このタイトルではいつも「領土問題」を書いてきていますが、今日は「言葉」の問題を考えていきたく思います。
今、株式市場は、5G、AI、IOTなどの先端技術がもてはやされています。
毎年12月はもう少ししっかりした相場ですが、今年は、乱高下の激しい相場になって、大損や大儲けの人が
沢山出ているかもしれません。私の評価額も大変であります。
それはそうとしてーーー
グローバル社会ということで、国も世間も、「英語」が出来なければ「ダメだ」ということで
学校も、親御さんも英語に力を入れています。
ところで、次の文章を読んでみてください。
A 「幕府は、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた。」
B 「ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた。」
さー、この文章の意味は、一緒でしょうか?
ーー
このブログをお読みいただいている方はどなたもはっきりと違いは分かると思います。
タイトルの「英語の先生はーーAI」
と、えらくかけ離れた文章とお思いになると思います。
そうですね、「国語」と「英語」の違いです。
前述のAとBの文章の読解力のことですが、
実は、この問題の解答でAとBは「同じ意味」だと答えた生徒のパーセンテージが下記のとおりです。
中学生の正解率ーーー43%
高校生の正解率ーーー28%
確かに、高校生の方が文章の内容が違うと理解していますね。
しかし、高校生で3割弱、中学生で4割強もの生徒たちが、同じと思ってることに愕然とします。
日本語も理解不能??
「国家」とは何だ言われたとき
やはり、領土、国民、主権の存在と共に「国語」でありましょう。
その「国語」の乱れは、目を覆うほど酷くなってきています。
特に、戦後生まれの人たち,
各いう私自身も、戦前生まれではありますが、戦後の教育を受けております。
しかし、まだ70才代の生まれの方たちは、明治、大正の親たちに育てられてきた人たちで、多少はマシかもしれません。
なぜならば、その時代の親たちの、精神構造にまだ、まだ「武士道精神」が残っていたからです。
言葉の乱れは、霊性の低下、精神の低下を余儀なくしています。
それにもかかわらず、グローバル社会ということばかりが注目されています。
平成32年度から大学入学共通テストの英語で、「読む、聞く、書く、話す」の4技能を測る民間試験が利用されます。
導入を前にスピーキング能力を高めるために取り組みも始まっています。
インターネット経由でパソコンに向かって1人で英会話力を測るテストが登場し、受験生が増加中とのことです。
10月17日の産経新聞の夕刊に1面のトップ記事に次のような文字が躍っていました。
ーーー英語 教えて! A I ロボ先生ーーー
新聞記事の、冒頭部分を少し書きます。
※ 英語学習はロボットにおまかせー。全国の小中学校で、英語の授業に人工頭脳(AI)を搭載したロボットを活用する
動きが広がっている。会話の機会が増えて子供の意欲が高まる一方、教員の負担軽減といった効果も現れ始めている。
小学校の英語教育の本格導入が2年後に迫る中、専門家は「導入を加速すべき」と話す。※ と。
記事自体はもう少し具体的に書かれています。
例えば、同志社中学では授業で実際に使い始めてから1年半だが英語担当教師は「人前では恥ずかしがる生徒たちが、
自発的にロボットと会話をするようになり、英語の発話量が大幅に増えた」と効果を実感しているそうです。
しかしながら、よく考えてみてください。
私も、英語教育は大切であると思います。が、日本人の性格や行動方向に危惧するのです。すなわち日本人は一つの方向に
走りやすい傾向があります。
冒頭の文章のAとBの違いも分からない子供たちが多いことです。
「英語」より「国語」の方が大切なのが分からない人間が多すぎます。
ちょっとここで、著名な人たちの言葉を借ります。
作家の曽野綾子氏は、中学の「話す英語」で次のように語っています。
『まず、日本語で「読み、書き、話す」力を
一国は一つの言葉を持つことで初めてその国の文化の共有が出来る。そうでないと文化のモザイクに甘んじることになる。
今の日本人は、文化の形としても、本を読まず、手紙を書かない。会話をしたところで、全員が自分の思いを充分に
日本語で語れるだろうか。
お相撲さんの真似をして「ごっあんです」と言っているだけでは、本当はその国民とは言えないのです。
日本語で個人が、思いのたけを充分に「読み、書き、話す」ことが出来るかどうか、改めて国家の存続の証のためにも
