所沢に移り住んだのはバブル全盛期だ。それまでは勤務先の大手町まで地下鉄1本の30分圏内の3LDKのマンションに住んでいた。マンション内に子供達もカミサンも友人に恵まれ、広い公園と小学校に囲まれ、私も神田の幼馴染の友人と飲んでも、深夜までの残業もタクシーで帰れる交通の利便性もあり、好きなコンサートも高校・大学の友人からの招待券も受け、仕事帰りに行ける気安さから、結構コンサート通いをしてマンション暮らしに満足していた。しかし1年も経過しない頃から、「子供たちの声がうるさい、子供たちのドタバタする足音がうるさい」と言った階下に住む方から苦情が頻繁に来るようになりカミサンがノイローゼ気味になった。そんなこんなでやっぱり戸建てにしようということで、学生時代のクラスメートに無理やり頼んで現在地に越した。余談だが大手の設計・施工のマンションで現在でもマンション価格の値下がりは少なく、現在の我が家の売却額よりは大幅に上値だ。クヤジーーーーー!!!!!!。
越してからほどなくして、所沢ミューズは開館したのだが、私は仕事で地方に単身赴任をして、所沢ミューズの音がすばらしいと思ったのは、2003年4月4日のロリン・マゼール指揮するバイエルン放送交響楽団とのブラームスの交響曲(1番&3番)だった。(2002年12月7日の当時はキーロフ歌劇場管弦楽団と名乗っていたワレリー・ギルギエフの時はオケが響きすぎて音の暴力だった)ブラームスの1番と3番は彼の4つの交響曲が良く四季に例えられるが、春と秋の変化を響かせたバイエルンの音楽を堪能させてもらった。また演奏前にマゼールが舞台で響き具合を確認していた姿が印象的だった。素晴らしい余韻をもって航空公園駅に歩きながら、全国のホールを聴き歩いたわけでもないのに、この時私は「このホールは日本一ではと思った。」(サントリーホールとは好みの差が出るが、この時は聞きなれたNHKホール(N響の定期会員だった)、文化会館(都響の定期会員だった)の響きは問題外の響きに思えた。
今回は1年半?の休館、改修工事の結果が気になったが、正直響きには変化はなくほっとした。そして改修後私にとっては初めてのコンサートが当初のメンバーとは”COVIT19”の影響でソリストの全変更となり、座席も改修後のホールの響きを知りたいと、いつもとは違う選択で2階席最前列中央を選んだが、コロナ対応で、一人おいての配置換えとなり、私の目的が危惧されたが、結果は2人分ずれただけだった。
一番気になったホールの響きは改修前と同様で私の耳では変化は感じられなかった。正直音楽的には以前と変わらぬすばらしさは継続され音楽を楽しめた。
演奏的には予行練習的に聴いた2015.07.28(NHK放映の録画)の親父さんの鈴木雅明氏の指揮の方が躍動感あふれるBachで面白かったが、息子さんの演奏は余りにも整いすぎた演奏でまさに優等生の演奏だった。演奏者そのものにも言えることだが、アドリブ的な演奏がもっとあってもよいように思えた半面、COVIT19による死者のための祈りの意味での生真面目な演奏だったとも言えなくもなかった。それにしても癌と腎臓で病院通いをする身にとって、COVIT19を避けて再びミューズで音楽を聴けた喜びは、何物にも代えがたい喜びだった。
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