万年筆は色々あるけど、大のクリップ嫌いとしてはデスクペンが欲しいなぁ、それも安い奴、あの事務的でありつつも優美な姿が良いのだな、と思いつつ、一体何本のペンにインクを入れるつもりかと戒め、千円札一枚の誘惑に耐えてきた。
しかし、そんな我慢が続く筈も無く、プラチナ萬年筆のカーボンペン(CARBON PEN)(DP-800S)を買ってみた。
一般に万年筆のインクは染料系であり、水や光に大変弱い。BB(ブルーブラック)と呼ばれるインクなどは耐水性を高めてある場合が多いのだが、限界がある(メーカーによっては黒や青のインクに耐水性を持たせる場合もある)。やりすぎるとインクがペンに詰まってしまう可能性があるからだ。万年筆はデリケートな筆記具でかつ簡単には使い捨てにしないのが通常であるから尚更だ。暫く使わないでいたらペン先やペン芯付近にインクが固まっていた、なんていうことはこれまでのインクでもあった。
このカーボンペンは外見は通常のデスクペン(机上用の万年筆)なのだが、適応カートリッジに特色があり、顔料系のインクカートリッジ(SPC-200)を使用する。墨汁のようなインクで、「超微粒子カーボン」によって黒々とした文字を書くことが出来る。
試し書きしてみると、ペン先のペナペナ感は否めない。ただ、別売りのインクカートリッジ4本込みで実売1000円未満の安ペンにしては上出来だろう。極細のペン先から流れる線は、白い紙にくっきりと浮かび非常に気持ちよい。極細ならではの愉しみといえる。思わず手書きの出納帳など作成してみたくなるこのカーボンペン、ゲルインキボールペン愛好家にもお薦めだ。
なお、同じ様なコンセプトのインクは他メーカーからも発売されている。セーラー万年筆の極黒などがそれだ。