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R.シュトラウスのオペラは正直NHK-BS放送が始まりそれを見て知った。したがってLPもCDも彼のオペラは知らなかった。
たまたま1997年にミュンヘンに泊まったときに、バイエルン国立歌劇場で「ばらの騎士」がかかっており、旅行代理店でチケットを手配して約2万円でチケットを入手し喜び勇んで出かけた。ビジネススーツで出かけたが、ロビーは正装の人であふれ、我が席はロイヤルボックスの右隣のボックスだった。周りは正装の人ばかりで気恥ずかしい思いをしたが、幕が上がればそんなことは忘れて、興奮して時間が過ぎた。その時はすでに指揮のシュタイナー、元帥夫人:フェリシティ・ロット(S)ゾフィー(ファーニナルの娘) クリスティーネ・シェーファーはBSで素晴らしさは知っていたが、実演はそれ以上だった。帰国して友人に得意気にその感想をのべると、日本人がダフ屋をはびこらしていると叱られた。
先日NHK-BSHiでメトロポリタンオペラの「ばらの騎士」が放映された。オクタヴィアン(若い貴族) スーザン・グレイアムとゾフィー(ファーニナルの娘) クリスティーネ・シェーファーは1997年のミュンヘンでの当初の配役だったが、S・グレイアムが当日キャンセルになった。そんなこともあり、興味を持って見たが、すべてにおいてミュンヘンが上だと思った。
その違いは、このオペラの歴史背景の表現だろう。見かけの豪華さはさすがMETだけに表現されているが、単なるラブコメディーのお話に終わっていた。
歌劇 「ばらの騎士」 (R.シュトラウス)
《出演》
・ウェルデンベルク侯爵夫人 ルネ・フレミング
・オックス男爵 クリスティン・シグムンドソン
・オクタヴィアン(若い貴族) スーザン・グレイアム
・フォン・ファーニナル(新しく授爵された金持ち商人) トマス・アレン
・ゾフィー(ファーニナルの娘) クリスティーネ・シェーファー
《合唱》
メトロポリタン歌劇場合唱団
《管弦楽》
メトロポリタン歌劇場管弦楽団
《指揮》
エド・デ・ワールト
《演出》
ナサニエル・メリル
収録:2010年1月9日 メトロポリタン歌劇場
手持ちのDVDはカラヤンとクライバーのいづれも新旧の4組だ。これら4組はいずれもが素晴らしく甲乙付けがたい。演出も奇を衒わずにホーフマンスタールの原作を表現し「時代の転換の予感と自らの老い」の哀愁を表現していると思う。
・カラヤンの新旧対決
・R.シュトラウス:楽劇『バラの騎士』全曲
元帥夫人:アンナ・トモワ=シントウ
オックス男爵:クルト・モル
オクタヴィアン:アグネス・バルツァ
ファーニナル:ゴットフリート・ホーニク
ゾフィー:ジャネット・ベリー
アンニーナ:ヴィルマ・リップ
ヴァルツァッキ:ハインツ・ツェドニク、他
ウィーン国立歌劇場合唱団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮&演出)
収録:1984年、ザルツブルク音楽祭[ライヴ]
収録時間:199分
画面:カラー、4:3(スタンダード)
音声:PCMステレオ、ドルビーデジタル・ステレオ
・R.シュトラウス:『ばらの騎士』Op.59
元帥夫人:エリーザベト・シュヴァツコップ(S)
オクタヴィアン:セーナ・ユリナッチ(Ms)
ゾフィー:アンネリーゼ・ローテンベルガー(S)
オックス男爵:オットー・エーデルマン(Bs)
ファーニナル:エーリッヒ・クンツ(Br)
歌手:ジュゼッペ・ザンピエーリ(T)
マリアンネ:ユーディト・ヘルヴィヒ(S)
ヴァルツァッキ:レナート・エルコラーニ(T)
アンニーナ:ヒルデ・レッセル=マイダン(A)
警部:アロイス・ペルネルストルファー(Bs)
侯爵家の家令:エーリヒ・マイクート(T)
ファーニナル家の家令:ジークフリート・ルドルフ・フレーゼ(T)
公証人:ヨーゼフ・クナップ(Br)
料理屋の主人:フリッツ・シュパールバウアー(T)
調理師:ハンス・クレス(T)
帽子売り:メアリー・リチャーズ(S)
動物売り:クルト・エクヴィルツ(T)
楽師たち: ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団員
ウィーン国立歌劇場バレエ団
ウィーン国立歌劇場合唱団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
