昨日はそれこそ日射病になりそうな中、所沢ミューズに樫本大進のヴァイオリンのリサイタルを聴きに行く。いつも通りに各駅乗り換えで、自宅から下山口駅へ下山した。ライオンズの試合のある時は臨時電車が走るので、予定外の電車に乗る。西所沢で乗り換え、どっと人が降り私とは逆に西武球場行きに乗り換える。所沢駅で、乗り換えタイムを利用して、駅そば「狭山蕎麦」にいつもどおりに腹ごしらえ。「冷やし山菜蕎麦」を注文。毎度ながら「冷やし」は50円増しなのだ。ようは冷水に3分漬ける手間賃ということなのだろう。
航空公園駅から、ミューズまでは、所沢市の自慢の風景、ケヤキ並木の中を歩く。ミューズとこのケヤキ並木は、いつまでも残ってほしい景観だ。14時に到着。14時15分開場しかしリハーサルが長引きロビーで待機。通常リサイタルの場合は3階席はクローズされることが多いのだが、この日は全館満杯の人気だ。
最初の曲はBeethovenのNo.6のソナタ。もともとが、ヴァイオリンつきのピアノソナタというべき作品なのだが、それにしても、ピアノのキリル・ゲルシュタインが出しゃばりすぎに思えた。この印象この日の作品すべてに言えるのだが、もう少しピアノとの音量をヴァイオリンと調和が欲しかった。最近は、音楽雑誌もタワレコの無料のIntoxicateぐらいしか読んでないので、今日のピアニスト、キリル・ゲルシュタインも知らなかった。しかしこのピアニストは、今日のコンサート全般で少し出しゃばりすぎていたように思えた。
(私の手持ち)
①D.Oistrakh&Lev.Oborin 1962年の録音。レコード時代の名盤だが、今ではベートーベンのソナタの基準みたいな演奏。②AGrumiaux & C.Haskill 1957?録音 この曲のハスキルのピアノが素敵だ。
ブラームスのソナタでも、やはりピアノの響きが、気になったが、正直もう少し、ロマンティックな余韻を感じる響きが欲しかった。しかし、ヴァイオリンの音色が一番聞き取れ今日の演奏では一番良かった。
(私の手持ち)
①G.Kremer &V.Afanassicv アファナシェフのピアノが詩情ある演奏で流れるような美しさが素晴らしい。その上にクレメルの美音が流れる美しいブラームスのメロディーが生き生きと流れる。私の推薦盤 ②J.Suk & J.Katchen 今日の演奏に類似した演奏でピアノが前面に出てくる演奏で、ヴァイオリン付きピアノソナタといえる1枚 ③G.Pauk &R.Vignoles 廉価版全集で有名なBriliantレーベルのBrahms室内楽選集の中の1枚。値段の割にはそれなりの名手の公演が納められコスパは高くブラームスの室内楽がまとまって楽しめる。
休憩後の最初の曲はMozartのK.378のソナタだった。今日のコンサートでは1番聴きたい曲でもあった。巷間伝記でも書かれているように、この曲は「バイオリンの伴奏付きのクラビーアのためのソナタ」でピアノが主役で構わないのだが、今日の演奏は最初の曲から、ピアノが出しゃばりすぎて、ヴァイオリンの音色の美しさを損ねていた気がする。この曲は好きな曲だけにちょっと残念だった。
(私の手持ち)
①AGrumiaux & C.Haskill(Rec 10/1958)大学の時バイトで稼いだ金で2枚組LP3000円で当時としてはLP1枚2000-2500円が相場の時代値段の安さで買い求めたものだが、ハスキルのピアノに魅了され以後今日までハスキルの音源を求めハスキル漁りの出発点となったMozartだ。昔どこぞのウイスキーの宣伝に「何も足さない何も割らない???」とか言ったコマーシャルがあったが、ハスキルの音楽は奇をてらわず自然のママが素晴らしい。ここでのVnのグルミヨーの音もハスキルのピアノの上に乗っかた感じで自然のままに流れる音楽が美しい。②同(1960/08/22Ascona音楽祭Live)同じ組み合わせのLive感が良い(咳払いのノイズが臨場感を生んでいる)③Vnは①②と同じグルミヨーだがピアノはワルター・クリーンでまさに「ヴァイオリンの伴奏つきピアノソナタ」の原点にある演奏だが、ピアノが出しゃばりすぎの演奏。④オレグ・カガンのVnを包み込むようなリヒテルのピアノが素晴らしい、しかもいたわるかのようにゆったりとピアノがヴァイオリンを包み込むさまが一味違うMozart像を作り出している。
期待していたMozartだったが正直ピアノのどぎつさに興ざめだったが最後のR.シュトラウスのヴァイオリンソナタは、面白かった。初めて聞いた曲で、しかも作曲者24歳のまさに当時の音楽界の風雲児の作品は、スケール感とスピード感に満ちた何でもありのヴァイオリンソナタだ。これまでの曲目では正直ピアノに不満だったが、この曲に関してはキリル・ゲルシュタインのピアノがさえた。
アンコールはF.A.Eソナタ3楽章とのことで初めて聞く曲だった。家に戻り調べると「シューマンが当時のヴァイオリンの名手ヨアヒムに捧げるべくアルベルト・デートリヒとブラームスに呼びかけ作った曲」とあった。なかなかロマンティックな美しい曲だった。
コンサートが終了して、航空公園に出ると、梅雨明けの空は17時半だがまだ昼間のようだ。そして公園の芝生には、ありがたくないムクドリの大群が集合していた。
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