光客の様子がそうです。
道を聞こうと必死で言葉を発しても、その言葉が理解できないので答えようがない。という光景は、容易に想像が付くと思います。
しかし、ある程度時間をかけて、地図を出して目的地を指差すなどの行為を付ければ、言葉が通じなくても、行きたい場所が分かるので、今度は聞かれた方が、何とか教えようと、その地図を指で追って現在地や道順を説明する事が出来ます。
この様に、伝える方は、最初に目的や意思を言葉に込めて、自分の都合で投げかけますが、それを予期せずに受ける側は、伝えた者の状況や真意など、即座に理解できない事の方が多いのです。
しかし、相手が何かを伝えようとしていることは理解できているので、言語以外の情報を受け止めようとします。そしてゼスチャーや表情などから、相手の要求を察するのです。
ここで重要なのは、伝達とは、特に達する側の受取り方に強く影響されるという点です。
もしも尋ねられた日本人が全く受け付けようとせず、相手の顔さえ見なければ、そこで関係は破綻しますが、何かを受け止めようとするなら、結果は違ってくるのです。
伝達力とは、一方的に伝えるだけの能力ではなく、達するように工夫して伝える能力(豊かな表現力)である一方、相手が何を伝えたがっているのかを、想像し察知する能力(深い受容力)のことです。
つまり、発信者と受信者、双方に必要な能力を兼ね揃えた能力と言えるのです。
貴方が伝える側の時は、達する事を意識した表現をし、達する側の時は、伝える者の意図を理解しようという姿勢で受け止めるということです。
多くの企業が、学生に求める能力として、コミュニケーション能力を挙げますが、実はこの伝達力と大きな関係があると私は考えており、その共通項は、相手が主体であるという点です。
人間関係の構築において、どちらか一方の都合だけを優先させる関係は、多くの場合破綻します。
双方の目的や価値観、さらに利害などが一致してこそ、良好な関係となるのです。
従って、自分の事だけではなく、相手の目的・価値観・利害などを推測したり、事前に調査したりと、理解するための準備をした上で、自分との共通点や、さらに良好な関係に発展できるアイデアなどを、真剣に模索する必要があるのです。
伝達力もコミュニケーション能力も、一方通行では成立しません。必ず相手がいるのです。
就職活動は、先輩社会人との初対面の連続です。しかも、単なる出会いではなく、相手に期待感を感じさせ、興味を持ってもらわなくてはなりません。その時に威力を発揮するのが伝達力となるのです。
単なる表現者のままではなく、伝達力を強化して就職活動に臨むのが理想的ですが、今現在、既に伝達力の優れた人はそう滅多にいません。どの学生も、伝達力の前に、表現力の段階で足踏みしています。
だからこそ、今これを読んでいる貴方の強化すべき能力は伝達力なのです。
強化の方法は、後で詳しく述べますが、就職活動には、書いて伝達する場面と、言動で伝達する場面の2つの伝達場面を要します。(応募書類と面接)
そして、双方に共通して大切なのが、相手のことを把握するということです。
次回は、自分を知る方法についてです。