10、欲よりやっかいなもの
○自己主張を説いた言葉
≪縦欲之病可医、而執理之病難医≫
私欲に凝り固まった病は治すことができるけれど、理屈に凝り固まった病は治しにくい。理屈っぽい人は、自己主張による手前勝手な理屈を振りかざすと、手に負えない。自己主張することは悪いことではないが、その主張が、他人の意見にいっさい耳を貸さないようでは困る。
11、「付け焼き刃」ははがれる
○自分を鍛えることの難しさを説いた言葉
≪磨礪当如百煉之金、急就者非邃養≫
自分を鍛えるときには、金を精錬するときのように、じっくり時間をかけなければいけない。速成ではどうしても人間の底が浅くなってしまう。
少しずつでもいい、毎日の積み重ねが望まれるのである。
12、死んでも逃げ腰になるな
○困難の対処を説いた言葉
≪毋持久安、毋憚る初難≫
最初の困難にくじけず、逃げ腰になるな。そして上手くいっても、今の幸せがいつまでも続くことを期待してはいけない。そのことを常に覚悟しておけ、ということである。
13、“厚み”のある生き方
○晩成型を応援する言葉
≪伏久者飛必高≫
長い間うずくまって力を蓄えていた鳥は、いったん飛び立てば、必ず高く舞いあがると言われる。たとえ逆境にあろうとも、じっと力を蓄えておけば、必ず力を発揮できる時が来るのである。
14、「未完成」を楽しむ心
○処世の極意を説いた言葉
≪花看半開、酒飲微酔≫
花を観賞するなら五分咲きのころ、酒を飲むならほろ酔い気分のあたりがよい。何でも思い通りになる満ちたりた境遇にいる人は、往々にして傲慢になり、人から嫌われることが多い。もう一度「半開の花」の段階に立ち返って、自らの生き方を考え直したほうがよい。
15、欲を減らせば重荷も減る
○悩む人への言葉
≪人生減省一分、便超脱一分≫
この人生では、何でも減らせば、その分だけ俗世間から抜け出すことができる。俗世間から抜け出せれば、それだけ気持ちが楽になる。
現代の我々は、どれをとっても増やさざるを得ない傾向にある。しかし、どれか一つでも減らせれば、その効果は意外に大きい。