12月24日のNHKプレミアムシアターは2012/13のスカラ座シーズン開幕公演だった。2013年はヴェルディー、ワグナーの生誕200年の記念年。スカラであればヴェルディーが順当だろうが、音楽監督のバレンボイムはローエングリンで、しかも「ドイツ国王バンザイ」で始まる演目を選んだことに驚いた。
スカラの舞台はオーソドックスでいながら衣装は簡素にまとめられ貧弱さは感じなかった。特筆は主役級の力量バランスがよくそれぞれが個性を出して、演技も出来ていた。 演出も適度の時代考証と写実性が混ざり、バイロイトの演出家の暴走を食い止めワグナーのロマン派歌劇の集大成をまとめあげていた。したがって「ドイツ万歳」が主軸のオペラで終始したためか、盛大なカーテンコールの後のイタリア国歌の出場者全員での合唱がなぜかよそよそしく思えたのは私だけだろうか。
欲を言えば、エルザ役のアンネッテ・ダッシュが大柄なグラマーで、バイロイトの時よりは相手役がカウフマンに変わったので少しは見栄えが良くなったが、今年のフォルクスオパーの東京公演でのメリーウィドーの金満ブルジョア婦人のイメージが残り、清純なエルザのイメージと違和感があったが、急遽の代役としては合格だろう。
歌劇「ローエングリン」(ワーグナー)(全3幕)
イタリアの兄弟たち(イタリア国歌)(第3幕)
<出 演>
ドイツ国王ハインリヒ:ルネ・パーペ
ローエングリン:ヨナス・カウフマン
エルザ・フォン・ブラバント:アンネッテ・ダッシュ
テルラムント:トマス・トマソン
オルトルート:エヴェリン・ヘルリツィウス
式部官:ジェリコ・ルチッチ
四人のブラバントの貴族:
ルイジ・アルバーニ
ジュゼッペ・ベルランカ
ジョルジョ・ヴァレリオ
エミディオ・グイドッティ
四人の小姓:
ルチア・エルリス・ベルティーニ
シルヴィア・マペルリ
マルツィア・カステルリーニ
ジョヴァンナ・ピナルディ
<合 唱>
ミラノ・スカラ座合唱団
<合唱指揮>
ブルーノ・カゾーニ
<管弦楽>
ミラノ・スカラ座管弦楽団
<指 揮>
ダニエル・バレンボイム
<美術・衣装>
クリスティアン・シュミット
<照明>
オラフ・ウィンター
<演 出>
クラウス・グート
<字 幕>
平尾力哉
収録:2012年12月7日
ミラノ・スカラ座(イタリア)
・ワーグナー:『ローエングリン』全曲
プラシド・ドミンゴ(ローエングリン)
シェリル・ステューダー(エルザ)
ハルトムート・ヴェルカー(テルラムント)
ドゥニャ・ヴェイソヴィチ(オルトルート)
ロバート・ロイド(国王ハインリヒ)、他
ウィーン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
クラウディオ・アバド(指揮)
演出:ヴォルフガング・ヴェーバー
装置:ルドルフ・ハインリヒ、ラインホルト・ハインリヒ
収録時期:1990年
収録場所:ウィーン国立歌劇場(ライヴ)
収録時間:219分
ワグナーのロマン派オペラの言わば教科書的出来だ。全てに必要にして最小限の満足をもたらす演奏だろう。オーソドックスなワグナーの台本に忠実な舞台装置に衣装。筋書きに沿ったそれなりにお金を賭けた舞台。主役と脇役をわきまえたスター歌手の配置。平凡ながらだからといって否定出来ない安定感のある演出。ローエングリンという「歌劇」を知るには最適な推薦マーク。ただし、今の時代には音声も、画像も物足りない。聞き物は随所で聴くウインナホルンの音色。これだけはバイロイトでも聞けないものだろう?。バイロイトにいったことのない私は想像でしかないが。
・ワーグナー:歌劇『ローエングリン』全曲
ローエングリン:クラウス・フロリアン・フォークト
エルザ:ソルヴェイグ・クリンゲルボルン
オルトルート:ヴァルトラウト・マイアー
テルラムント:トム・フォックス
領主ヘルマン:ハンス=ペーター・ケーニヒ
軍令使:ロマン・トレケル、他
