ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

書道ガールズ!!わたしたちの甲子園

2010-04-29 20:32:37 | さ行

ロケ取材もしただけに
思い入れもあったんですが


「書道ガールズ!!わたしたちの甲子園」65点★★


愛媛県の高校書道部が
音楽に合わせて観衆の前で大書を完成させる「書道パフォーマンス」で
町おこしをしたという
実話をモデルにした物語です。


書道部の部長・里子(成海璃子)は
「書道は真剣に、一人で取り組むもの」という
信念の持ち主。

しかし
新任の顧問(金子ノブアキ)の
パフォーマンスに影響された部員が
「書道パフォーマンスをやりたい!」と言い出す。

その熱意に動かされ、里子ら部員は
見よう見まねで
書道パフォーマンスに取り組むが・・・?という話。


若さ溢れる活きのいい素材なだけに
映画にもっと元気と明るさが
欲しかったなあというのが
正直なところです。

まず
成海璃子演じる主人公が
マジメ一徹でおもしろみがないし

書道部員たちの家庭の事情や
町の状況も
ちょっと暗い要素が多い。

そのせいか映画のトーンが
全体的にしんみりしちゃってる。


ロケ取材のとき
現役高校生・書道部員たちのパフォーマンスを
目の前で見たのですが

本当に、胸をぐっとつかまれるような
驚きがあったんですよ。

音楽に合わせて踊ったりするだけじゃなく
最後に「書」という形が立ち上がってくることに
妙な感動がある。


個人的には
そういうところを
もっと再現して欲しかったなあと、残念でした。


ただ実際の書道部員たちによるパフォーマンスは
見どころですね。


キャストのなかでは
副部長役・桜庭みなみの
元気のよさが光ってました。


★5/15から全国で公開。

「書道ガールズ!!わたしたちの甲子園」公式サイト
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小さな命が呼ぶとき

2010-04-28 14:38:02 | た行
アメリカがたくさん隠し持っている
「ウソのようなホントの話」がまたひとつ。

「小さな命が呼ぶとき」76点


難病の子を持った父親の
信じられない奮闘を描いた作品です。

難病モノはもうたくさん・・・
なんて言わずに、まあご覧あれ。

「エリン・ブロコヴィッチ」のプロデューサーがついたとあって
感動秘話というよりも

「物事を実現させるまでの困難さ」のリアリティーを
社会的な側面から描いていて

ちょっとおもしろいんです。


オレゴン州に住むジョン(ブレンダン・フレイザー)は
3人の子どもに恵まれたビジネスマン。

しかし
8歳の娘と6歳の息子が
「ポンペ病」という難病に冒されてしまう。

ある酵素が失われることで
全身の筋力が低下し、呼吸困難になる病気で
患者数も少なく、治療薬もない。

そして患者の平均寿命は9年・・・。


「もう時間がない!治療薬を自分で作るしかない!」

そう決意したジョンは
ポンペ病の権威である博士(ハリソン・フォード)に
「治療薬を作ろう!」と持ちかける・・・・・・という
実話をもとにしたお話です。



遺伝性の病気だけに
3人の子のうち2人が車いすに酸素ボンベ生活。

しかも主人公は
社長でも重役でもなく給料もほぼ人並みの
フツーのサラリーマン。

それだけでもう全てを放棄して
逃げ出したくなる感じですが


親っていうのは強いもんですね。

夢を夢で終わらせない努力をするんです。


そして
努力の過程で主人公のぶつかる障害や悩みが
特殊なものではない、というのも
この映画が単なる“難病モノ”で終わらないゆえん。


そりの合わない者同士をどうコントロールするか
いかにビジネスを円滑にいかせるか、
公私混同の難しさ――などは

ふだん我々が社会や仕事のなかで
経験するそれとほぼ同じだったりする。

共感できますねえ。


ゼロからスタートして
二転三転、
すべてが無になるような幾多の経験を経て

彼がたどり着いた結末を
みなさんにもぜひ、確かめていただきたい。


博士役のH・フォードのセリフ
「君は人間として最大限の努力をした」という言葉を
ホント、賞賛とともに贈りたくなる話です。


★7月からTOHOシネマズシャンテほか全国で公開。

「小さな命が呼ぶとき」公式サイト
コメント (6)
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ザ・エッグ~ロマノフの秘宝を狙え~

2010-04-24 01:30:52 | さ行
うちのネコ(3歳)の具合が悪い・・・
病院で相当に検査もしたけど
回復しない・・・

心配で何も手につかない・・・

よくなってくれ!


仕事は手につかないけど
気持ちを平静にするために
ブログは書こう・・・


「男たちのヒート祭」第2弾
モーガン・フリーマン × アントニオ・バンデラス競演による

「ザ・エッグ~ロマノフの秘宝を狙え~」70点★★★


ミミ・レダー監督らしい躍動感に
のせられる、大泥棒サスペンスです。

「男祭」ではこちらが
番長的にはヒットでしたー。


一流の美術品だけを狙う
NYの大泥棒リプリー(モーガン・フリーマン)は

若手のガブリエル(アントニオ・バンデラス)を
ある大仕事に誘う。

彼が狙うのはロマノフ朝時代に作られた
卵型の秘宝“エッグ”。

2人は難攻不落の警備システムを突破して
エッグを奪うことができるのか――?


