20-197「水曜日が消えた」（日本）

二日あると、やっぱり世界は違うな
　“火曜日”は、幼い頃の交通事故をきっかけに、曜日ごとに人格が入れ替わるようになってしまった青年。性格も個性もバラバラな７人は、互いをそれぞれの曜日で呼び合っていた。
　そんな７人の中で、“火曜日”は一番地味な存在だった。他の曜日の尻拭いや雑用を押し付けられてばかりの孤独で退屈な日常。
　ところがある日、“火曜日”が目覚めると、周囲の様子がいつもと違っていた。その日はなんと、水曜日だった。突然、“水曜日”が消えたのだ。
　いつもは休館している図書館を利用するなど、初めての水曜日を謳歌する“火曜日”だったが。（「allcinema」より）


　何となくタイトル等から想像して、七つ子が一人の人格を演じる、ノオミ・ラパス主演の「セブン・シスターズ」の日本版リメイクなのかと思っていた。

　しかし、本作は一人の男が七つの人格を持ち、それが一週間のうち一日ごとに現れるという設定の話。

　そして、それぞれの人格が相手を曜日で呼び合っている。

　しかし、物語は〝火曜日〟の人格だけが登場し、他の曜日は火曜日の視点で語られる。

　火曜日は、他の人格と比べると、一番地味な存在で、もしかすると本来の人格ではないかと思われる。

　火曜日だからこそ出来ることと、出来ないことを語りながら、日常を過ごしていく様が描かれる。

　しかし、ある日火曜日が目覚めると、それは水曜日であり、これまでに経験することが出来なかった日常を謳歌し、更に恋までする。

　人生が開けていくと思っていた火曜日であったが、徐々に体に異変が起こり始め、思わぬ事態に遭遇する。

　多分これは、多重人格に関しての体の異変なんだろうなと思うのだが、物語はサスペンスフルな展開となっていく。

　他の人格が消えていく中、火曜日もその人格を乗っ取られようとされる。

　果たして、火曜日の人格は消えてしまうのか、そして一つの人格に集約されるのか。

　設定は面白い作品で、サスペンスフルな展開でもある作品であった。

　ラストは、かなり意味深に終わらせる結末だったな。

/５

監督：吉野耕平
出演：中村倫也、石橋菜津美、中島歩、休日課長、深川麻衣、きたろう
於：ＴＯＨＯシネマズ池袋