マインツ・ヨーロッパ合唱協会
ベルリン・ドイツ交響楽団
ケント・ナガノ(指揮)
演出:ニコラウス・レーンホフ
装置:ステファン・ブラウンフェルス
収録:2006年6月、バーデンバーデン、祝祭劇場(ライヴ)
本編:207分
この評価はレーンホフの演出の評価で2分されるだろう。円形と斜線で舞台を分ける大舞台の場面展開。そして「ドイツ帝国」の栄光に楯突くオルトルートとテルラムントの悪役を主体にした舞台演出。見事なまでにレーンホフの舞台が完成している。それに応えた悪役マイヤーとフォックスの演技も歌唱も素晴らしく、完全に主役は食われていた。
ドイツ国王にナチの軍服を着せなかったのはレーンホフの知性なのか、それとも年齢のなせる技か。
・ワーグナー:歌劇『ローエングリン』全曲
ローエングリン:クラウス・フローリアン・フォークト
ブラバントのエルザ姫:アネッテ・ダッシュ
フリードリヒ・フォン・テルラムント:ユッカ・ラシライネン
オルトルート:ペトラ・ラング
ドイツ王ハインリヒ:ゲオルク・ツェッペンフェルト
王の伝令:サミュエル・ユン
バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団
アンドリス・ネルソンス(指揮)
演出:ハンス・ノイエンフェルス
収録時期:2011年8月14日
収録場所:バイロイト祝祭劇場(ライヴ)
本編209分
これは鼻から演出にブーイングだろう。こんな演出に良くもま~世界から集まるものだと、感心させられた。
なぜネズミがしかも白黒に別れるネズミに何を言わせたいのだろう。ただただ「バイロイト」の名前がある限り、演出家は何をやっても客離れが起きないからこそ、実験を通り越した、「むちゃくちゃ」が許される場所なのだろう。その意味ではバイロイトはますます世界に冠たる過激場となるのだろう。
このローエングリンはアンバランスの凄みだろう。主役が正にアンバランス。おぼっちゃまの白鳥の騎士とグラマーマダム。
ハチャメチャ舞台に真っ当な音楽、ネルソンスの軽快なテンポは新鮮だった。
スカラの舞台はオーソドックスでいながら衣装は簡素にまとめられ貧弱さは感じなかった。特筆は主役級の力量バランスがよくそれぞれが個性を出して、演技も出来ていた。 演出も適度の時代考証と写実性が混ざり、バイロイトの演出家の暴走を食い止めワグナーのロマン派歌劇の集大成をまとめあげていた。したがって「ドイツ万歳」が主軸のオペラで終始したためか、盛大なカーテンコールの後のイタリア国歌の出場者全員での合唱がなぜかよそよそしく思えたのは私だけだろうか。
欲を言えば、エルザ役のアンネッテ・ダッシュが大柄なグラマーで、バイロイトの時よりは相手役がカウフマンに変わったので少しは見栄えが良くなったが、今年のフォルクスオパーの東京公演でのメリーウィドーの金満ブルジョア婦人のイメージが残り、清純なエルザのイメージと違和感があったが、急遽の代役としては合格だろう。
歌劇「ローエングリン」(ワーグナー)(全3幕)
イタリアの兄弟たち(イタリア国歌)(第3幕)
<出 演>
ドイツ国王ハインリヒ:ルネ・パーペ
ローエングリン:ヨナス・カウフマン
エルザ・フォン・ブラバント:アンネッテ・ダッシュ
テルラムント:トマス・トマソン
オルトルート:エヴェリン・ヘルリツィウス
式部官:ジェリコ・ルチッチ
四人のブラバントの貴族:
ルイジ・アルバーニ
ジュゼッペ・ベルランカ
ジョルジョ・ヴァレリオ
エミディオ・グイドッティ
四人の小姓:
ルチア・エルリス・ベルティーニ
シルヴィア・マペルリ
マルツィア・カステルリーニ
ジョヴァンナ・ピナルディ
<合 唱>
ミラノ・スカラ座合唱団
<合唱指揮>
ブルーノ・カゾーニ
<管弦楽>
ミラノ・スカラ座管弦楽団
<指 揮>
ダニエル・バレンボイム
<美術・衣装>
クリスティアン・シュミット
<照明>
オラフ・ウィンター
<演 出>
クラウス・グート
