とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

NHKプレミアムシアター での2016ワルトビューネコンサートを見て

2016年07月26日 | クラシックコンサート

  ここ1か月は足首の捻挫に端を発し、虫刺されの化膿、腰痛と今年も暑さに弱い体質を露呈した。ここ数年は熱中症での救急搬送、自転車横転での肋骨骨折となにかと夏場に家族にお騒わせをかけているが今年も例年通りの夏行事になった。そんなことで行動範囲も狭まれ、家で過ごすことが多くなった。家ではクーラーをかけて、もっぱらCD,DVDの整理を兼ねて音楽を聴き、TV番組(音楽関係とラグビー)の撮りだめした録画を観ていた。

 その中にNHKの深夜放送のプレミアムシアターの録画が良かった。毎年NHKは5月に行われているウィーンのシェーンブルグ宮殿のウィーンフィルコンサートと6月に行われるベルリンフィルのワルトビューネコンサートを放映した。毎年この放送は見ているが、今年は断然ベルリンフィルが素晴らしかった。演奏もよかったが、野外コンサートの会場の雰囲気もうまくとらえていたが、年年アジア系の観客の増加が、ベルリンの市民コンサートからインターナショナルになってきている感じがしたが、ウィーンとは違い市民のためのコンサート雰囲気が出て素晴らしいコンサートだった。

 東京では不可能な自然との調和のとれた森の中での音楽を一度は体験したい気持ちになった。日本では北海道の大地の中での札幌交響楽団が唯一可能なオーケスストラに思えた。

演奏曲目も好きなドボルザークがメインで、ドボルザークの美しいメロディーが次から次とあふれ出る、バイオリン協奏曲も、6番の交響曲も演奏会場の自然に溶け込んで素晴らしかった。

 指揮者のヤニック・ネゼ・セガンは今度レヴァインの後を受けメトロポリタン歌劇場の主席指揮者就任が決まり、だからというわけではないが、ドボルザークのメロディーを歌うがごとく最上の美音を弾きだす指揮ぶりは素晴らしかった。リサ・バティアシュヴィリのバイオリンをアリアのごとくサポートしていたのが素晴らしかった。

 またコンサート会場はファミリー主体で本当に音楽を楽しんでいる表情が素晴らしく、うらやましい光景だった。

 (私の手持ち)

モルダウ

①は1968年ソ連軍のプラハ侵攻のなかでの「プラハの春」のコンサートの実録映像、この後指揮者カレル・アンチェルはカナダに亡命した。②は1941年ナチス占領下でのターリッヒ指揮チェコフィルの演奏する我が祖国①&②ともにこの美しさは魂までは奪えない証か?(ただしどちらも録音に難あり。)③モルダウのみだがアンチェルが戦後西側で評価を受けウィーン交響楽団に客演した際の録音、④クーベリックがナチスが占領する直前の録音、その後彼は亡命した。戦後家族をナチスに殺され自らも収容所で過ごしたアンチェルはチェコの音楽の再建に尽くし、1968年再びソ連のチェコ侵入を機会にミンシュからのパリ管弦楽団の常任指揮者の要請を断りカナダに亡命しその地で亡くなった。一方プラハの春からソ連崩壊によりプラハ迎えられたクーベリックは英雄として祖国に戻り死んだ。たった10分ほどのモルダウという曲に偉大な芸術家の人生が聞こえたような気がする。

ドボルザーク バイオリン協奏曲

①はモノラル録音でメンデルスゾーンとの抱き合せ。メンデルスゾーンは中学生の時にチャイコフスキーとの抱き合わせでおふくろが買ったLpと同じ録音で最初に聴いたメンデルスゾーンの協奏曲だった。懐かしさを感じたがドヴォルザークはやはり録音が良くない。②は初期のステレオ録音でかならずしも音がいいわけではないが、ドボォルザークのメロディーの美しさを知ったCDだ。③私の推薦CD。同じメンバーでSky Aで放映したのをDVDに録画した実況版も所持しているが、甘さ控えめの美音がドボルザークのフォークロア的な民族音楽も聞こえこの曲の表現にふさわしいと思う。

ドボルザーク 交響曲No6

 

①ドヴォルザークの交響曲全曲を聴きたいと思ったときに1996年版のペンギンガイド(英国の音楽ガイド年鑑)で三ツ星推薦盤として紹介されていたので飛びついて購入した。当時のわが国ではNaxosレーベルは安物CDと位置付けられ、レコードアカデミー賞なる訳の分からぬ賞で権威を誇ったレコード**なる雑誌では見向きもされなかった。最もこの雑誌の評論は以前にもこのブログで取り上げたが、レコードメーカーの提灯記事とこれまた訳の分からぬ評論家がメーカーの宣伝文句を評論として載せていた雑誌で、メーカーのPR雑誌に過ぎないのだから、宣伝にお金をかけない主義のNaxosは登場するはずもなかったのだ。

 正直素晴らしいCDで録音、演奏ともに優れている。特にこの曲の持ち味のフォークロア的なメロディーが生き生きとして躍動感とともにメロディーの美しさを引き立てている。ちなみに2009年度版ペンギンガイド(これ以降の発刊はないようだが)では、「Naxosの初期の録音だが、今もって際立っている」として三ツ星推薦の上のキーマーク推薦に引き上げられている。私のお薦め盤

②ターリッヒの1938年録音。音は24bitリマスター盤で改善がはかられているものの、所詮は1938年の音。ドボルザークの演奏史では聴く価値はあるが、音楽を楽しむには①が断然優れている。

 

 

 

 

 



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