正直ベートーベンのピアノソナタはあまり好きな音楽ではない。ベートーベンのピアノソナタが聴きたくてコンサートに言ったことは無い。昨年の10月はたまたまフォルテピアノで聴くベートーベンと題されたコンサートに行った。(My Blog 2010/10/31)
今日は現役では数少ないベートーベン弾きとして評判の高い、ブルーノ=レオナルド・ゲルバーが「月光、ヴァルトシュタイン、悲愴、熱情」を弾くというので出かけた。
この日は3階席はクローズされ、私のミューズの定席である3階の一番後ろの席は販売されなかったため2階席になたが、9割がたの入であった。やはり先週のモーツアルトよりは客の入りは良かったので、不況の時はベートーベンなのだろう。
そういえば今年のミューズのベートーベンの第九は佐渡裕の指揮で、東京フィルなのだが発売と同時に3階の我が定席は売り切れてしまって買えなかった。
楽譜持参の人もいて、会場は盛り上がっていたが、私にはこの4曲を続けて聴くには年をとったのか、非常に疲れてしまった。なぜかビフテキの後に天婦羅を食べたような胃もたれ感を持った。
演奏者のせいなのか、今日は二階席(正面15列ややステージに向かって左側)のせいなのか定かでないが、いつもの席は音が明瞭に響くのに、今日はフォルテの音が割れるような濁った響きが聞こえた。あまりピアノの透明感が聞こえない、はっきり言って「きたない」響だった。またゲルバーのベートーベンは非常にロマンティックであって、構成感が弱い曲作りに感じた。私の手持ちの音源で比較するならば、私はグレン・グールドが一番好きで、あとはギレリスの構築された音楽か、リヒテルの研ぎすまされた鋭利な響きが好きだ。今日の演奏された曲は曲そのものがロマンティックなものなので、その意味ではゲルバーの演奏が好かれるのだろうが、私はあまり好きにはなれない響だった。それにしても音は「綺麗」な音ではなかった。