とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

バルシャイのモーツァルト

2008年04月11日 | クラシックCD
高校生の時、モーツァルトはブルーノ・ワルターだった。これはたぶんに小林秀雄の「悲しみのシンホニー」が影響してのことだろう。そして当時ステレオLPでワルターの指揮するモーツァルトは定番と言われた。だがお小遣いに乏しかった身にはおいそれと手の出る金額ではなかった。そんなときに17センチLPステレオでバルシャイの演奏する40番のシンホニーが出た。早速買いに行った。出てきた音は、ワルターのロマン的な響きは感じられず、「悲しみのシンホニー」とは程遠い響きだった。某レコード雑誌の評価も推薦盤ではなかった。
でもドライブのかかった、メリハリのある固い響きが印象的で惹かれるものがあった。その後ワルターのモノラル盤、セル=クリーブランドの来日盤を聞くにつれ、小林秀雄の評した「モーツァルト」は極一部しか捉えられていないと思った。最近廉価版のロシアのベネチアレーベルの2枚組のCDを入手した。録音は古いがステレオで、R.バルシャイ=モスクワ室内管弦楽団の演奏する、25,28、40,41のシンフォニーと序曲がおさめられている。
これは悲しみ=モーツァルトというセンチメンタルなモーツァルト感と対局をなすバルシャイの解釈だ。極上のアンサンブルで奏でる、このCDはどの曲もすばらしいが、中でも25番と40番は今聴いても新鮮な輝きを失わない。手あかと独善に満ちた古楽演奏のあふれる中、このCDの響きは貴重だと思う。


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