タイトルからして
「怪盗ルパン」か「名探偵コナン」かって感じですが

そのイメージ通り、トリック満載。
裏をかきまくりの楽しさ。


主演のモーガン・フリーマンは
デ・ニーロやパチーノと同じく
重量級に位置するオスカー俳優ですが

現代の義賊の雰囲気ある大泥棒を
飄々と、悠々と演じていて
大変に軽やかでした。


話がちょいややこしいところもあるのですが
手に汗握る金庫破りの果てにたどり着く
意外な結末も一興です。



★5/15から銀座シネパトスほか全国順次公開。

「ザ・エッグ~ロマノフの秘宝を狙え~」公式サイト
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ボーダー

2010-04-23 03:52:50 | は行
アクション好き&男のドラマ好きの人、
寄ってきてくださ~い。

4/24からはじまる「男たちのヒート祭り」

その第一弾となる
ロバート・デ・ニーロ × アル・パチーノ競演の

「ボーダー」61点★★


NY市警のベテラン刑事ターク(ロバート・デ・ニーロ)
ルースター(アル・パチーニ)
20年来の名コンビ。


正義感に燃え、キレやすいタークを
冷静になだめるのがルースターの役目だった。

そんななか
2人の管轄で野放しになっている悪人たちが
次々と殺される事件が起こる。

犯人は私刑を行っているのか――?

そして明らかになる
意外な犯人とは――?!


いやー、さすがに
2人合わせてアカデミー賞ノミネート歴14回という
(うちデ・ニーロ2回、パチーノ1回受賞)
重量級のおふたりが

一緒に画面に収まるだけで
スクリーンの空気が
ズドンと重くなります。


意外な告白から始まり
フェイクを仕組んだ構想も悪くない。

ただ
結局どっちに転んでも
「あり得るなあ」と思えてしまう筋ではあり

推理モノとしてのおもしろさは
あまりないです。

なにより
どうみても貫禄十分の2人が

ベテランとはいえ
役職ナシのヒラ刑事っていうのは
やっぱり無理がありませんかねえ?


同僚の若い刑事に混じってても
明らかに風格が違う~(困)
違和感がある~(涙)

まあ、彼らがまだまだこういう役を
やりたかったのかなあ、というのは
ビンビン伝わってきます。


名優のセッションを楽しむ感覚で
見るとよいと思います。


明日はもう1本の
「ザ・エッグ ~ロマノフの秘宝を狙え~」
を紹介しようかな-。


★4/24から銀座シネパトスほか全国順次公開。

「ボーダー」公式サイト
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矢島美容室 THE MOVIE 夢をつかまネバダ

2010-04-22 01:30:04 | や行
ハイ、なんのかんので
フツーに見ちゃいました。

「矢島美容室 THE MOVIE 夢をつかまネバダ」53点★★


フジテレビの
「とんねるずのみなさんのおかげでした」から
生まれた女性(?)3人組の
音楽ユニット「矢島美容室」。


彼女たちのバックグラウンドを
歌もたっぷりに映画化したってお話です。


ネバダに暮らす
母(だったんだ・・・)のマーガレット(木梨憲武)と
長女のナオミ・17歳(DJ OZUMA)
末娘(だったんだ・・・)のストロベリー・11歳(石橋貴明)。


平和だった3人の暮らしは
ある日、父、徳次郎が失踪したことで一変。

なんとか父を捜そうとする3人だったが・・・。


見終わってまず
すっごく「ファミレス」っぽいと思ったんです。

しかもファミレスでも
一応「デニーズ」で
意外にがっつり食べちゃいました、みたいな。


劇中にパンケーキとか出てくるせい?

カラフルでポップな衣装や小道具のせい?

それとも
松田聖子や、父親・徳次郎役で
アノ人が登場するなど、
いろいろバラエティに富んでいて
80年代っぽい軽さと明るさのせい?


一番の功績は
DJ OZUMAのキャッチ―な楽曲でしょうね。

ところどころミュージカル調で

しかもハーフみたいなかわいらしい子役たちが
一生懸命がんばってて

黒木メイサのヒール(悪役)っぷりも効いている。



元ネタのテレビ番組は知らないし、
正直、とんねるずは昔から苦手。

なのですが

これをフツーに見てしまえる自分って
いや、ニッポンのバラエティ番組に
フツーに
どっぷり浸かってんだなあって
率直な感想です。

意外とヒットするんじゃないでしょうか。


★4/29から全国で公開。

「矢島美容室 THE MOVIE 夢をつかまネバダ」公式サイト
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