1967年 大阪フェスティヴァル
トリスタン:W・ヴィントガッセン
イゾルデ :B・ニルソン
マルケ王 :H・ホッター
指揮 P.ブーレーズ
大阪フェスティバル管弦楽団(実質NHK交響楽団)
2006年11月26日My Blogで述べたように、私の音楽の原点はNHK-FM放送であり、バイロイト音楽祭のワグナーが大きなウエイトを占めている。
なかでもワグナーの舞台を目にしたのは、1967年のNHKの実況放送を14インチの惨めな音しか奏でなかった白黒TVの画面が最初だった。
そのときのVHSを池袋のWAVEで見つけたときの驚きと映像を見たときの感動は忘れられない。
その後BS放送で、バイロイト版のバレンボイムの新旧、1990年のベルリン国立、
1993年のベルリンドイツオペラの来日公演をVTRに収め映像で楽しんでいたが、いずれも1967年で見たヴィーラントの演出の影響から逃れられなかった。
最近NHKでMetとバイロイトの実況を放送したのをDVDで保存したが見る時間がなかった。またDeAGOSTINIで廉価版でバレンボイムのバイロイトの旧版がでたのを機会に、あわせ物議を呼んだ1998年のメータ、バイエルン、コンヴィチュニーの演出のDVDを見た。
ワーグナー:楽劇『トリスタンとイゾルデ』全曲
トリスタン:ルネ・コロ(テノール)
マルケ王:マッティ・サルミネン(バス)
イゾルデ:ヨハンナ・マイアー(ソプラノ)
クルヴェナール:ヘルマン・ベヒト(バリトン)
メロート:ローベルト・シュンク(テノール)
ブランゲーネ:ハンナ・シュヴァルツ(メゾ・ソプラノ)、他
バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
演出・舞台装置・衣装:ジャン=ピエール・ポネル
映像監督:ブライアン・ラージ
収録:1983年、バイロイト祝祭劇場
収録時間:245分
画面:カラー、4:3
音声:PCM STEREO、DTS 5.1 SURROUND
VTRで何度も見ていたが、今回DeAGOSTINIの廉価版1990円を購入した。5.1surroudの音をたのしみかったからだ。音は確かに良くなったが画像はさほど変わらなかった。ポネルの舞台はまずもって美しい。しかもすべて中央に1幕のウエディングドレス 2幕の大木の下 三幕の孤島のオブジェ とシンボルを配置しストーリーの展開を象徴する素敵な演出。ヴィーラントの伝統を引き継ぎ発展系の舞台だ。
コロがスリムでマイヤー、サルミネン、と役者のレベルも揃い、バレンボイムの音楽も自然な流れを作り、スタンダードな仕上がりで見飽きない。
ワーグナー:『トリスタンとイゾルデ』全曲
トリスタン:ロバート・ディーン・スミス
イゾルデ:イレーネ・テオリン
ブランゲーネ:ミシェル・ブリート
クルヴェナル:ユッカ・ラシライネン
マルケ王:ロベルト・ホル
メロート:ラルフ・ルーカス
若い水夫:クレメンス・ビーバー
羊飼い:アーノルド・ベズイエン
舵取り:マーティン・スネル
バイロイト祝祭合唱団(合唱指揮:エバーハルト・フリードリヒ)
バイロイト祝祭管弦楽団
ペーター・シュナイダー(指揮)
演出:クリストフ・マルターラー
美術・衣装:アンナ・ヴィーブロック
収録時期:2009年8月9日
収録場所:バイロイト祝祭劇場(ライヴ)
正直2008年のマイスタージンガーといい、2009年のこの演出といい、My Blogですでに触れたが(2010・8・23)現代のへの読み替えが、自己満足の演出に終始していると思う。
http://blog.goo.ne.jp/yyamamot7493/d/20100823
コンビチュニーの演出もすべてを肯定できないが、笑える楽しさがあるが、バイロイトには楽しめない。このトリスタンでは最初から最後まで、サークラインの蛍光灯が頻繁にオブジェに使われているが、この意味することは理解出来ぬまま終幕を迎えた。
ただこれまたレバイン同様、P.シュナイダーの音楽には関心させられる。いつ聴いても演目が何であれ(もっともイタオペはまだ聞いていないが)音楽は流れていく。でもオペラは視覚がものを言う。いかに聴覚が良くても視覚が満足できなければ良いとはいえない。カーテンコールの熱狂振りが分からない。
ワーグナー:『トリスタンとイゾルデ』全曲
<出演>
トリスタン……ロバート・ディーン・スミス
イゾルデ……デボラ・ヴォイト
国王マルケ……マッティ・サルミネン
クルヴェナール……アイケ・ヴィルム・シュルテ
メロート……スティーヴン・ガートナー
ブランゲーネ……ミシェル・デ・ヤング
指揮=ジェームズ・レヴァイン
演出=ディーター・ドルン
管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団
合唱=メトロポリタン歌劇場合唱団
2008年
当初トリスタンをDVD版で歌っているヘップナーの予定だったが、スミスに変更されたとの事。スミスは翌年前述のバイロイトで同役を演じたが、演出のせいもあるがMetのほうが数段良い出来だ。Metの演出としては非常にシンプルで、明かりを旨く利用した空間演出は好感がもてる。ワグナー演出はどうしても自分の好みはヴィーラントの演出の流れに乗るほうが好きだ。その意味でもこの演出は気に入った。あわせTVのカメラワークも非常に分割映像を多用して楽しめた。幕が下りた直後のスーザン。グラハムのインタビューも同業だから聞けるポイントをついた質問が楽しめた。
それにしてもいつもながらのレバインの音楽つくりの良さには驚かされる。
トリスタン:ジョン・フレデリック・ウェスト
イゾルデ:ワルトラウト・マイヤー
マルケ王:クルト・モル
クルヴェナール:ベルント・ヴァイクル
メロート:クラエス・アーカン・アーンシェ
ブランゲーネ:マリヤーナ・リポヴシェク
牧童:ケヴィン・コナーズ
舵取り:ハンス・ヴィルブリンク
若い水夫:ウルリヒ・レス
合 唱:バイエルン州立歌劇場合唱団
管弦楽:バイエルン州立管弦楽団
指 揮:ズービン・メータ
美術・衣裳:ヨハネス・ライアッカー
演 出:ペーター・コンヴィチュニー
[ 収録:1998年、バイエルン州立歌劇場 ]
幕開きの遊覧船もどきのデッキからの舞台に「なんだ!コリャー!!!」と畳み掛けるように続いてシェービングクリームを塗ったトリスタンの出現にどこまでやるのか!!!と不安がよぎるが、カメラワークが人物本位に戻り、メータ、バイエルンの音楽がすばらしく主役の表情ををアップで捉え、引き込まれていく。圧巻はクルト・モル、舞台はしまる。メータの音楽もドライヴがかかりうなる。終幕の愛と死になだれ込む。
演出はともかく役者揃いのこの演奏が満足できる。
私はまだ子供でしたが・・・高音をほとんど出さず中音はしっかり歌い、それだけでも感動でした。
高音は本番でしっかり歌っていて怜悧で圧倒的でした。今のバイロイトは好きではありませんし、苦痛です。それを書くと大変な文句をいうコメントがあって苦労しました。
ヴィーラントの空間をいかした光と影の演出は、「能」にヒントを得たときいています。