検証すべきだろう。難しいだろうが、大学の入試でもこの点をさらに深めていってほしいところだ』
と述べています。
そうです、いかに言葉が大切かと。「国家」の「存亡」まで述べています。
二人目は、藤原正彦氏です。
この方は、数学者でありエッセイストでもあります。また、作家 新田次郎 藤原ていの次男でご存知に方は多いと思います。
2005年11月に発行された「国家の品格」がベストセラーになっていますのでご存知でしょう。
この「国家の品格」に日本語のことが出てきます。
まず、日本の形が崩れていくと嘆いておられます。 日本精神の衰退です。
藤原正彦氏もズバリ述べています。
『5世紀から15世紀までを見てみましょう。アメリカは歴史の舞台に存在しないに等しい。
一方日本は当時すでに、十分に精錬された文化を持っていました。文化的精錬度の指数たる文学を見ても
万葉集、古今集、枕草子、源氏物語、新古今集、方丈記、徒然草ーーーーと切りがありません。
イギリス文学も今は威張っていますが、有史以来1500年までの間にどんな作品が生まれたか。
「カンタベリー物語」ぐらいしか頭に浮かばないでしょう。』
そして、ズバリ述べています。
『小学校から英語を教えることは、日本を滅ぼす最も確実な方法です。
公立小学校で英語など教え始めたら、日本から国際人がいなくなります。英語というのは話すための手段に過ぎません。
国際的に通用する人間になるのは、まずは国語を徹底的に固めなければだめです。
表現する手段よりも、表現の内容を整える方がずっと重要です。英語などたどたどしくてなまっていてもよい。
内容がすべてなのです。そして内容を豊富にすることには、きちんと国語を勉強すること、とりわけ本を読むことが不可欠なのです。
世界のトップエリートというのは、
例えば、「夏目漱石の『こころ』の中の先生の自殺と、三島由紀夫の自殺とは何か関係があるのか」
そんなことをいきなり聞いてくるのです。」
ー答えられますか。 -
イギリスの歴史やシェイクスピアについては決して訊いてこない。
日本の文学や歴史についての、非常に具体的な質問をぶつけてくる。
だから、日本人としての教養をキチンと身につけていないと、会話がはずまない。』
と述べています。
藤原氏も、日本が滅ぶと述べていますね。
二人とも、英語ではない、日本語そのものや歴史といった教養を身につけることが大切だと主張しています。
最後にもう一人、新渡戸稲造が何故「武士道」を著したか述べておきます。
彼は、ベルギーの著名な法学者ラブレー氏の家に招かれ、歓待を受けていたときのこと。ある日の散歩の途中で、宗教の話が出た。 「日本の学校では、宗教教育がない、とおっしゃるのですか」と、この尊敬すべき教授がたずねられた。
新渡戸が「ありません」と返事をすると、教授は驚いて、突然立ち止まり、びっくりするような声で再度問われた。
「宗教教育がない、!!! それではあなた方はどのようにして道徳教育を授けるのですか」
突然のことで、新渡戸稲造は答えに窮したそうである。
日本人の精神がどのように形作られて行ったのか。
このことがきっかけで、新渡戸ば自身の善悪や正義の観念を形成している様々な要素を分析してめて初めて
そのような観念を吹き込んだものは「武士道」であったことに気づいたいたと述べています。
このように、前二人の述べていることは「言葉」であります、そして、新渡戸は「精神」のことを述べていますが、
根底に流れていることは共通しているのではないのでしょうか。
言葉の表面上の問題だけではないはずです。今日本を覆っている様々な問題を解決してゆくべき根本には
「日本精神」があるはずではないでしょうか。
お読みいただいた方々も、是非とも一度考えていただければありがたいです。
では、---閑題----です。今日は、言葉が出てきましたので
次の言葉や、詩、和歌、漢詩などは誰が語ったのでしょうか?
① 「敬天愛人」
② 「東海の 小島の磯の白砂に われ泣きぬれてカニとたわむる」
③ 「少年老い易く学成り難し 一寸の光陰軽んずべからず」
④ 「忠ならんと欲すれば孝ならず 孝ならんと欲すれば忠ならず」
⑤ 「武士道とは死ぬことと見つけたり」
次は、12月12日のブログ「菊と刀」の読後感想の漢字の読み方です。
① 涅槃ーーねはん ② 煩悩ーーぼんのう ③ 終焉ーーしゅうえん ④ 隠遁ーーいんとん ⑤ 隠者ーーいんじゃ
⑥ 宗旨ーーしゅうし ⑦ 恍惚ーーこうこつ ⑧ 六波羅ーーろくはら ➈ 瞑想ーーめいそう ➉ 御利益ーーごりやく
以上でした。
お読みいただきありがとうございました。
ではまた!!!