デザインをパソコンで処理する様になってだいぶ経ちます
しかし 最初は大変な思いをしたものです
いままで手仕事で使っていた道具は一切使えなくなり
マウスとキーボードだけで作業しなければいけないのです
下を向いて紙に描いていた作業が
正面をむいてモニターを食い入るように眺める
すべての環境が遠隔操作する作業に一変したのです
デザインする紙のサイズをモニターに描く事すら考え込む状態でした
今迄は三角定規がなければ絶対に出来ないものが
三角定規無しで制作しなければならないのです
四角ツールと称する道具を選択してモニターをドラッグする
たしかに即座に四角形を描く事は出来たが
描いた四角を希望の大きさや位置に移動するのにも考え込んでしまった
自分のストレスが日々大きくなるのが良くわかった
そんな不慣れな作業を続けて行くうちに分った事がありました
いままでの作業はかなりの部分が感覚的であり
あいまいな作業の繰り返しが多い事に気がつきました
つまりパソコンはすべてが命令で動いています
キーボードやマウスで命令しなければ結果が出ません
しかも すべてその命令はパソコンが理解出来る
デジタルな命令でしか受け付けられません
まさに数学的に計算できる命令でなければダメなのです
いままでのアナログ的で感覚的な作業は
パソコンではまったく理解されないことがわかりました
その反面 パソコンは同じ事を何度させても怒りませんでした
失敗したらやり直しさせてもまったく文句はいいません
要するにパソコンはデジタル作業を専門とした機械です
人間のようなあいまいな感覚処理はほぼ出来ないことが理解できました
パソコンは魔法の道具ではありませんでした!?
パソコン導入の初期は作業を見学に来る人も多く
必ず希望した事はパソコンが自動的に何かをデザインする
ものを見たがった物ですがそんな時は必ず
パソコンはかってにデザインはしてくれないのですと説明したものです
その後予めプログラミングされたフィルターが追加され
ワンクリックで自動的に処理してくれるものも出来て来ました
しかしそれらは乱用されてその処理はすぐに物珍しく無くなりました
パソコンを操作するには独特のデジタル操作が重要です
そうしないととんでもないと遠回りな作業をしたり
大きな作業ロスを生んでしまったりします
さりとてデジタル感覚に偏ったりすれば
アナログ感覚的なイメージの物がデザインしにくくなっていきます
やはり最終的には人間の感性に訴えるデザインワークは
両方の感性を併せ持ち しかもそのバランスを取りつつ
パソコンの知識も習得しながら感覚的なセンスも磨く必要がある
機械化により出来た時間でアナログ感性を磨けと言う事でしょうか…