事実上の憲法前文と9条の廃止と言える安保法制の審議が衆院本会議で始まった。もちろん語るべきことはたくさんあるが、ぼくは中谷防衛大臣の答弁に注目したい。
安倍首相は5月20日の党首討論の場で「戦闘が起こった時は、ただちに(後方支援活動を)一時中止、あるいは退避することを明確に定めている」と答えている。このことに対して本日の代表質問で民主党の枝野幹事長は「そのようなことが出来るのか。そんなことをしたら同盟国の信用を無くしてしまう。このような中途半端なことではなく、はじめからはっきり法制上できないことはできないとするべきだ」と述べた。
これに対して中谷防衛大臣は「日本の法律については事前に各国によく説明しておくので信頼を失うようなことにはならない」と答弁した。本当にそうなのか。
ちょうど安倍首相が党首討論をした同じ日に、東京外大の教授である伊勢崎賢治氏が日本記者クラブで講演を行っている。伊勢崎氏はアフガニスタンや南スーダンなどでの国連PKOに長年関わってきた方だそうだが、この講演の中で「戦闘を前に撤退したら、完全に卑怯者となってしまう」と指摘した。はじめからケンカに加わるのを断るのと、ケンカの途中で都合が悪くなったら逃げてしまうのとでは、それは当然まったく意味も印象も違うだろう。
中谷氏は今回の新たな法律が出来ても自衛官のリスクが高まることはないと言い切れるような人だから、何の矛盾も感じていないのだろうが、もし日本が自国の法律について説明すれば他国が納得する、何も信頼を損なうことはないと言うのであれば、それこそ日本国憲法があるから自衛隊は出せないと説明すれば良いだけである。そもそも湾岸戦争時に憲法の壁があって派兵できず日本は国際的に信用を失ったというのが、今回の法整備につながる発端の話ではなかったのか。なぜ以前は納得させられず、今回は納得させられると考えるのか、その点をはっきり説明してもらいたい。
ようするに中谷大臣は、そして安倍首相の本心も、とにかく無内容の表面上だけの答弁をして、議論はやりましたという形を作り、最終的には数の力で決着をつけようということでしかないのだ。
これでは本当に憲法はただの形骸である。そのことは実は誰もが知っている。国会論戦で語られていることは(「野党」も含め)何もかも嘘っぱちで、ただただ戦争のやれる国、国民統制をやれる国へと日本を改造するための形式的手続きを進めているだけだということを、誰もがわかっている。わかっていて、ある人は知らないふりをし、ある人は騙されたふりをしているだけなのだ。いったいこの国はどうなってしまったのだろう。なぜ人々はこんなにも無気力なのだろう。理想を忘れたのだろう。本当に情けない国、情けない国民になったなと思う。
安倍首相は5月20日の党首討論の場で「戦闘が起こった時は、ただちに(後方支援活動を)一時中止、あるいは退避することを明確に定めている」と答えている。このことに対して本日の代表質問で民主党の枝野幹事長は「そのようなことが出来るのか。そんなことをしたら同盟国の信用を無くしてしまう。このような中途半端なことではなく、はじめからはっきり法制上できないことはできないとするべきだ」と述べた。
これに対して中谷防衛大臣は「日本の法律については事前に各国によく説明しておくので信頼を失うようなことにはならない」と答弁した。本当にそうなのか。
ちょうど安倍首相が党首討論をした同じ日に、東京外大の教授である伊勢崎賢治氏が日本記者クラブで講演を行っている。伊勢崎氏はアフガニスタンや南スーダンなどでの国連PKOに長年関わってきた方だそうだが、この講演の中で「戦闘を前に撤退したら、完全に卑怯者となってしまう」と指摘した。はじめからケンカに加わるのを断るのと、ケンカの途中で都合が悪くなったら逃げてしまうのとでは、それは当然まったく意味も印象も違うだろう。
中谷氏は今回の新たな法律が出来ても自衛官のリスクが高まることはないと言い切れるような人だから、何の矛盾も感じていないのだろうが、もし日本が自国の法律について説明すれば他国が納得する、何も信頼を損なうことはないと言うのであれば、それこそ日本国憲法があるから自衛隊は出せないと説明すれば良いだけである。そもそも湾岸戦争時に憲法の壁があって派兵できず日本は国際的に信用を失ったというのが、今回の法整備につながる発端の話ではなかったのか。なぜ以前は納得させられず、今回は納得させられると考えるのか、その点をはっきり説明してもらいたい。
ようするに中谷大臣は、そして安倍首相の本心も、とにかく無内容の表面上だけの答弁をして、議論はやりましたという形を作り、最終的には数の力で決着をつけようということでしかないのだ。
これでは本当に憲法はただの形骸である。そのことは実は誰もが知っている。国会論戦で語られていることは(「野党」も含め)何もかも嘘っぱちで、ただただ戦争のやれる国、国民統制をやれる国へと日本を改造するための形式的手続きを進めているだけだということを、誰もがわかっている。わかっていて、ある人は知らないふりをし、ある人は騙されたふりをしているだけなのだ。いったいこの国はどうなってしまったのだろう。なぜ人々はこんなにも無気力なのだろう。理想を忘れたのだろう。本当に情けない国、情けない国民になったなと思う。