収録:1960年8月、ザルツブルク、祝祭大劇場
演出:ルドルフ・ハルトマン
装置:テオ・オットー
衣装:エルニ・クニーペルト
録音エンジニア:エドガー・フェッター
制作・監督:パウル・ツィンナー
字幕:日本語
音声:リニアPCMステレオ
画面:カラー、スタンダード(4:3)
収録時間:192分
世評では圧倒的に旧盤の支持者が多いが、私は新盤と大きな差があるとは思わない。むしろ演技力では元帥夫人もオックス男爵も新盤のほうが上だし、音楽の流れも新盤のほうが輝きがある。
・クライバーの新旧対決
R.シュトラウス:歌劇『ばらの騎士』全曲
伯爵夫人:ギネス・ジョーンズ
オックス男爵:マンフレート・ユングヴィルト
オクタヴィアン:ブリギッテ・ファスベンダー
ファニナル:ベンノ・クッシェ
ゾフィー:ルチア・ポップ
歌手:フランシスコ・アライサ
マリアンネ:アンネリーゼ・ヴァース
ヴァルツァッキ:デイヴィッド・ソー
アンニーナ:グードルン・ヴェヴェツォフ、ほか
合唱:バイエルン国立歌劇場合唱団
管弦楽:バイエルン国立歌劇場管弦楽団
指揮:カルロス・クライバー
演出:オットー・シェンク
収録:1979年5&7月 バイエルン国立歌劇場(ライヴ)
収録時間:186分
■R.シュトラウス:楽劇『ばらの騎士』 全曲
元帥夫人:フェリシティ・ロット(S)
レルヒェナウの男爵オックス:クルト・モル(Bs)
オクタヴィアン:アンネ・ソフィー・フォン・オッター(Ms)
ファニナル:ゴットフリート・ホーニク(Bs)
ゾフィー:バーバラ・ボニー(S)
マリアンネ:オリヴェラ・ミリャコヴィッチ(S)
ヴァルツァッキ:ハインツ・ツェドニク(T)
アンニーナ:アンナ・ゴンダ(Ms)
歌手:キース・イカイア=パーディ(T)
元帥夫人の執事:ヴァルデマール・クメント(T)
ウィーン国立歌劇場合唱団
ウィーン国立歌劇場管弦楽団
指揮:カルロス・クライバー
美術:ルドルフ・ハインリヒ
衣装:エルニ・クニーペルト
演出:オットー・シェンク
収録:1994年3月23日 ウィーン国立歌劇場(ライヴ)
監督:H.H.ホールフェルト
制作:ユニテル
カラヤンとの比較では好きか嫌いかでしか無いだろう。音楽全体の美しさではカラヤンだろう。でもドラマとしての推進力ではクライバーだ。私はクライバーが好きだ。新旧比較では、オクタヴィアンはブリギッテ・ファスベンダーだ。まさにハマリ役だ。また旧版ではチョイ役の歌手としてアライサのおまけがつくが、ロットの気品、モルの演技、ボニーの可憐さは新盤の強みだ。
映像はNHKがBS-Hiで放映したクライバーの新盤のが一番良いが、市販されるのだろうか?
・ドレスデンの来日公演
・R.シュトラウス:『ばらの騎士』全曲
アンネ・シュヴァネヴィルムス(S 元帥夫人)
アンケ・フォンドゥング(Ms オクタヴィアン)
クルト・リドル(Bs オックス男爵)
ハンス=ヨアヒム・ケテルセン(Br ファーニナル)
森麻季(S ゾフィー)
ザビーネ・ブロム(S マリアンネ)
オリヴァー・リンゲルハーン(T ヴァルツァッキ)
エリーザベト・ヴィルケ(Ms アンニーナ)
ロベルト・サッカ(T イタリア人歌手)、他
ドレスデン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
ファビオ・ルイージ(指揮)
演出:ウヴェ=エリック・ラウフェンベルク
舞台美術:クリストフ・シュビガー
衣裳:ジェシカ・カルゲ
収録時期:2007年11月23、25日
収録場所:NHKホール(ライヴ)
収録時間:212分
4組と比較するのは酷だが、あまり見るべきことは無い。期待した日本人森麻季(S ゾフィー)も歌はともかく演技は大根以前の演技だ。
http://blog.goo.ne.jp/yyamamot7493/e/7fc455862a80a863cea895c776e5f144
2010/02/13付けのバーンステインのマーラーの交響曲9番のMy Blogでも述べたが、音楽評論家と称する人が、R・シュトラウスは「ばらの騎士」をスケベ人間の心をくすぐり、ナチスのために大衆迎合のための音楽を書いたとのべている。その意味では、私はスケベニンゲンでナチス主義者かも。
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