とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

ヤナーチェックの不思議な魅力(2)「死者の家から」

2008年05月11日 | Weblog
昨夜久しぶりに時間ができた。NHK BS Hiで放送された「死者の家から」を録画していたがやっと見ることができた。音だけならば「ながら」も可能だが映像はながら族になれない。オペラとなるとまとまった時間が必要だ。どうしても雨の日になる。
P.ブーレーズとパトリス・シェローのコンビによる「死者の家から」は出だしからとても80歳を超えた老人業とは思えない新鮮な響きだ。マーラー室内管弦楽団の荒い響きがヤナーチェックの最後のオペラを最良の形で表現されていると思う。
シェローの演出がオーソドックスなので肩透かしを受けた感じだが、この演出は納得できた。特筆すべきはアーノルド・シェーンベルク合唱団だと思う。
このオペラはF.ドストエフスキーの原作を基にしたとのことで興味を持ったが、最初に知ったのは1992年のザルツブルグ音楽祭でアバド=ウィーンフィルで行われた映像をNHKで見た時が最初だ。その時に衝撃を受け、その後すぐ発売されたLDをすぐに求めた。
このLDで表現されたヤナーチェックは彼が同じコンビで手がけたベルクのヴォツェク
と同列に音楽史をアバドの感性で美と音の流れを強調した演奏だったが、ブーレーズは作曲された時代の感性を表現した。その差が聴くものの評価となるだろう。
ブーレーズがマーラー室内管弦楽団の若々しいしかし荒い響きを求めたのは正しく1920年代の大きな時代の荒波の中で生まれた、この「不条理」を表現したかったからだろう。その意味からもブーレーズのこの演奏はすばらしい。


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