<字 幕>
平尾力哉
収録:2012年12月7日
ミラノ・スカラ座(イタリア)
・ワーグナー:『ローエングリン』全曲
プラシド・ドミンゴ(ローエングリン)
シェリル・ステューダー(エルザ)
ハルトムート・ヴェルカー(テルラムント)
ドゥニャ・ヴェイソヴィチ(オルトルート)
ロバート・ロイド(国王ハインリヒ)、他
ウィーン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
クラウディオ・アバド(指揮)
演出:ヴォルフガング・ヴェーバー
装置:ルドルフ・ハインリヒ、ラインホルト・ハインリヒ
収録時期:1990年
収録場所:ウィーン国立歌劇場(ライヴ)
収録時間:219分
ワグナーのロマン派オペラの言わば教科書的出来だ。全てに必要にして最小限の満足をもたらす演奏だろう。オーソドックスなワグナーの台本に忠実な舞台装置に衣装。筋書きに沿ったそれなりにお金を賭けた舞台。主役と脇役をわきまえたスター歌手の配置。平凡ながらだからといって否定出来ない安定感のある演出。ローエングリンという「歌劇」を知るには最適な推薦マーク。ただし、今の時代には音声も、画像も物足りない。聞き物は随所で聴くウインナホルンの音色。これだけはバイロイトでも聞けないものだろう?。バイロイトにいったことのない私は想像でしかないが。
・ワーグナー:歌劇『ローエングリン』全曲
ローエングリン:クラウス・フロリアン・フォークト
エルザ:ソルヴェイグ・クリンゲルボルン
オルトルート:ヴァルトラウト・マイアー
テルラムント:トム・フォックス
領主ヘルマン:ハンス=ペーター・ケーニヒ
軍令使:ロマン・トレケル、他
マインツ・ヨーロッパ合唱協会
ベルリン・ドイツ交響楽団
ケント・ナガノ(指揮)
演出:ニコラウス・レーンホフ
装置:ステファン・ブラウンフェルス
収録:2006年6月、バーデンバーデン、祝祭劇場(ライヴ)
本編:207分
この評価はレーンホフの演出の評価で2分されるだろう。円形と斜線で舞台を分ける大舞台の場面展開。そして「ドイツ帝国」の栄光に楯突くオルトルートとテルラムントの悪役を主体にした舞台演出。見事なまでにレーンホフの舞台が完成している。それに応えた悪役マイヤーとフォックスの演技も歌唱も素晴らしく、完全に主役は食われていた。
ドイツ国王にナチの軍服を着せなかったのはレーンホフの知性なのか、それとも年齢のなせる技か。
・ワーグナー:歌劇『ローエングリン』全曲
ローエングリン:クラウス・フローリアン・フォークト
ブラバントのエルザ姫:アネッテ・ダッシュ
フリードリヒ・フォン・テルラムント:ユッカ・ラシライネン
オルトルート:ペトラ・ラング
ドイツ王ハインリヒ:ゲオルク・ツェッペンフェルト
王の伝令:サミュエル・ユン
バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団
アンドリス・ネルソンス(指揮)
演出:ハンス・ノイエンフェルス
収録時期:2011年8月14日
収録場所:バイロイト祝祭劇場(ライヴ)
本編209分
これは鼻から演出にブーイングだろう。こんな演出に良くもま~世界から集まるものだと、感心させられた。
なぜネズミがしかも白黒に別れるネズミに何を言わせたいのだろう。ただただ「バイロイト」の名前がある限り、演出家は何をやっても客離れが起きないからこそ、実験を通り越した、「むちゃくちゃ」が許される場所なのだろう。その意味ではバイロイトはますます世界に冠たる過激場となるのだろう。
このローエングリンはアンバランスの凄みだろう。主役が正にアンバランス。おぼっちゃまの白鳥の騎士とグラマーマダム。
ハチャメチャ舞台に真っ当な音楽、ネルソンスの軽快なテンポは新鮮だった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます