
急がないと食えなくなる
核戦争により荒廃した近未来のパリ。
元ピエロの青年ルイゾンは、職を求めてある精肉店(デリカテッセン)にやってくる。アパート兼店舗の建物のなんでも屋として雇われたルイゾンは、住み込みで働き始め、一癖も二癖もあるアパートの住人たちと過ごす日々を送る。しかし、店の主人には、ルイゾンのような流れ者を殺しては肉にして売っているという、恐ろしい秘密があった。
主人の娘ジュリーは、心優しいルイゾンに好意を抱き、父の魔の手から彼を救おうとするのだが。(「作品資料」より)
1991年製作、日本でも同じ年に公開されたブラック・コメディ。
初公開時は未見であったが、今回4Kレストア版としてリバイバル公開され鑑賞。
荒廃し、食糧も乏しいパリのある精肉屋では、どうやら人間の肉を出しているらしい。
そんな精肉屋の求人広告を見てルイゾンという男がやって来る。
精肉屋の主人はその建物もアパートとして貸し出しており、アパートの修繕など雑用係としてルイゾンを雇う。
しかし、実は求人広告で人を誘って、アパートの住人たちと共にその肉を食してきたよう。
主人の娘、ジェリーはルイゾンに惹かれ、なんとか犠牲になるのを防ごうと奮闘する。
人食という凄惨な話ではあるが、ユーモラスで滑稽なシーンが多々。
アパートに住む面々も奇人変人が多い。
そしてノコギリやベッドのスプリングの音を楽器に仕立て、目と音で楽しませる音楽を奏でたりするシーンもあり。
地底人が出たという新聞記事があり、更にファンタジックな話に展開するのかと思ったら、地底人というのは地下で活動しているレジスタンスであり、菜食主義者のこと。
そんな地底人たちも絡み、クライマックスはドタバタの大騒動になる。
果たして、ジュリーはルイゾンを助けることが出来るのか、ルイゾンは逃れられるのか。
人食という話をユーモアと滑稽さで昇華し、どこかレトロな感じも醸し出し、面白い1本だった。
監督の一人、ジャン=ピエール・ジュネは後に「アメリ」を監督した人で、納得するような雰囲気の作品だったな。
/5
監督:ジャン=ピエール・ジュネ、マルク・キャロ
出演:ドミニク・ピノン、マリー=ロール・ドゥーニャ、ジャン=クロード・ドレフュス、カリン・ヴィアール、ティッキー・オルガド、アン=マリー・ピサニ、リュフュ
於:シネマート新宿
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