あなたから一番遠いブログ

自分が生きている世界に違和感を感じている。誰にも言えない本音を、世界の片隅になすりつけるように書きつけよう。

しらけるばかり10増10減案

2015年07月24日 22時56分01秒 | Weblog
 参議院の一票の格差を「是正」するための、いわゆる10増10減案が可決された。是正と言っても実際は3倍の格差が依然として残る中途半端なものだ。与党内では公明党が反対にまわり、自民党内からも反対者が6名出た。
 自民党内の反対論の一番大きな意見は、合区によって一県から一名以上の議員を出すことができなくなると言う点である。憲法は国民の平等な権利を保証しているから一票の格差は憲法違反となる。ただもう一方では一票の平等が必ずしも国民の平等にならないという事実もある。わかりやすく言えば一票の格差が解消されることが地域格差の拡大につながる。
 この問題がこうした歪みを大きくするのは、これが国会議員の定数削減問題とセットで語られるからだ。とりあえず、一票の格差を解消しつつ各都道府県から一名以上の議員を出すためには、議員定数を増やす以外に解決方法がない。それではなぜ国会議員の数を減らさねばならないのか。そこがよくわからない。もしカネの問題なら議員の歳費を含めた必要経費を大幅に減らせばよい。はっきり言って政治家はカネがかかると言われるが、そのカネはようするに選挙運動にかかるのである。選挙にカネをかけてはならないルールを作ればよいのだ。具体的に思うところはあるが、それはまたの機会にしよう。
 カネのために無能な政治屋が増えるというなら、それがいらないと言うなら、まず国会議員にカネを渡さなければよい。議員定数問題よりその方がずっと本質的だ。また議員が減ると言うことは権力が少数の者に集中すると言うことだ。高額の報酬や権力を与えたまま権力だけが強くなるという最悪の事態になるだろう。
 今回の突然の10増10減案の通過は、あきらかに政治情勢に合わせた姑息な戦術である。安保法案の衆院での強行採決によって、実は最も打撃を受けているのは参議院の与党議員である。一番選挙が近いと言われているからだ。そこでのイメージアップ効果を狙って急にこれが浮上したのだ。内閣の新国立競技場建て替え案見直しと同じことだ。しかしもちろんそれは参議院自民党の多数派にとってのみ生き残り策になるが、議席を減らされる自民党議員や、創価学会内部からも批判が強まっている公明党にとっては意味が無い、もしくは逆風になってしまう。だから合区の地元の自民党議員は退席し、公明党は、明らかに格差是正にならないお為ごかしの自民党案に反対することで、自民党の言いなりにならないという独自色を演出しようとしているのだ。
 それにしても対案を出した民主党、どちらの案にも反対した(?)共産党からさえ、議員歳費の削減案が出て来ないことが大変疑問である。結局のところ同じ穴のムジナといわれてもしかたない。情けないというか悲しいことである。

 なお、この問題については一昨年にも触れたことがある。内容的には現在も全く同じことが言える。こちらもぜひ再読願いたい。

40議席削減は身を切る政策か
http://blog.goo.ne.jp/zetsubo/e/e28ac30842e2599052143b2ed82f573c


あえて野田さんを評価する
http://blog.goo.ne.jp/zetsubo/e/e60aad5d14caa1b2a0b3f1853ce5e7b8

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